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男女の恋愛ものなのに、「男」が全然登場しないドラマ!?
――僕がこのドラマに沼のようにはまったのは、ヒロインの初恋の相手でありながら30話まで出てこない祖父江君の存在のせいかなと思います。
【#237】20200222
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非、最後まで読んでいってください。
今回は「『この初恋はフィクションです』が面白い!」というテーマで話していこうと思います。
前回は、『初恋F』の「YouTubeドラマ」の側面を中心的に語っていきました。今回は、「内容」についてみていきます!
☆『初恋F』は次の話が気になりすぎる
僕は今、「初恋」をテーマにした物語をつくっていることもあり、このドラマを観ようと思い立ちました。はじめこそ、そんなにハードルは高くなくて、一応「初恋」って入っているし、観ておくかくらいの気持ちだったんですが、観始めたら止まりませんでした(笑)
ぶっちゃけストーリーはありふれた青春物です。別に「これ!」という看板はありません。ヒロインの女の子が、ある男子に初恋をする話です。
ただ、一つだけ他のドラマにない特徴があって、それは何かというと、「ヒーローが全然登場しない」ってこと。
は?って感じだと思います。
もう少し詳しく説明すると、『初恋F』は各話12分全40話で構成されているんですが、なんと30話までヒーローが出てきません。ヒロインが思いを寄せる初恋の相手が登場しないんです。
めちゃくちゃ焦らしてくるドSドラマです(笑)
でも、これが絶妙なんですよ。全く登場しないわけじゃなくって、足だけとか、手だけとか映ったりするんですよ。ヒロインの子とLINEでやりとりしたり、かかわりはあるんですが、一向に姿を見せない。顔が映らないんです。
ちなみに、その男の子の名前は「祖父江広樹」。
一応、転入生としてやってくるんですが、登校初日から欠席という猛者です。その後も全然学校に来ないんですが、試験では学年1位を取るし、絵はめちゃくちゃ上手いし、そんなこんなでみんな騒ぎ始めるんですよ。
「祖父江ってどんなやつだ!?」
「もしかしてアイドル!?」
みたいな感じ。
回を重ねるごとに、祖父江君への興味が沸いてきて、視聴者もどんどん祖父江君を求めるようになるわけです。で、結局29話まで登場しないっていう(笑)
もうね、30話で初めてヒロインとヒーローが対面するんですが、もうそれだけで感動しちゃったもん。「会う」っていいなって思っちゃったもん(笑)
話を元に戻しますが、つまり、僕がこのドラマに沼のようにはまったのは、ヒロインの初恋の相手でありながら30話まで出てこない祖父江君の存在のせいかなと思います。
☆YouTubeだからこそ。
で、これってテレビじゃ成立していなかっただろうなあと思っていて、YouTubeで全話公開するという大胆な打ち手に出たからこそ、上手くいったのかなと思います。
初恋の相手が出てこないってまあまあ問題じゃないですか。視聴者的には、男女の青春純愛が観たいのに、「男」が出てこないという……(笑)でも、各話が12分だからこそ、その焦らしにストレスなく耐えられたのかなと思います。
たとえば、「ついに祖父江くん登場⁉」みたいなシーンでその話が終わる回があります。ってか、めちゃくちゃある。で、その答え合わせを次の話でやるわけですが、ずっとスカしていくんですよ。「ざんねーん祖父江君はまだ出ませーん」みたいな感じで、制作陣のにやけ顔がちらつくんですよ(笑)
でも、視聴者は「きっと次こそは!」と信じて次の話を観ちゃうんですよね。気が付けば、30話まで辿り着いちゃって、その頃にはヒロインだけでなく他のキャラクターのことも好きになっているんですよね。少なくとも僕はそうでした(笑)
YouTubeでドラマを全話公開する
→各話短い方が良い
→ヒーローを出さずに焦らす
→視聴者は気になって追いかけちゃう
→はまってる
この流れが見事に当たっていて、いやあ、新しいし面白いなあと思いました。
そもそもがYouTubeの企画っぽいですよね。「青春ドラマのヒーローを全然出さないでみた」という企画を大真面目にやってる感じ(笑)
テレビでは受け入れられそうにないアイデアでも、YouTubeではそれができる。むしろそれが望まれている。
YouTubeというプラットホームに適した形に仕上げられたドラマ、それが『この初恋はフィクションです』というわけです。
☆いかに物語に巻き込ませるか
僕が思ったのは、「物語を共有させたら勝ちだな」ってこと。
人って、物語に弱いと思うんですね。良い意味で。
たとえば、僕、霜降り明星のせいやさんの高校時代のいじめエピソードを聞いて、めっちゃ好きになったんですよ。是非、調べていただきたいです(笑)
その人の今に通じる過去の出来事を知ると、つまり、その人の物語を知ると、すっごく好きになるんですよね。応援したくなるんです。
昔は全然ダメだった。
でも、あることがきっかけで、
今、こんなにも成功している。
こういった物語に、人の心は動くと思うんですね。それこそ、ほとんどの作品がこの型ですよね。
だから、いかに自分の物語に巻き込ませられるか、そこにかかっているなあって思っています。それは、作品づくりでもそうだし、あるいはコミュニケーション構築にも転用できそう。
とりあえず、自分の物語を知ってもらうための導線をつくることって結構大事なんじゃないの?という気付きを得られたという話でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
横山黎でした。