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涙のオムライス

――どんな三ツ星レストランだろうと作れないオムライスを僕はつくれる。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

最近は音声配信も始めました。毎週金曜日22:00から僕のお気に入りの本を紹介するライブ「FAVORITE!!」を開催しています。興味を持たれた方は是非遊びに来てください。



今回は「強みの1品を持っておく意義」というテーマで話していこうと思います。



📚涙のオムライス

先日、パートナーを家に呼んで、僕の手作りのオムライスを召し上がってもらいました。前々から食べてみたいと言ってくれていて、ちょうど機会があったので叶った感じです。

というのも、僕が唯一人に提供できる(提供してもいいと思える)料理がオムライスなんです。二年くらい前にオムライスにはまって、めちゃくちゃつくっていたことがあったんですよね。

きっかけはYouTubeのとある動画でした。キチキチという洋食屋さんのオムライスをつくる動画を見て、「あ、やりたい」と思ってしまった。いわゆるふわとろオムライスをつくっていたんですが、その手際の鮮やかさに惚れました(笑) 気さくなおじさんが話しながらつくってくれるので、エンタメ性も高い。まだ見たことない人は是非一度ご視聴ください。



そんな経緯で、僕は独学でオムライスを極める道を歩み始めたわけです。多いとき、週3くらいでオムライスつくっていて、卵が飛ぶように消えていったんですが、おかげさまでそれなりに満足できるクオリティまで持っていけるようになりました。

あるときからケチャップソースにまでこだわりだして、そのためだけに赤ワインを買うようになりました(笑)

今でも3回に1回くらい失敗しますが、これまでに友達や家族に食べてもらったことがあります。みんなちゃんと評価してくれるので、今では得意料理はオムライスというようにしているんです。



で、先日パートナーが家に来たんで、一緒に僕の手作りオムライスを食べたんです。「いただきます」の後にスプーンで掬って、一口。はじめは口元をおさえていた手が、次第に目の周りをおさえるようになりました。

パートナーは泣いていたんです。


📚生活を共にする幸せ

パートナーの涙の理由は、オムライスがとても美味しかったから。そして、その時間に幸せを感じたからでした。

パートナーの背景を知っている僕からすれば、その言葉の深みが理解できます。その背景については割愛しますが、どんな人であれ、信頼できる相手と生活を共にする幸せを感じると胸がいっぱいになる感覚は分かると思います。僕自身、パートナーの言葉にもらい泣きしそうになりましたし。

涙の理由が料理の味に依存しているわけではないけれど、涙が出るほどのオムライスをつくれたことを嬉しく思うし、誰かと生活を営むことを尊く感じました。

誰かを笑顔にする料理はいくらでもあります。ただ、涙が伴う料理はなかなかない。「人」や「思い出」といった別の要素が絡んでくるからです。

どんな三ツ星レストランだろうと作れないオムライスを僕はつくれる。僕のパートナーにとって、世界で1番のオムライスをつくれる。そんな小さな誇りを愛おしく感じる日でした。

……というほっこりする経験を果たし、改めて僕が思ったのが、「強みの1品を持っておくって大事だな」ってこと。


📚強みの1品を持っておく意義

得意料理はこれです!と胸を張っていえるものがあると、それだけでちょっと一目置かれたりするし、今回のエピソードのように人に振る舞う機会を設けることもできる。そして、自分のつくったものを食べてもらって、誰かの笑顔をつくることができる。もしかしたら、今回のエピソードのように涙をつくることもできるんですよね。



また、僕は今、知り合いの宮田さんが運営しているクラフトビールバーの一日店長のお誘いを受けていて、もしかしたら週1とかでバーを切り盛りすることになるかもしれないんです。一応引き受ける方向でいるんですが、その場合、店で提供できる料理を作れるようになっておかなきゃいけない。

僕は普段すごい自炊をするかといわれたらそうじゃないし、お金を払ってもらえるようなものなんてつくれる気がしません。ただ、僕には涙のオムライスがある。誰に食べてもらっても評価していただいた、そして、たったひとりだけど涙してくれた得意料理がある。

極めるなら、オムライスだなと思いました。

「いや、1品だけじゃだめでしょ」というつっこみが飛んできそうですが、そこまで心配はしていません。居酒屋とかレストランなら厳しいですが、僕がやろうとしているのはバー。しかも、基本知り合いばかりが来る交流の場所としての価値が高い場。

本日のおすすめが1品があれば、あとはお酒とおつまみで十分です。

実際、現時点でも主食と呼べるのは、宮田さんの得意料理、本場を意識したスパイシーなグリーンカレー。あとは、土曜日だけ厨房に立つぜんちゃんのタマゴサンドとか、たまに来るお試しシェフのなおくんのスパイスカレーとか、それくらい。

僕が店をするときは、「本日のおすすめ」としてオムライスを提供するようにすれば、全然いけるなあと謎の自信があります。足りない部分はコミュニケーションを取って補うまでです。




決してプロではなくても、強みの1品を持っておくことで上手くやれば飲食店を回せる可能性が十分にある。料理に限らずですが、「好き」や「得意」が仕事に転用できることは少なくないので、とにかく自分の強みをつくることが大事だなと再認識しました。

今回紹介したパートナーとのエピソードを糧に、再びオムライス修行の道を歩み始めようかなと思います。そして、いつかクラフトビールバーの厨房に立てるようになります。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

20230904 横山黎




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