あいいろのノート
今日もお疲れ様です。
今日は小さな物語を聞いてください。
ケンちゃんはいつもかけっこが早くてみんなの人気者。
カンちゃんはのんびり屋さんでお絵描きが上手。でも足が丈夫じゃなかったのでかけっこが苦手でした。
ふたりが通うひまわり幼稚園では、毎年かけっこ大会で1等賞になると、かっこいい藍色のノートがもらえます。
みんな、そのノートが欲しくて一生懸命に走ります。
1等賞になれなくても、園長先生からみんなにえんぴつ2本がもらえます。
今年のかけっこ大会も、やっぱりケンちゃんが1等賞になりました。
カンちゃんはいっつもビリっけつ。
でも、カンちゃんは落ち込むこともなく、園長先生からえんぴつをもらいます。
カンちゃんははじめからあきらめていたのです。
「ぼくはノートはもらえない。だって、はしれないんだから。」
ケンちゃんはカンちゃんの絵が上手なことを知っていました。
「カンちゃん、このノートとえんぴつ、交換してくんない?ぼくはえんぴつをもらったことないからえんぴつが欲しいんだ。」
そう言って、藍色のノートを差し出しました。
「カンちゃん、このノートに絵を描いてよ。ぼく、カンちゃんの絵が好きなの。」
カンちゃんは嬉しそうに藍色のノートとえんぴつを交換しました。
カンちゃんは、ケンちゃんの走る絵を描いて見せました。
ケンちゃんも、そのノートにカンちゃんが走っている絵を描きました。
「ぜんぜん下手くそだな。やっぱりカンちゃんすごいや!」
ふたりは楽しそうに絵を描いて遊びました。
たくさん、たくさん描きました。
藍色のノートはどんどん愛色のノートになりました。
今日は楽しかったね。また遊ぼうね。