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カミングアウトするとかしないとか...

「僕には吃音という障害が
あります。」


息子が小学校5年生の時に
クラスの皆の前で自ら発表しました。

幼少の頃から吃音があり、
学年が上がるにつれ
辛い場面が増えてきていました。

親である私は進級するたびに
担任の先生に吃音について
の理解と配慮をお願いして
きました。

でもやはり 発表の時、
日直の号令の時、友達と話す時などに
度々言葉が詰まり、
恥ずかしい、悔しい、
という辛い経験をしてきたようです。

話し方を真似されたり
からかわれることも度々でした。

いっそのこと皆んなの前で
カミングアウトしたらどうだろう?
吃音について皆んなにもっと
知ってもらいたい!

最初は隠そうとしていたの
ですが、段々とそういう気持ちに
傾いていったようです。


私はカミングアウトすると聞いた時
すごい勇気があるなと感心したと同時に果たして、それはどうなんだろうか?
と少し不安にも感じました。



ですが実際にカミングアウトした
で、吃音を隠したい、知られたくない という思いはなくなり、
息子にとっては良かったようです。
スッキリしたようでした。
吃音自体が良くなるわけではありませんが、先生からの感想もあり、
皆んながからかうことは
なくなりました。



私は息子の吃音の症状に
4歳で気付きました。 
当初はまさかうちの子が?
と信じられませんでした。

でも理解を深めるにつれ、
悩みの深さを知りました。
でも吃音者でない私には
本当の意味では息子の苦悩は
分かってはあげられませんでした。


周りの親戚や理解していない
善良なオトナが何気なく、
息子に

「そんなん吃ってるなんて
全然分からんよ。そこまで
気にすることじゃないよ、
誰も気にしとらん。」

と声を掛けるのです。


励ましているつもりなの
でしょうが、
そういうオトナ達は
自身は吃音者ではないし、
周りにもそういう人がいない、

だから当事者の苦しい気持ちに
対する想像力に欠けているのです。

普通の人が意識せずとも
スラスラよどみなく、
流暢に話せるのに、
自分だけできない。

友達との何気ない
会話のやり取りの早さに
ついていけない、
突っ込みたくても、
笑いを取りたくても
自分だけ置き去りで
言葉が交わされていく
むなしさ、、、

作り笑顔しかできない
悔しさ、、、


授業でも発表する場面で
つっかえてしまう。
自己紹介があるたび緊張しすぎで
前の夜から眠れない。


そういう事がどんなにか辛く
死にたいと思い詰めるほどの
苦しみであるということが、

想像できないのです。
私も以前はそういう善良な
無理解な母親でした。


中学校で吃音が原因で
不登校になった息子が

「吃音である自分は
大嫌い!
生きていたくない!」


と言い放った日の衝撃は
今でも覚えています。


「僕には吃音がある
言葉が詰まったり、
繰り返したりする。
でも話せないわけではない。
むしろ話はしたい。
だから急かさずに
少し待っていて欲しい」


自らがマイノリティーである
ということを表明する勇気、
だが秘めていたいという意思、

どちらも尊重されなければ
ならないと思う。
最近の風潮を見るにつけそう
感じます。


もし友達や家族、身近な人に
何か重要な事をカミングアウト
されたなら、決して茶化さずに
真剣に聞いてあげて欲しい。
理解はできなくとも、
想像力を働かせて欲しい。


逆に言いたくない人に
無理やり聞き出そうとも
しないで欲しい。


息子の事で言えば
私も一緒に理解を深めていって
言友会や、注文の遅いカフェ 
など色々な吃音当事者達の
活動の存在を知り、
私から息子に伝えて、
息子自ら積極的に参加する
ようになりました。


「吃音があってもいいんだ。
自分はこれでいいんだ」


とやっと思えるように
なってくれたようです。


将来は自分が子供のころに
吃音で苦労した経験したことを
活かして言語聴覚士を目指しています。


自分の経験が生かされる
道を進んで行く息子を
頼もしく思います。
これからも1番の良き理解者であり
応援者でありたいと思います。

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