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映画日記〜ロマンスドール〜

報われない努力はある。誰にとっても当たり前の事実。何に置いても無駄に悲観することなく冷静に考える癖を何とか保ち思考。言葉も悲観故に捻り出す卑屈名言集の一節ではない。本当普通。

読んだ人に、努力は例え失敗しても経験とし体内蓄積される。報われないことは絶対にないと熱く話をされた時私は今励まされようとしているのかと感じる。主張は一理ある。私の言う努力は誰かの為にした努力のみを指す。逆に言うと誰かの為以外なら努力不可能。

優しくしたいと思い接して来た相手に最後には凄く嫌われる。その時は大抵私の方にあげられるものがない。渡す飴籠はもう空。如何してくれないのかと怒られる。自分がしたことは全部間違い。私が言いたかったのは届かない優しさはあること、届かなかった優しさは優しさではない悲しい現実。

人前に出る仕事を始めどんなに癖ある人でも愛する努力をする。生きるには如何したって苦痛が伴う。私は優しくする為に耐えるべき多少の不愉快、苦痛があっても自分中でのみ理解し打ち消せばなかったことになる。何というかどんなに違い難しくても誰も排除せずぎりぎり回る小さな世界を作る。誰かの嫌な所を探すことに敏感。感度は折れ。いい。有難うを言える理由ばかり探したい。誰かに大好きになって貰いお金、時間を使って貰うことで成立する職業。誰かを引き留め、愛を強請り、不安にさせ思い通りに動いて貰う凡百狡さは使ってはいけないカードとして触れずにやる。誠実に誰のことも態と誑かしたりしないよう心がけて生きる笑い話。何だっていい。誰も傷つかないで。如何したって傷つく人が出る。嫌われる瞬間がくる。嫌なことばかり言われ優しさの限界を垣間見る瞬間が1番怖い。ずっと同じで居られないのは私が誰かの望み通り動くのみでは生きられない変なな生き物。

人は中身を知れば知る程嫌いになる理由が増える。人にしか感ずることの不可能な世界においての視野がある。重なり合う位はあっても完全に同じになることはない。尊重し合うべき。如何したって他人に自分には見えない視野があることを想像しない人がいる。そう。人は屡々自分の価値基準で他人の限界を量る。

誰かが撮った映画をこんなに綺麗なのは変と嗤う人が居ても人にならなきゃ景色が本当か如何か分からない。何をしていても。そう。

「ロマンスドール/タナダユキ」映画を見る。監督自ら執筆した小説が原作。ラブドール職人であることを隠したまま結婚した主人公、別の秘密を持つ妻の生活が描かれる。一貫して青白い調子に黄色い光が差し込む。制限された清潔感のあるカメラワークの動きで切り取られた日常、人の肌、胸が苦しくなる美しさを映す濡場。何時までも見て居たくなるような不思議な静けさを纏う。とてもよい。

性処理人形。人の欲望を満たす為の商品を作る主人公、妻。幸福な結婚をしたものの人形作りに没頭する主人公、徐々に孤独になる結婚生活中で大きな秘密を抱える妻のすれ違う様に決定的な正しさは何処にもない。不倫、性欲、嘘。どれも決して清潔でない要因で耐えずぐらつく関係性を綺麗に映すことに不自然さを感じる人もいる。色々な嫌、悲しいことがあったのに美しく官能的に愛し合う2人は狡い。世界が綺麗に見える事実、人が如何しようもなくくそである現実。実際の所関係ない。人がくそであろうと綺麗な人にとっては世界は綺麗。愛したいと願う。私は。そう。大それた理想などない。いい。世界は最悪。私もくそ。何か私は可愛い位の許しでよい。そう。間抜けさに愛あれ。いい。

自分以外の誰かの視界には決して入ることは不可能。仲良くすることは秘密を分かち合う、何でも言い合える仲、作為的にでも可能なことなどではない。本当に愛し合うなら何時か当たり前に見える部分にも愛着を持つことが可能。自然発生でのみ可能な何か。愛は自然発生。維持は人工的に行わなければならない。騒ぎ立てず、静かに、粛々と、誰にもばれずに努力。そう。永遠に近付く権利を得る。

映画中、人形工場の先輩造型師には夢がある。肌が関節で分かれず全てが1繋ぎになる人形を作る。可能なら人形には魂が宿る。夢見心地で語る。 

本当は人間は部分・部位などに分けるれず1繋ぎの人形のよう隠すべき部位、晒して良い部位も1枚の皮膚で灘らかに繋がる。事実自体が隠し事のよう禁忌。

夫婦生活は服を着た人形のよう他人の目からは全貌が見えない。形で終わりを告げても限られた視野中はいる人にしかする接続権利はない。永遠に。

周囲から見えるあなた、私しか知ることのないあなたは確かに1枚の皮で繋がる。愛していないと終ぞ見ることのない秘密の視野がある。覗き合えるか如何が俗にいう愛が連れてくる奇跡。

別れ、生活が密接に繋がり死生が1繋ぎ。当たり前。何時だって仕方ない。特別気にかける生物が死ぬこと、仲良くやりたい人との別れが来ることは精神の構造上あってはならないこととして読み込まれる。限りある身体に生まれる。仕方がない。日常中の1つとし設定。

映画最終場面、爽やかな愛の篭った諦めを見て、あまりに綺麗で泣く。私の魂が私を大好きでいたい誰かにとって邪魔なら人形になりたい。凄くある。顔、体も人形ぽくない。売れない。考え詰まらないから辞める。これからどんどん顔、身体、立ち振る舞いを見て好きとやって来た可愛い色んな誰かに思ったよりややこしいと失望され最後に1発殴られ別れゆく。何時になったら私の魂が私の身体に入ることが許される日が来る。

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