🇲🇲ミャンマーの路地裏の先は?@ヤンゴン2016
旅をすると必ずする事がある。
建物の間の路地裏に入り込みたくなるのだ。
そして路地裏を抜けると良い偶然に出くわす。そんなことが多い。
ヤンゴンをホテルから見下ろす。
苔むした古い建物が多く残っている。
7月。蒸し返すような湿度の雨季。
街並みはタイともカンボジアともベトナムとも違う趣。私はインドに行ったことがない。ただ、初めてミャンマーに来た時から思っていたが、「インドってこんな感じなのかな?」と思わせるのだ。
ヤンゴンの地図を眺めていると、「ああ、そうか、インドと同じイギリス領だったのか」と気づく。旧フランス領のベトナム、カンボジア、ラオスと街の作りが違うのだ。ランアバウトと呼ばれるサークル状の道から放射状に広がる道が旧フランス領の国には多いが、それがない。整然と碁盤目状に整理された都市なのだ。
思い付きの散策を再開する。
建物の隙間に引き込まれるように、
路地裏を進む。
足元がぬかるみ、腐臭がした。
これが建物の裏側だった。
写真には写っていないが、路地裏を生活する人々がこちらを眺めている。
緊張感が走る。
すぐに通りに戻ると日常風景が広がる。
この表だけ見ていると、
裏側の腐臭は届いてこない。
この頃には思い付きの散策に脚が慣れて行くので、数キロくらいならどんどん歩けてしまう。
疲れたら、無理をしない。
目の前に来たバスに適当に乗り込むと、
後部座席の高校生がはにかみながら席を詰めてくれて、「ここ空いてるよ」とジェスチャーしてくれた。
(この青年。高校生?)
私は、ありがとう、が言えなくて、
こんにちは、の「ミンガラーバ」と言った。
彼は恥ずかしそうに微笑んだ。
しばらくすると、乗客達が降り始めた。
先ほどの高校生が、
「お寺がある。有名だよ。降りてみなよ。」
もう一度「ミンガラーバ」と言い、
そのまま従ってみた。
入り口で猫が寝ていた。
境内を進む。
犬がいるが、けだるそうで近寄ってもこない。
さらに奥へ進んだ。
突然目の前に涅槃仏が現れた。
大きかった。
静かだった。
参拝者は無言で手を合わせている。
風鈴だけが鳴り響く。
風邪も吹いて涼しい。
「今日はここで過ごそう」
ーータケシ