盲目的な百年の恋

盲目的な百年の恋

 出会ったあの日は、7月27日でした。初めて連絡を取ったのは7月19日でした。次に会ったのは8月10日でした。本当はその日に初めて会う予定でしたが、あなたのファインプレーでそれより前に会うことになりましたね。
 しかしそのあと音信不通になりました。
 それがいつだったのか、何がきっかけだったのか覚えていないのですが、連絡する程度の仲になりました(きっと親友の取り計らいでしょう)。
 9月21日、確か深夜だったような気がします。あなたからLINEスタンプがプレゼントされました。丁度その時私は違う人に心変わりが──それは酷く脆い心変わりが出来そうだったのですが、スタンプがプレゼントされてそんな気持ちが無くなっていました。
 9月25日のお昼過ぎ、藪から棒に電話をかけたらあなたは出てくれました。なんだか、私からの電話を待っていたのでは、と、思ってしまうくらい私だけに対する溌剌さが感じられました。
「じゃあ十月になったら会お」
 バイト先に会いに行ってもいいかと訊くとそう答えてくれました。
 10月6日にあなたと共通の親友と私とで飲みに行きました。久しぶりにあなたを前にして、最初私は言いたい言葉も上手く出ずにいました。あなたと親友が長いこと草臥れた紅茶をんで、私は拗ねてしまいました(反省)。
 10月8日はあなたのバイトのお昼休憩中に二人でポムの樹のオムライスを食べました。美味でした。ついでにあなたからウィンストンの空箱を貰いました。
 次に会ったのは10月の……いつだったでしょうか。13日か14日だった気がします。ですが私は、その日のことは書けません。
 10月24日にまた音信不通になりました。
 以降はしばらく、静かになりました。
 新年になり、親友の月下氷人パワーで再び連絡を取り合いました。
 しかし何事も無く音信不通になりました。

 現在2024年03月22日一時過ぎです。
 26日に、親友のお陰様で三人で会うことになりました。私はおそろしいです。そしてもう、きっと最後になると予感しています。いや、予感と言うよりももっと……これ以上あなたが私を離れるなら最後にすると決心しています。
 どうしてか、不意に「妊娠」という言葉が頭をよぎぎって遣る瀬無くなりました。私は盲目的に能動的に生真面目に一途にあなたを愛しています。そんなあなたが知らない誰かのセフレにされている事実が、この上なく悔しくて辛くて嗟嘆に嗟嘆を重ねてもどうにも晴れない切なさなのです。
 更に言ってしまえば私はもうあなたに対してほとんど諦めています、愛しているのにです。あなたは酷く裏切るから私にいくつハートがあっても破れてしまいそうなのです。どうして正直に言わなかったのか不思議でなりません。
 あなたの嘘は雨となり私に降り注ぎ、どんどん黒くなって黒くなっていつか私を壊してしまうと思います。だから今度があなたと私、最後のチャンスです。
 私はいま興醒め(或いはもっと切ない諦観)の瀬戸際に立たされています。今度失敗したらそれっきりで、私はそれを望んでいません。
 でも私はなすすべがないから、もう、それでもいいような気さえ、しています。

 ♬苦しゅうない苦しゅうない
  私が愛想つかす
  ことなんてこない気がするから
  嫌われるって怖がって
  愛想つかしたふりなら
  するかもしれないわ

「安寧」
咽び泣いて手に入れたものは
虚無とか無情とか、哀切だったりする
無限に湧き出るあなたへの愛も
底が見えてしまいそうな気がした
気がしれない気がしれない気がしれない
愛しているからさ、冷めやらぬうちに、
ねえおねがいこのまま遠くに
二人で……

ここで会ってしまえば百年目
なんておまじないあれば良かったのに

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