たんぽぽ畑

今日もお疲れ様でした。
ちょっと小話を聞いてください。

以前、北海道の美瑛に行った時、森の中にポツンと立っている民宿に泊まりました。
そこには体調不良から早期にリタイアしたおじさんが働いていて、宮沢賢治の雨にも負けずのような暮らしをしていました。

おじさんは私に「人生は登っている時が一番幸せ。頂上に到着したら終わりだからね。」と話してくれた。

翌朝、近所を散歩していたら小高いたんぽぽ畑の山に出会った。
私はそこを登りたくなった。
はじめは駆け上がったけど、登ってみると意外に高い。
息が荒くなりながらも登り続ける。
ふっと、おじさんの言葉が頭をよぎる。

「人生は登っている時が一番幸せ。頂上に到着したら終わりだからね。」

本当かよ。

私は頂上を見たくなった。
見たくて見たくて仕方がなくなった。

おじさん!私は頂上を見たい。きっと終わりなんかじゃないんだ!

私は駆け上った。

息を切らしながら、私はひとりで笑っていた。
楽しい。確かに楽しいよ!

頂上に着いた。

わぁ!これは、絶景だぁ。そして果てしないじゃないか。

私の見た景色は、今までに見たことのない、たんぽぽ畑の山々だった。

さて、それじゃあ私の人生はどうなんだ?

こんな絶景を見た事あったのだろうか?

多分無い。

こんなにがんばって生きてきたのに何にもなかったなぁ。

ん?でも果たしてそうなのかな?

自分の人生の足元を見てみた。

確かに小さな山々だったけど、確実にたくさんの山を越えていたじゃないか。

私は周りの景色に気を取られて、自分の山を見ていなかっただけじゃないか。

ちゃんと登って来てたじゃないか。

ごめん。自分。よくがんばったね。

これからはちゃんと自分の山を味わいながら登って頂上の景色を見ていくよ。

そう思って今日も生きるのです。

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