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「REICOの読書日記」No74


4C速読法 58 「定年格差」  郡山史郎著  2021年

② 3Point
1.定年が70歳まで延びることは、企業にしてみたら「本当はいてほしくない人」「そろそろ出て行って欲しい人材」をさらに抱えることになる。
 本来、生き残りをかけてうんとコストパフォーマンスの高い若い人材が欲しいのに、追い出せないシニアのせいで採れないジレンマを抱える—後に詳しく定義するが、定年とは本当は辞めたくない人を辞めさせるためのシステムなのだ。
 シビアな競争社会を生きる企業が、70歳定年制によって、”本当はいて欲しくないシニア”を抱え込まなければならなくなれば、どんな手を打つだろうか?

2.知られざる「3つの定年」
第1の定年「形式定年」
 国が定めて企業が従う一般的な定年退職制度のことだ。昨今「70歳まで定年が延長される」と世間を騒がせているのもこの範疇に入る。ー---
 日本企業、ひいては日本経済は、自らの成長戦略として、合理的労働力を集め、また合理的に高給取りまで上り詰めたシニア人材を”気持ちよく追い出す”しかけとして形式としての定年を採用してきた、というわけだ。
第2の定年「自然定年」
 こちらは企業や国や法律が、外から押し付けた定年制度ではない。
 動物である私たち人間が否応なしにも受け入れるしかない、生物学上での定年だ。  結論から言うと、それは45歳前後である。ー---
 45歳前後から筋力も持久力も明らかに衰えを感じるようになる。

 年金制度がガタついて、長く働く必要が出てきたのに、企業はなるべく早くシニアを追い出したい。しかし、自分の体は若い世代に比べて仕事ができるとは当然言えない状況だ。人生50年の時は55歳で迎える「形式定年」と「自然定年」が噛み合ってフィットしたが、今はミスマッチが甚だしい状態というわけだ。形骸化する「形式定年」と抗えない「自然定年」にはさまれたシニア層は、身の振り方をどうすればいいのだろうか?  私は第3の定年を提案したい。 「実質定年」  それは、自分で自分の定年を新たに再設定する、自律的な生き方のことだ。

3.第3の定年 実質定年  65歳だろうが、70歳だろうが、あるいは別の形で会社から追い出されたところで、人生100年時代の今は、それから数十年もの間、生活していかなければならない。ー---
 しかし、「自然定年」を迎えると、同じ戦い方が出来なくなる。  体力、知力が衰えて、これまでと同じモチベーションで高給や出世や成長を求めて働くのは分が悪くなる。どう考えても、自分より下の世代の方が優れているし、彼らの方が勝ち目があるからだ。
 マインドセットの切り替え時だ。ー---
 新たなマインドセット、価値観のもとで仕事人生をリスタートさせるのだ。
 今度のキャリアパスは自分で決めよう。  何をエンジンにするかといえば、高級でも出世でもなく、「好きなこと」「楽しいこと」「幸せ」である。好きなことや楽しいこと、幸せの感じ方は人によって異なる。ー---
 「実質定年」とは、人生を最後まで幸せに送る、準備のための定年なのだ。
 この定年を自ら設定し、マインドセットを変えられることが、幸せの切符を手にすることにつながる。

③1Action
 私にとってこの三つの定年は同時にやってきたようです。
 そしてこの「第3の定年」を迎えた者として、これからは「好きなこと」「楽しいこと」「幸せ」を元に、今少し人の役に立てるよう、次のステージを作っていきたいと思っています。

④1Episode
 確かに日本人の平均年齢は上昇した。健康寿命もうんと高くなっている。  しかし「年を取る=残り時間が短くなる」、その事実は変わらない。
 1年が、1月が、1分、1秒が、尊く貴重なものになってくるのだ。それはささやかな幸せを感じやすくなることにつながる。と同時に、やはりかけがえのない時間を働くことに使うのが、何よりも幸せを感じさせることなのだ。  それを奪う権利は誰にもない。
 日本国憲法では、働く権利が認められている。
 それを出すまでもなく、私たちは可能な限り、この幸せを求めて行くべきだった。

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