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不動産投資では老朽化による建て替えまで考えて投資する必要がある

こんにちは。REIBOX(@reibox_press)です。

今日は物件の老朽化と建て替えまで考えた不動産投資について書いてみました。

今後は老朽化マンションが増える

昭和37年に区分所有法が制定されてからマンションの建築が大幅に増えましたが、当時は高級マンションだった物件も現在では築50年以上の老朽化マンションとなっています。平成28年末の時点で築50年以上の老朽化マンションの数は4.1万戸、築30年以上の老朽予備軍を入れると172万戸にも及ぶので今後も増加する見込みです。

参考:分譲マンションの現状と課題|国土交通省、築後30、40、50年超の分譲マンション戸数|国土交通省

国土交通省の調べでは築30年以上のマンションの5割が建て替えが検討されていることが分かっています。

老朽化の実例

購入した物件の老朽化が進んだ場合、そのままでも入居者が入ってくれるのか?立て替えて再度生まれ変わらせるのか?を検討します。

老朽化の実例として「四谷コーポラス」という老朽化が進んだ築61年の鉄筋コンクリート造の中古マンションの建て替えが必要になったケースがあります。

【四谷コーポラスの例】

参考:「四谷コーポラス」建替えについて | プレスリリース | 旭化成株式会社

1956年に建築された都心の一等地にある5階建ての分譲マンションで当時は最先端の高級住宅。ですが、建物の老朽化によるコンクリートの劣化と給排水管の劣化により老朽化が進んで建て替えが必要になりました。コンクリートの劣化は耐震補強工事を施しても十分な耐震性が出るかどうか分からない状態で、給排水管の劣化は上下2フロアにまたがるメゾネット形式の建物だったので配管が住戸を通ってしまっており工事ができないと判断されました。

所有している各オーナーの自己負担額は1000万円以上と見られており、2019年に地上6階地下1階建てのマンションに建て替えが行われて生まれ変わりましたが、同じエリアの新築分譲マンションで相場は1部屋7000万円~8000万円なので売却しても大きな利益を得ることができますし、都内一等地で駅から徒歩5分の高立地だったので賃貸需要も申し分ありません。

四谷コーポラスの例で見えてくるポイントは
東京都内という立地条件が良かったという点です。

東京都内で建て替えが実現して成功したケースはたくさんありますが、一方で地方郊外では建て替えが実現せず1部屋10万円まで資産価値が下がったという失敗事例が多くあります。

▼東京都内の建て替え例▼

集合住宅団地建替えの事例と 事業の成立要因について|関西大学
マンション建替え事例|マンション再生協会

【体験談例】

築30年のアパートを購入するにあたって、大規模修繕して建物の寿命を延ばして使うか?
それとも、修繕をしないで、使えるまで使って、建て替えをしたほうがいいのか?
建物の状態にもよるでしょうが、判断に迷っています。
引用:Yahoo!知恵袋

不動産投資では建て替えが難しい

■マンションの建て替えにおける
 建設費・解体費・仮住まい費用の自己負担額が大きい
■新たな借入が必要になる融資の問題
■入居者がいる場合は退去してもらわないといけないので
 定期借家で契約する・引っ越し代を支払う
 (退去を固辞された場合は裁判に発展するリスクもあり)
■区分所有者の5分の4以上の合意が必要

等の理由からマンションの建て替えは難しいことが多いです。

[建て替えに必要な流れ]

1.マンションの管理組合が建て替えを
  検討するための組織が立ち上げられる
2.組織内で合意を得られたら
  不動産会社デベロッパーなどの事業協力者を決める
3.区分所有者の5分の4以上の 
  賛成を得られたら建て替えが決定される

建て替えは集合住宅よりも戸建て向け

建て替えは集合住宅よりも戸建て向けと言えます。戸建ての場合、退去のタイミングで全て空室にできますし引越し代の負担もありません。

一方、集合住宅の場合、全て空室になってからも建て替えが進むまでに2年以上もかかるケースはよくあり、その期間は家賃収入も入ってこないのでなにかと現金が拘束されます。加えて上述した建て替えのために引っ越し代の支払いなどの対策・費用も発生します。

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戸建て向けといっても新たな融資の問題・借り直すまでの期間の自己負担・いつ退去するか分からない、などの懸念もありますが集合住宅と比べればハードルは低いです。
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【参考】マンション建替え円滑化法による建替え事例の一覧

マンション建替え円滑化法による建替え事例の一覧|マンション再生協議会
建替え事例|マンション再生協議会
マンション建替え事例(円滑化法)|国土交通省

所有者と入居者の意識の違い

不動産投資家からすれば建物の老朽化によって収益の見込みがなくなるのは避けたいので建て替えの合意はされやすいですが、入居者からすれば

・居住用物件としての意識が強いので愛着がでている
・築年数が進んでいる物件は高齢化も進んでいるので
 居住環境の変化に消極的になっている
・住民同士でコミュニティーが形成されている

などの理由から建て替えの合意を得られにくいです。

無料で新築に建て替えるケースは稀

建て替え事業に関わった不動産会社にデベロッパー利益が見込めた場合(※)に限り、動産投資オーナーの自己負担金ゼロで新築に建て替えることもありますが、稀な事例です。

(※)容積率に余裕があり、新たに分譲する戸数が増えた場合で不動産会社デベロッパーに売却資金を建て替え費用に充てることができる場合のみ。

建て替えできないなら売却すればいいとも言えない

建物を売却して利益を得るためには所有物件に対して需要があることが大前提。建て替えが必要なくらい老朽化が進んでいる建物は法定耐用年数を超えているので融資を出してくれる金融機関は少なく、融資が受けられない物件は需要が見込めないと判断されるので買い手が見つからず売却価格も下がってしまいます。需要がなく資産価値がゼロと判断されると売却もできなくなります。

\ここまでのまとめとして/

・老朽化したからと言って容易に建て替えができるとは限らない
・建て替えができないからと言って売却が出るとは限らない

以上の理由から不動産投資は安易に物件を購入するのではなく、予め老朽化による建て替えまで考えて投資スキームを検討する必要があることを覚えておいてください。

建て替え・売却・リフォーム、最適な選択肢は?

建て替えの場合

▼メリット
老朽化が進んだ物件を建て替えることによって入居者が住んでみたいと思える魅力的な物件に生まれ変わることができます。場合によっては建て替えにより部屋数が増えれば収益の増加も見込めます。

1981年以前の建物を建て替える場合、新しい耐震基準で建て直されるので地震による倒壊リスクを減らすこともできますし、建て替え時に新たな減価償却費を経費計上できるので節税効果も期待できます。

▼デメリット
建て替えるに際して金融機関から新たに借入する場合、資金面の負担が増えます。これまでの家賃収入で自己資金が潤沢であれば問題ありませんが、経営がうまくいっていなければ高額な借金を負うリスクがあります。

また、入居者に退去してもらうための自己負担・建て替えが完了するまでは家賃収入が入ってこない金銭的なリスクもあります。

売却の場合

▼メリット
売却することで売却益(キャピタルゲイン)を得られるので、そのまま保有する・再投資に活かす(事業規模の拡大)、など資金的な選択肢の幅が広がります。

仮に売却価格が低くて利益を得られなかったとしても、赤字経営が続いている物件であればこれ以上の損失を最小限に抑えることができます。

▼デメリット
老朽化が進んでいる賃貸物件は買い手が見つかりにくく、建物と土地を所有している場合は土地だけを売却したほうが高く売れるケースも少なくありません。

なお、土地だけを売るにしても建物の取り壊し費用がかかるので自己資金がないと売却できなくなります。

リフォームの場合

▼メリット
大規模リフォームを実施した場合、建て替えよりも自己負担が少なく新築に近い状態でリニューアルすることも可能。建て替えと比べ、デザインや設備の自由度は低いですが人気の設備を備えることで資産価値が高くなり、高い入居率と家賃引き上げの期待ができます。

▼デメリット
大規模リフォームが建て替え費用よりも安く収まればメリットですがが、費用がさほど変わらないこともあり、特に耐震補強工事のコストが大きいと安くリフォームできるというメリットが無くなります。

- 何を基準に考えれば良いか? -

ローンを完済している場合、立地条件が検討ポイント。賃貸物件が立てられた当時とは地代も環境も大きく変わっているので、建て替えや大規模リフォームを実施したときに安定した入居率が見込めるかどうか?を検討します。

安定した入居者が見込めない場合、建て替え・リフォームを実施しても赤字経営のリスクが伴うので売却したほうが将来的に良い場合もあります。

ローンを完済していない場合、売却してマイナスにならないなら検討対象、集客力があるエリアであれば建て替え・リフォームによって再度入居者が見込めるなら検討対象、となります。


著者情報:REIBOX

Twitter:@reibox_press
ブログ:西東京→神奈川へ!マーケと不動産好き社長のブログ
運営メディア:REIBOX


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