日記5/14

久しぶりに本を読むやる気がでてきて、江國香織を開いたら、一文一節一語のすべてが身体に吸収されてどきどきした。

流れゆく文字に心をのせているとき、連絡をくれそうな気がする。でも、そんな時期は終わったのだ。

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この間の電話でわかった。わたしたちの心は離れてしまった。すっかり。もともと同じ方向は向いていなかったけれど、まったく逆の方向を向いているわけでもなかった。でも、いまは生きている世界がちがうっていうくらい、うまく思い出すことができない。記憶は断片的で、でもかなしいくらいはっきりしている。

20代最後の「おいた」として、あのことを片付けられたらいいなと思う。いまはあまりにも生々しくてとても小説になんかできないけれど、いつか丁度いいくらいにフィクションとノンフィクションが混じり合ったネタになればいい。アイスコーヒーを飲みながらそんなふうに思った。

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一ヶ月ぶりの銀座は初夏の陽気だった。本屋も開いていて(先月しまっているのを知った時はこの世の終わりだと思った)、少しずつだけれど日常が戻ってきたという感じ。

心はずむ季節、真夏の夜の夢。

わたしはいつでも、季節のはじまりが好きだ。

生きねば。


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