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ネパールでの服作りの苦悩

note投稿五本目にして、ようやくアパレル関係のお話を。
ネパール在住中に、飲食店だけではなくもっといろんな分野のビジネスに挑戦してみたいと漠然と思っていた。
そんな時、ふと気づいたことが、ネパール在住の日本人の多くがアパレル関係の仕事に従事していた。

「アパレル」と一括りにするとちょっとナンセンスなのだが、企画・製作・販売を一気通貫で行なっている人や、ボタンだけを卸している人、また日本のブランドの下請けをしている人など様々。

僕は、一度やりたくなってしまうと、とりあえず形にするところまでの0→1はやってしまう性格なので、右も左も、なんなら前も後ろもわからない状態でブランド名だけ決めて始めることを決意。早速ネパールのスーツ屋に行った。
※ネパールは、スーツ屋や、North Faceのパチモンを置いている服屋の上の階に大体工場があって一着から依頼できるのである。

市場に行って予め購入していた生地と、日本でよく着ていたユニクロのシャツを両手に抱え、受付のヒョローいにいちゃんに一言、
「これと同じの作って!」
とお願いした。

日本人(一応ハーフですが、ネパールでは薄い方)が珍しいのか、キョトンとしていたがOKとの返事をもらい、1週間後に来てくれと言うことでその日の任務は完了。

そこからの1週間は、「あの生地で作ったら絶対ええ感じになるな。」「次はあーして、こーして、ほんで色違いも作ろ」などと胸を躍らせていた。

迎えた1週間後、ルンルン気分でスーツ屋に到着。にいちゃんに話しかけると、
「まだ出来てないわ」
と一言。
「??????」

そうなのだ。この国では日本の常識など一切通用しない。
ましてこのスーツ屋は、日本に卸したりしていない。
そう、これが俗に言う「ネパリタイム」なのだ。
※説明しよう!ネパリタイムとは、ネパールのゆるーい空気の中で流れる時間で、
とにかく全てがゆっくり。何かあればネパール人はネパリタイムとはにかむのだ。
これはある意味ネパールの醍醐味なので、ここもネパールの面白いところ。

当時、ネパールに住んで約半年、なんとなく分かってはいたがダメージは大きかった。そして自分が日本人的感覚で動いていることを再認知。(日本で販売するつもりだったので、日本人的感覚になるのは当たり前だが)
また、僕はあくまでネパールにお邪魔していて、ネパールの文化も慣習も受け入れなければならないということもどこか忘れかけていた。

虚無感に襲われていた時にふと感じた事がもう一つ。ネパール人はとにかく謝らない。日本だと電車が1分でも遅れるとお詫びのアナウンスが入るが、ネパール人がソーリーと口にすることはかなり稀。この辺りも日本とネパールは大きく違うなと
思った。

そんなこんなで、どうにもならないのでいつになる?と聞くと
三日後に来てくれと。

まあもうお分かりだと思うのだが、三日後も同じ状態だったよね。
何回も来るのしんどいから、確実に出来る日教えてくれ!と言うと
「2週間後に来て。」と。

かなり念押ししてほんまにできる?ほんま?と聞くと
『ほんまにできる』と。

さあ、やってきました2週間後。
なんだがバツが悪そうな顔をしているにいちゃん。
「まだ出来ていない」と。


「オイッッッ!!!!!!」
はい、この国ではやってはいけないことがわかっていましたが
キレちゃいました。
一向に謝らないので「ごめんって言え!!!!」と。
にいちゃんは悲しそうな顔で「ソーリー」と。

それからこのスーツ屋は2度と行かなくなったのですが、日本の常識が何一つ通用しないネパールでは日本の当たり前が一切通用しない。

結局知り合いの工場でスーツ屋の4倍の価格で作ってもらいました。
なんと1日で完成。そこは日本人がマネジメントしているところなのでしっかり
「ジャパニタイム」でした。

と、これからネパールでの思い出話もつらつら書いていけたらなと思います!

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