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【読み切りショート】ぼっちクリスマス🎄🎅



ぼっちクリスマス

雪が静かに降り積もるクリスマスイブの夜、街はイルミネーションで輝き、カップルや家族連れが楽しそうに歩いていた。しかし、そんな賑やかな街の片隅で、一人の青年、健人は一人ぼっちで過ごしていた。

健人は、今年もまた一人でクリスマスを迎えることになった。友人たちは皆、恋人や家族と過ごす予定があり、彼だけが予定のないままだった。彼は、街のカフェでホットチョコレートを飲みながら、窓の外の景色をぼんやりと眺めていた。

「今年も一人か…」と、ため息をつく健人。そんな彼の前に、一人の女性が現れた。彼女は、カフェのドアを開けて入ってきたが、どこか寂しげな表情をしていた。彼女の名前は、茜。彼女もまた、一人でクリスマスを過ごすことになっていた。

茜は、カウンターでコーヒーを注文し、空いている席を探していたが、どこも満席だった。健人は、彼女に気づき、勇気を出して声をかけた。「ここ、空いてますよ。」

茜は驚いたように健人を見つめたが、すぐに微笑んで「ありがとう」と言って席に座った。二人は、自然と会話を始め、お互いのことを少しずつ話し始めた。健人は、自分が一人でクリスマスを過ごす理由を話し、茜もまた、自分の孤独なクリスマスの理由を語った。

「実は、去年のクリスマスは七面鳥を焼こうとして、キッチンを火事にしちゃったんだ」と健人が笑いながら話すと、茜もつられて笑った。「それなら、私も負けてないわ。去年はクリスマスケーキを作ろうとして、砂糖と塩を間違えちゃったの。」

時間が経つにつれ、二人はお互いの存在に心地よさを感じ始めた。健人は、茜の笑顔に癒され、茜もまた、健人の優しさに心を開いていった。二人は、クリスマスの夜を一緒に過ごすことに決め、街のイルミネーションを見に行くことにした。

雪が降り積もる中、二人は手をつなぎながら、輝く街を歩いた。健人は、今年のクリスマスが特別なものになることを感じ、茜もまた、孤独ではない温かさを感じていた。



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