子どもたちを救うために、新たな国家資格は必要ない!
千葉県野田市の小学4年生の心愛(みあ)ちゃんの死について、連日、テレビや新聞で報道されていますね。
心愛ちゃんが大人たちに、はっきりとSOSを出していたにも関わらず、誰も助けてあげられませんでした。
どうして?
教育委員会や学校、児童相談所の対応に明らかなミスがあったことに怒りさえ感じます。
しかし、心愛ちゃんが虐待される前から、母親が父親からDV被害に遭っていたという重大な問題がありました。
母親も心愛ちゃんの死に関与したとして逮捕されていますが、そもそも母親をDV被害から救うための支援がなかったのでは?という疑問もあります。
非常に対応が困難なケースであったことは事実だと思います。
【写真は、昨年の1月。川越水上公園にて。】
心愛さんを救えなかったことを重く受け止めて、同じ悲劇を繰り返さないためにはどうしたら良いか?
福祉や教育に携わる者なら、真剣に考えていることでしょう。
そんななか、「子ども家庭福祉士」という新たな国家資格の創設をするという動きが出てきました。
えっ!
ちょっと、待って!!
違うだろ〜
というのが、私の正直な反応です。
児童相談所の児童福祉司さんたちの関わりが常に適切であるとは私も思っていません。
それは、児童指導員として、児童相談所と業務でやりとりしたときも、母親として児童相談所と関わったときも感じました。
新しい国家資格が必要だと主張する立場の学者や議員は、児童福祉司の知識や能力が不足していると言いたいのでしょうか?
児童相談所の児童福祉司の数が不足しているというのは、よく聞きます。
私の元職場の先輩何人かは、児童福祉司の業務も経験していますが、担当ケースは100を超えると言っていました。
テレビに出演していた児童福祉司さんは、担当ケースは30と言っていました。
児童福祉司の仕事は、朝から夕方まで、ずっとデスクで電話応対しているわけではありません。
家庭訪問や関係機関への出張などで外回りがけっこうありそうです。
不在の間に、できなかったデスクワークは、おそらく残業して対応しているのでしょう。
そして、特別に給与が良いというわけでもなさそうです。
知識や能力があっても、業務に忙殺されて、それを発揮する環境とは言えないのではないでしょうか?
もともと、福祉を頑張りたいと志を持ち、ソーシャルワーカーの国家資格である社会福祉士を取得した人だけが児童福祉司として採用されているわけでもないことも問題ではないでしょうか?
さらに、児童相談所が虐待から保護するべき子どもたちを救いきれていない理由のひとつに、保護する場所が不足しているという事情もあります。
新しい国家資格を創設するにも予算が必要です。
受験する学生や専門家も時間とお金が必要です。
そんな時間とお金の余裕はあるのでしょうか?
なぜ、すでに社会福祉士や精神保健福祉士など国家資格のあるソーシャルワーカーをもっと活用しようとしないのでしょうか?
保健師さんや保育士さんだって、一定期間の研修を受けられて高待遇で採用されるなら、児童相談所でソーシャルワーカーをしたいと思う人はいるはずです。
というわけで、私は以下の署名活動に賛同して、署名しました!
◆発起人の木下先生のFacebookより◆
【署名ご協力のお願い】(シェア・拡散歓迎)
この度、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典さんと共に、新たな国家資格「子ども家庭福祉士」創設に反対する署名運動を開始します。
内容に賛同される方は以下のchange.orgのリンクからご署名をお願い致します。
署名を通じてみなさんからの賛同とコメントを集約し、以下の提案を厚生労働大臣や関連省庁、国会議員の皆さんに届けて行きます。
◎これ以上福祉相談職の分断につながる国家資格を創らないでください。
◎新たな国家資格創設を検討する時間、またその後の国家資格運営の予算が計上されるのであれば、その時間と予算や労力を児童福祉の現場で働く福祉専門職の人員の増員や予算増加のために使って下さい
なお以下の方々からご賛同を頂いております。
共同発起人
木下大生(武蔵野大学人間科学部准教授)
藤田孝典(NPO法人ほっとプラス代表理事 聖学院大学客員准教授)
賛同者
伊藤文人(日本福祉大学社会福祉学部)
本多勇(武蔵野大学通信教育学部教授)
中野加奈子(大谷大学社会学部准教授)
石川久展(関西学院大学人間福祉学部教授)
高端正幸(埼玉大学経済学部准教授)
芦田麗子(神戸親和女子大学発達教育学部講師)
(賛同表明順)
1つの専門職をいくつもの国家資格で分断するような流れを止めるためにも是非署名にご協力ください!よろしくお願い致します。
児童虐待から子どもたちを救うために必要なことは、新たな国家資格を創ることではありません。
趣旨に賛同していただけた場合、ぜひとも署名とシェアをお願いいたします!
◆こちらの記事もご参照ください◆
Facebookでつながりのある方が取材を受けた記事です。
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