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読書日記〜凹凸〜
あなたは如何お過ごし?私は昨日、一昨日までのイベを思い出しにやにや。モアナと伝説の海、キングコングのどっちを見るか悩む。何も観ず帰る。何かを極端に心を寄せる事柄がある間、ぽんぽんと新しいものを取り入れられない。私の不自由な所。
鑑賞後、何かに数日、心をやんわりと支配。心地いい。大好きな人が魂を削り作り上げた。違いない。完全に私の人生の時間。香り高く幸福な不自由さ。胸を縛って。
先週、新作長編小説「凹凸/紗倉まな」読み終える。前作「最低。」でファンになる。私は今回も発売を心待ち。
心地よい不自由さ。本作の物語世界。一貫してやんわりと薄暗い不穏さが漂う。他人への諦めたような視線、自分の人生への俯瞰。主人公達の見る世界を生々しく象る。描写の巧みさが読者に心地の良さを与える。違いない。物語中にいる人の全然心地の良くない生きる行為。チグハグさ。先の肌奥の温度を伝える。
前作より更に深化した文章表現。登場人物1人1人に皮膚感覚、奥の肉、内臓、骨格を与える。過去、現在を与える。
ある日を境に夫と決別した絹子、2人の娘・栞。強く生きる2人。精神の奥では一家崩壊の日に縛られ続ける。24歳の栞は恋人に親の姿を重ねていると気づく。
2代に渡る性と愛の物語。物語は母、娘。娘、父の関係性を軸に進行。複雑な構成。毎章すっと入っていける。語り手を想起させる描写の巧みさ。どの視点の世界も知りたいという囁かな期待。図らずも叶う快感。画角が切り替わってもそれぞれの視界の持つ濃密さを映す。
家族は呪い。無償の愛情、優しさ。込められていることは決して忘れない。髪、肩、瞳の奥、箸の持ち方、靴の履き方。自分以外の誰かから受け継いだもの。あるのなら何処から何処までが自分?仕方ない。以前、noteに「私は私。私を解らせてくれる人は友達」と書く。呪いは自分の一部。多くの部位は他人に侵蝕。体感を差す。
人間関係自体が大なり小なり、お互いを囁かに呪い合う側面。否定的な意味だけでなく、愛情を持ち接した他人の要素。無意識に囚われる現象。家族間を例える。生き血を使った魔術。解き放たれたい。願えば願う程、禁忌。強く思い知らされる。
本作に登場する母娘、父娘の関係。生まれながら、育ちながら、お互いを僅かな歪みと共に蝕む。それぞれのあるべき完璧な形。一部は長け、一部は欠け自分。存在凹凸が作られる。
目的は違えどオイディプス王は親を殺し、寺山修司も親を精神的に殺す。幾度も言葉を重ねる。「自分は親の所有物」「子は私の」無意識の所有。お互いに逃れる。子が1人前になる。
愛情の在り方は十人十色。形は複雑。本当の決別は難しい。親子は互いに対する言葉にならない感情が多すぎ、憎い愛。可哀想、寂しい。表せない。絵を描き終えた後のパレット。名前は付けられない。名前が付けられない想い。引き出しにも仕舞えない。何処にいったかも解らない。自分という河の中を漂う、1番厄介。
娘、父。互いの歪みを知り、受け入れる。一緒にもなりきらない。2人で1つ。終着地点に向かう。決して真っ直ぐとは言えない道のり。先は見ようによっては不気味。2人の世界が1度のみ完全になる瞬間。娘が他の誰でもない娘に。父が親の面影の器ではなく完全な父になる瞬間。清々しく、美しい寂しさに満ちる。
歪みは如何言うこと。真っ直ぐの人は本当はいない。如何して人は人に歪んでいると感じる。私は本作を読み、人の歪みを描くことは人の痛みを何処かで温く許す行為。緻密な程、優しさになる世界。人という1つの河の中。小石に引っかかったまま誰にも見つからない欠落、過剰。ずっと寂しいと泣く。作者は自分を救う為に書いた。強くなるには傷つかなければいけない。
娘と父。歪なまま深く手を繋ぐ。親殺しの音楽。個人の持つ強さ。誰のせいでもない自分の歪み。
素晴らしい。大好きな作家。作者は3月23日がお誕生日。今でも夢の中のような出来事。お読み頂ければ。私はJKの頃からブログの読者。気取らない格好の賢く、可愛い子。衝撃を受ける。ずっと好き。お世辞抜きに世界1可愛い女性。
人より多くを感じ取りながら生きる人。絶対に苦労をしている。身体を薄く強い膜で覆う。微笑むことの美しさ。生き、感じ、悩む。心の何処か一部分を強くし、突かれると痛い場所がある。唯一無二の自分。生きる人の美しさ。普遍的な美。ずっと彼女から感じる。
人の為に強くなる、愛。女は常に前進。過去も全部持ち、生きる。私も強くなる。心から思う。彼女の存在自体、愛。盲信ではない。同じよう感じる人は多い。
私がどんな活動をしても枠だけで分離されることなく少しでも気軽に見て。必ず基盤は作者。今は色々なものを本当に一方的に頂いてばかり。弱い自分。何時か作者がくれたものを私も人にあげる人になる。強く思う。
端から見たら媚び。私は媚びるのは苦手。思ったことしか何時も言えない。本当。ちゃんと届く。よかった。私は何時も隅っこで1人。声が届く近さまで歩み寄る。嬉しい。本当、素敵な1日。改めて作者、受け入れてくれたみんな有難う。おめでとう。
新作「凹凸/紗倉まな」お世辞抜きに読む価値のある素晴らしい1冊。みんなも是非。私はこれからも作者大好きオーラを持つ。日々を頑張る。
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