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いつだっておぼろ豆腐が側にいたんだ。
人生の節目に
いつも寄り添うおぼろ豆腐
猫なら魚、パンダなら笹、そしてハムスターならひまわりの種など。なんとなくイメージとしてある、動物ごとの好物。
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けれど。鳩はどうでしょう。なかなか”これ!”というイメージってそういえばないなあと思ったれいちゃんです。
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東京の全鳩達に集合をかけて”好きな食べ物は?”と尋ねたら住む地域によって答えが変わりそう。
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湘南で見た鳩は落ちたしらすを。某テーマパークの鳩は数種類のポップコーンの食べ比べをしていました。コリアンタウンと名高い新大久保ではチーズボールの落とし物を食べてプチ韓国を満喫です。
いったい君たちの大好物はなんなんだ。是非聞いてみたいものです。
そんなれいちゃんの好物は?と聞かれたら、たくさんありますが。その中の一つに”お豆腐屋さんのおぼろ豆腐”があります。美味しいのはもちろんのことながら、人生の節目節目でれいちゃんに寄り添ってくれた存在。
本日はそんな『愛しのおぼろ豆腐』について描いてきたいなと思います。
『目次』
〇お豆腐屋のお姉さんとれいちゃん。
〇いつだっておぼろ豆腐が側にいたんだ。
〇変幻自在のおぼろ豆腐御食事解。
〇お豆腐屋のお姉さんとれいちゃん。
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見つけてみてね
”今日はお家で1日過ごす安息日にしよう”
そう決めた日ですらすっぴんメガネで”お豆腐屋のお姉さんには会いに行っちゃおうかな”なんて思えてしまう不思議な場所。それはれいちゃんのお家からほど近い場所にあるお豆腐屋さんです。
北海道出身のちょっぴり寒がりなお姉さんとお店の小窓から世間話をするのがれいちゃんの日々の小さな楽しみです。通い始めた頃は”お豆腐一丁ください…ザラザラの方で”と注文する絹と木綿が迷子のれいちゃんに対し、
”ざらざらのお豆腐ね、油揚げ1枚おまけで付けておきますね”と当時は、お客さんとお店の方としての会話のみでした。
しかし、初めて油揚げを食べた時のさくさく感に虜になってしまったれいちゃん。
(もちろんザラザラのお豆腐も厚揚げも絶品)
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いつも大きいのを選んでくれます
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おまけをくれちゃう日も。
足しげく通うようになりました。そして段々とお互いの事を話すようになっていきました。
当時大学生だったれいちゃんの授業のこと、お姉さんの猫の話まで。こうしていつのまにやらお姉さんのお豆腐はれいちゃんの日常には欠かせないものへとなっていったのです。
〇いつだっておぼろ豆腐が側にいたんだ。
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おぼろだよん
こうして、油揚げやお豆腐。そして厚揚げは日常的に買うようになりましたが、実はおぼろ豆腐は注文したことがありませんでした。では一体どうやって”愛しの”なんて前置きのつく存在になっていったのでしょうか。
『喜怒哀楽のおぼろ豆腐』
◇喜:大学卒業おめでとう。
◇怒:八百屋の大将に怒られちゃったな。
◇哀:作った本を無下されてしまった。
◇楽:母校でのおむすび販売が決まったよ。
気づいているだろうか。
◇喜:大学卒業おめでとう。
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本をガサゴソ(笑)
初めて食べたのは今年の3月。れいちゃんが大学を卒業し、人生の学生生活を締めくくった節目の日です。
今年の3月と言えばまだまだ人混みや満員電車に乗ると少し気持ちが落ち着かなくなってしまう状態だったれいちゃん。
友達と数枚写真を撮ったら足早に卒業式を後にし、お世話になった方の元へ晴れ着の袴で回ろうと決めていました。
カフェの店主さんや、いつも朝から元気をくれる立ち食いそば屋のおじちゃんの元。一通り回れたかな~と満足していましたが、そういえばと思い直しお豆腐屋さんの小窓をそっと覗いてみました。お姉さんいるかな?と。
”わ~!可愛いね~。今日なんだね、卒業おめでとう”
その言葉だけでもう十分嬉しかったれいちゃん。しかし、ちょっと待って。とお姉さん。
”お豆腐しかないからあげられるの、これだけだけど…”とおぼろ豆腐を袴が濡れないように丁寧に袋に入れて手渡してくれたのです。油揚げよりも、普段のお豆腐よりも厚揚げよりもお値段が張るおぼろ豆腐。
ハレの日に最高のごちそうでした。
◇怒:八百屋の大将に怒られちゃったな。
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八百屋の小娘れいちゃま
お客さんへの野菜の質に対して余念がない八百屋の大将。スピードと質の両方が必要な中でキャパがいっぱいいっぱいになってしまったれいちゃん。つい、野菜の状態をよく見ずに袋詰めしてしまったことが。
強い口調で叱られてしまった時。れいちゃんなりの精一杯だったよな、と労う一方でやっぱり落ち込んでしまったれいちゃん。こんな時には”お豆腐屋のお姉さんに慰めてもらおう作戦”決行です。
小窓から”くそー!”と鬱憤を晴らします。”行っただけエラい!でも、悲しい時は悲しいでいいんだよ”とやっぱり慰めのおぼろ豆腐をお裾分けしてくれたのでした。
◇哀:作った本を無下されてしまった。
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『れいちゃんのぼっち飯』の名は、れいちゃんの日々のぼっち飯風景を綴ったエッセイ本のタイトルに由来しています。
記念すべき初のエッセイ本には日ごろから通っているカフェや飲食に関するお店について描いています。もちろんお姉さんのお豆腐屋さんも載っています。
エッセイ本内で紹介した方々にはお気持ちで本をプレゼントしたれいちゃん。お姉さんと、それから毎朝お散歩ついでによる立ち食いそば屋のおじちゃんにも1冊あげたのでした。
しかし、おじちゃんの恋人の方をかなり怒らせてしまいました。国籍や文化の違いで、"人が愛している男性に対してプレゼントはNG"ということを知らなかったので仕方がありません。
しかし、何カ月もかけて毎日少しづつ進めて作っていった本。印刷も何度もやり直し、納得のいく出来栄えに仕上げた本。
”なんであんなものをあげるの、何がしたいの?”
あんなもの、そう形容されてしまったのが悔しくてやるせなくて涙が止まらなかったです。やっぱり小窓からお姉さんに『怒られちゃった』と伝えた時は、『文化の違いだね…すんごい行動力が伝わって応援したくなる本だったよ』とおぼろ豆腐をお供に背中を押してくれました。
余計なアレンジを加えず。そのまま食べました。
◇楽:母校でのおむすび販売が決まったよ。
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具はないです。気になってないか。
土鍋でオリジナル炊き込みご飯を作ることに絶賛ハマっております。新米の季節ですので毎日のように行きつけの精米店の”新米入荷情報”は無意識のうちにルーティン化しております。
そんなお米大好き小娘がなんと、自分の母校のイベントで”おむすび200個”を作ることが決まりました。応募フォームを通じて申請をし、忘れかけた頃に来た”出店承認メール”を見た時は思わず小さく叫びました。
誰かに早く言いたい、お豆腐屋のお姉さんと立ち食いそば屋のおじちゃんに伝えたい。気持ちが先走ってその日は油揚げを買う予定はありませんでしたが、急遽予定変更。急くように”200個作ることになっちゃった!”と小窓から乗り出して伝えます。
”やったね!”とご時世を考慮してエアハイタッチ。
もったいなくてすぐに手を付けられなかった200個記念のおぼろ豆腐。
だけど食べ始めるとあっという間になくなっちゃうのでした。
〇変幻自在のおぼろ豆腐御食事解。
恥ずかしいんですけど、卒業式から帰った日に真っ先に”おぼろ豆腐 食べ方”と調べました。食べ方やアレンジの仕方が分からなかったんです。
どれどれ、と調べると冷奴のように醤油とねぎをかけたり。餡掛け風にしていたり。なかなかアレンジしがいがありそうです。
3月の卒業式の日は餡掛け風に少し温かく食べました。
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学生時代
夏場はシンプルにお醤油と少しねぎを乗っけて食べたり。レタスと一緒にごま油×塩でチョレギ風にしてみたり。
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秋になってきてかぼちゃの炊き込みご飯を食べたこの日は”おぼろ豆腐の冷奴”はそろそろ食べ納めの季節かもしれません。また餡かけの季節かな。
そんな季節も、大切な節目にれいちゃん定食を彩ってくれるおぼろ豆腐。スプーンですくうと形を崩さないように。だけど少し崩して。絶妙にして食べるのが大好きです。
それから、お豆腐屋の。北海道出身だけどちょっぴり寒がり族なお姉さんへ。いつも美味しい油揚げのおまけや美味しいお豆腐をありがとうございます。その瞬間は気づかなかったけど、よくよく振り返ったら”れいちゃんのぼっち飯の節目だな”と思う時におぼろ豆腐を食べていることに気がつきました。
次に食べるときはどんなれいちゃんですか?
れいちゃんはれいちゃんが楽しみです。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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