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「ポジショニング基礎」臥位や座位ポジショニングの基本から、福祉用具についても説明|2022.12.16配信

本ブログはYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。分かりやすいオリジナルイラスト付きで確認したい方は、YouTubeKindleで確認してください。

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はじめに

「どうやってポジショニングすれば良いか自信がない、、」

「ポジショニングに関する知識がないまま中堅になってしまった、、」


ポジショニングは簡単にできるようで、奥が深いです。


ちょっとした知識があると、ただクッションを入れているだけの時と比べて、


その差はどんどん出てくる事でしょう。


この動画では、若干上級者向けの、ポジショニングの基礎を説明していきます。


「隙間を埋めましょう」や「拘縮を予防しましょう」といった、


単純な話ではなく、臥位や座位ポジショニングの細かいポイントを説明します。


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特にYouTubeでは、

中堅くらいのPTに向けて、

複雑なリハビリの知識を整理して詳しく、わかりやいオリジナルイラストを使って説明しています。


いいねやチャンネル登録で応援したくださると幸いです。


では本編に進みましょう〜。


本編


臥位ポジショニングの基本


臥位のポジションングにおいて注意すべきポイントは、次の7つになります。


①アライメントの評価と整え

②頭部・肩甲帯・骨盤を意識した介入

③広い面で支える

④物品を効果的に使用する

⑤摩擦力の軽減を図る

⑥重力を利用する

⑦筋緊張を緩和する


それぞれ、もう少し深く説明していきますね。


時間がないという方は、この7つの言葉だけでも覚えていって下さい。


今後、臥位のポジショニングを行う上で、必ず役に立つはずです。


ではでは、詳しい説明に入りましょう〜。


①アライメントの評価と整え


地球は重力の影響を受けていて、


僕たちが何か活動する時は、常に重力の影響を加味して活動しなければいけません。


重力によって、姿勢が崩れないように常にバランスを調整しなければいけないって事ですね。


この時に、機能している能力は「正常中枢性姿勢制御機」と呼ばれ、


次の3つの要素によって成り立っています。


❶正常な筋緊張

❷相反神経支配(相反抑制)

❸共通の動作パターン


まずは、正常な筋緊張について。


これは、重力に対して活動を行う際に、


「身体を支えるための筋緊張」はもちろん、


「運動を妨げない程度の筋緊張」も必要という事です。


相反神経支配(相反抑制)は、


主働筋が収縮する際に、拮抗筋を収縮させない(弛緩させる)命令が出されるというような、


互いに拮抗しあう筋の活動を抑制するメカニズムが必要という事です。


これにより、身体の一部を安定させ、他の部分を選択的に動かす事が可能になります。


共通の動作パターンは、


立ち直り反応や平衡反応が該当し、


運動を行う際の基盤になり、


動きとして日にみえないわずかな筋緊張の変化から、


体幹や四肢の大きな動きまで広範囲にわたって関係しています。


正常な状態であれば、先ほど説明した3つの要素によって、


体のねじれや崩れがあった時には、修正するように体が動きます。


ところが、拘縮や麻痺などの障害があると、


この機構が機能せず、身体を修正する事が困難になるだけでなく、


悪い方向に連続する、負の連鎖に陥ってしまう可能性も考えられます。


身体のねじれが発生

正常中枢性姿勢制御機が機能しない

ねじれ状態が持続

血液の流れが悪くなる

関節やその周辺の諸組織に十分な栄養が行き届かなくなる

関節の変形や組織の伸長性が低下する

身体がさらにねじれる


そのため、この正常中枢性姿勢制御機が十分に機能するような、


あるいは、負の連鎖に陥る事を出来るだけ防げるような、


戦略を考えなければいけません。


そのためには、正常で無理のないアライメントを評価し、


そのアライメントに、整える事を意識していきましょう。


正常で無理のないアライメントは、こんな感じになります。


正面から見た時:

頭頸部・両肩・両腰・両膝・両踵部の位置が概ね左右対称

頭頸部・両肩・両腰・両膝・両踵部の位置が正中線を跨いで概ね均等


側面から見た時:

身体の沈み込みの深さが概ね左右対称

枕を使用している状態で頭頸部が中間位〜軽度前屈


もちろん、対象者の体の状態や習慣によって、


正常で無理のない姿勢は個人差がありますが、


なんとなくの基準として、


このアライメントが正常で無理のない姿勢であり、


正常中枢性姿勢制御機も、働きやすいアライメントであると覚えておきましょう〜。


✔︎チェックポイント

正常で無理のないアライメントを意識し、体のねじれを解消するような、あるいは負の連鎖を断ち切る事を目指す。


②頭部・肩甲帯・骨盤を意識した介入


人の体は、頭部・胸部・腹部・四肢に、大きく分ける事ができ、


特に、頭部・胸部・腹部には、


生存必須となるモノの、ほとんどが含まれていて、


人の動きは、これらの部位が、キーになる事が多いとされています。


主な特徴として、次3つが挙げられます。


❶頭部は、全ての動きを主導する

❷肩甲帯は、上肢と上半身の動きをコントロールする

❸骨盤は、下肢と下半身の動きはコントロールする


ポジショニングを行う際は、


この特徴を理解したポジショニングを行う事で、


対象者に不快感や痛みを抱かせず、かつ違和感や緊張感を持たせないセッティングが可能になります。


体位交換を行う際も、、


頭部から誘導し、


肩甲帯(上肢)→骨盤(下肢)と、


進める事で、対象者に不快感や違和感を与えず、介助することが可能になります。


特に頭部には、目があり、視覚情報の入口ともなって、


視覚情報は、身体を調整する際に重要な情報でもあるので、


頭部の位置や視覚から見えるモノは、意識するようにしましょう。


上肢のポジショニングや、下肢のポジショニングを行う際のも、


肩甲帯や骨盤の位置を先に考えるようにした方が良いですね。


先ほどお伝えした通り、人は頭部・肩甲帯・骨盤が、その他の身体をコントロールするような特徴を持っているので、


頭部・肩甲帯・骨盤を意識した介入を心がけましょう。


✔︎チェックポイント

頭部・肩甲帯・骨盤を意識した介入を心がける事で、不快感や違和感の少ない介入が行える


③広い面で支える


広い面で支える事で次の2つのメリットが得られます。


❶体位が安定する

❷体への負担が軽減する


まず、❶体位が安定するについて説明していきましょう〜。


安定を考える時は、


少しだけバイオメカニクスを応用して考えると、


分かりやすいので、少しだけ小難しい説明をさせて下さい。


安定は、「支持期底面」と「物体の重心」の関係が重要になります。


話は単純で、


支持期底面の中に、物体の重心があれば「安定」し、


支持期底面の中に、物体の重心がなければ「不安定」になります。


この法則からいくと、体位の安定のためには、


重心が支持期底面の中に入るようにすれば良いことになります。


クッションを使ったり、体の接触面を増やしたりする事で、


支持期底面が広がり、


広い面で支える事で、重心が支持期底面の中に入り、体位が安定します。



次は、❷体への負担が軽減するについて。


ある実験から、接触面が広い方が、


接触面が狭い場合と比べて、体に加わる圧が少ない事がわかっています。


体に加わる圧が高いと、その分、体への負担も大きくな理ますよね。


接触面を広げ、圧を分散させる事で、


体への負担を小さくさせる事が可能になります。



✔︎チェックポイント

広い面で支える事で身体を安定させ、また身体への負担を軽減させる事ができる


④物品を効果的に使用する


麻痺や拘縮などによって、広い面で支えることが困難な場合、


クッションやピローなどの福祉用具を使用し、


身体を支えることが重要になります。


ところがここで、適当に福祉用具を使用してしまうと、


悪い方向に、身体が誘導されてしまい、


意味のないポジショニングになりかねません。


よくありがちな3パターンをお伝えするので、


効果的な物品の使用が行えるように参考にして下さい。


パターン1「深く挿入している」

→体のねじれを増強させる


パターン2「浅く挿入している」

→圧が分散されない


パターン3「隙間がある」

→隙間の当たっていない部分は、身体を支えるために筋緊張を上げなければいけない


✔︎チェックポイント

物品を使用する際は、挿入の深さや隙間も意識しなければいけない


⑤摩擦力の軽減を図る


褥瘡予防の観点から、「摩擦力」を考えることが重要になります。


この「摩擦力」は、ポジショニングを行う際、


必ず生じるモノなので、配慮を忘れず行うようにしましょう。


よく行われる手法としては、「背抜き」が挙げられますね。


背抜きは、「ベットや車椅子から、体を一時的に離すことで摩擦力を解放する手法」とされていて、


ギャッジアップ後や、移乗後によく行われることが多いかと思います。


ここで忘れられがちなのが、側臥位への体位交換時や物品の使用時。


摩擦力は、身体が動く全ての場面において、働く力なので、


基本的には、どのような状況においても、「背抜き」のような、


摩擦力を軽減させる行為を行わなければいけません。


ところが、臨床現場を思い浮かべると、忘れられていることが多い現状です。


この動画を見ている方の中でも、


背抜きはよく行っているけど、側臥位への体位交換時や物品の使用時は何もしていない、、、


という方は多いのではないでしょうか。


どうやればいいのか分からないという方もいると思いますが、


簡単なので、意識して行うようにしてみましょう。



方法は次の3ステップになります。


❶ポジショニング手袋やポリ手袋を着用する

❷着用した手を「身体とベットや物品が接している部分」に挿入する

❸寝具や衣服の皺を伸ばしながら手を抜く


このような、ポジショニング後の後処理を行う事で、


身体に加わる摩擦力が軽減し、


また、圧迫感やシワによる不快感も取り除くことができます。


これらは、褥瘡発生の予防にもなりますし、


対象者の安楽感の向上にも繋がり、


安楽感の向上は、無駄な筋緊張の軽減にも繋がるので、


忘れず実施するようにしましょう。


✔︎チェックポイント

身体が動いた時には摩擦力が加わっている事を認識し、摩擦力の軽減を忘れないようにする


⑥重力を利用する


先ほど、支持期底面の中に重心を入れることで、


安定させることができるとお話ししたかと思いますが、


ここでは、あえて支持期底面の外に、


身体を位置させる事も考えていきます。


支持期底面の中に、身体が位置する事で、


身体は安定しますが、それは不良肢位も、


そのまま安定させてしまう(悪い姿勢を保持させる)と、


考えることもできますよね。


ここで、あえて持期底面の外に、


拘縮部位を、ポジショニングすることで、


重力を利用して、徐々に拘縮を改善さえることができます。


痛みがなければ、基本的には筋収縮は起こらず、


四肢は、支持面のある方向に向かって促されていくので、


クッションやピローなどで、受け皿だけ用意しておいて、


拘縮を改善させるような、ポジショニングも検討してみましょう〜。


✔︎チェックポイント

時には支持期底面外に四肢をポジショニングし、重力を利用して拘縮の改善を図る


⑦筋緊張を緩和する


こちらは、全てのポジショニングの基盤になる知識なのですが、


筋緊張が高い状態が続くと、関節が動きづらくなり、


血流が悪くなり、栄養が行き届かず、拘縮に至る、


と、負の連鎖に陥りやすくなります。


ある研究によると、関節を動かさない期間が、


2〜3日あると、拘縮が起こり始めるとの報告もあります。


また、血流が少ないと酸欠状態になり、


乳酸の量が増加し、痛みや精神的負担が増加し、


それにより、過緊張状態に陥ると、さらなる負の連鎖にも巻き込まれます。


これらの状態に陥らせないためにも、


筋緊張を緩和させる事は、常に頭の中に入れておきましょう。


筋緊張は、今までの説明でもあった通り、


ポジショニングにも左右されますが、


運動にも大きく左右されます。


ポジショニングを行わなければいけない方は、


ご自分で動けない方が多いかもしれませんが、


介助をする際は、痛みのない範囲で軽く体を動かしてあげる


などのちょっとした介入を行い、


少しでも、筋緊張を緩和させられる取り組みを行なってみましょう。



✔︎チェックポイント

どうすれば筋緊張が緩和するか?を常に考えるのが大切


以上が7つのポイントです。


簡単におさらいしましょう〜。


①アライメントの評価と整え

正常で無理のないアライメントを意識し体のねじれを解消するような、あるいは負の連鎖を断ち切る事を目指す。

②頭部・肩甲帯・骨盤を意識した介入

頭部・肩甲帯・骨盤を意識した介入を心がける事で、不快感や違和感の少ない介入が行える

③広い面で支える

広い面で支える事で身体を安定させ、また身体への負担を軽減させる事ができる

④物品を効果的に使用する

物品を使用する際は、挿入の深さや隙間も意識しなければいけない

⑤摩擦力の軽減を図る

身体が動いた時には摩擦力が加わっている事を認識し、摩擦力の軽減を忘れないようにする

⑥重力を利用する

時には支持期底面外に四肢をポジショニングし、重力を利用して拘縮の改善を図る

⑦筋緊張を緩和する

どうすれば筋緊張が緩和するか?を常に考えるのが大切


「時短用まとめ資料」無料配布については、後編の動画でお伝えします。


症例によって状態は様々なので、


これまで説明した7つのポイント全てを、完璧に抑えたポジショニングが困難だと思います。


できる範囲で7つのポイントを押さえたポジショニングを行う事で、


本人にとって最善な姿勢を提供する事は可能だと思うので、


ぜひ押さえておきましょう〜


座位ポジショニングの基本


座位のポジショニングを行う際は、


①理想的な座位姿勢

②姿勢が身体機能に与える影響


の2点を理解して、実施する事が大切になります。


それぞれ説明していきましょう〜。


①理想的な座位姿勢


理想的な座位姿勢について、


今から説明するものは、あくまで理想で、


個人差や環境による違いがあるのは、ご理解下さい。


あくまで、一つの参考として、


理想的な座位姿勢を押さえておきましょう。



✅理想的な座位姿勢

頭部

中間位、垂直、眼位水平


頚椎

わずかな前弯


胸椎

わずかな後弯


腰椎

わずかな前弯


肩甲帯

内外転中間位


上肢

アームサポートor大腿でリラックスしている状態


骨盤

わずかな後方傾斜で、側方傾斜や回旋はなし


股関節

屈曲90度程度、わずかな外転とわずかな外旋


膝関節

屈曲90度程度


足関節・足部

中間位、ニュートラル・ゼロ・ポジション


拘縮や麻痺などの影響によって、完璧にこの姿勢に近づける事は難しいと思いますが、


この姿勢にできるだけ近づける事で、


筋のストレスを最小限にして、


長時間の座位生活を過ごす事が可能になります。




②姿勢が身体機能に与える影響


次は、姿勢が身体機能に与える影響について。


次の5つについて、説明していきましょう〜・


❶嚥下

❷呼吸

❸消化

❹循環

❺褥瘡


まずは、嚥下について


体幹が直立していて、頸部が軽く前屈している姿勢を「安全姿勢」と呼び、


この姿で、摂食・嚥下機能が正常に働くとされています。


円背の症例では、


体幹が屈曲し、顔を起こすように、


頸部伸展・頭部後屈位をとる症例が多いですが、


この姿勢は、正常な摂食・嚥下機能の発揮を著しく阻害するので、注意しましょう。


リクライニング機能や、ティルト機能の付いている車椅子を使用し、


リクライニング姿勢を取らせ、体幹を傾斜させても良いので、


頸部が軽く前屈している姿勢を意識できると良いですね。


✔︎チェックポイント

頸部が軽く前屈している姿勢で、摂食・嚥下機能が正常に働く


次は、呼吸について。


3つの報告が上がっているので、参考にして下さい。


臥位になると、

肺活量が7%減少、呼気予備量が65%減少、

最大吸気量が55%増加する


円背座位より、背筋の伸びた座位姿勢の方が換気量が多くなる


COPDの管理では、

胸郭の可動性の確保と、上部体幹がリラックスした状態での呼吸の習慣化が極めて大切


✔︎チェックポイント

姿勢によって肺活量や換気量が変わり、COPDにおいてはリラックスした状態での呼吸の習慣化が大切になる


次は、消化について


円背などの脊椎変形によって、十二指腸が締め付けられ、


十二指腸閉塞を起こしやすいとされています。


また、胃・食道逆流現象や便秘などが起こりやすいとも言われています。


覚えておきましょう〜。


✔︎チェックポイント

円背変形があると、十二指腸閉塞や胃・食道逆流などの消化器障害につながりやすい


次は、循環について。


仰臥位に比べて座位姿勢では、交感神経活動指標が増加するとの報告があり、


交感神経は循環を促す方向に機能するので、


座位姿勢をとる事で、循環が促される事がわかります。


また、長座位と端座位で比較した研究もあり、


下肢を下ろす事(端座位)で、より交感神経活動指標が増加するとされています。


循環について、もう一つ。


ティルト機能は、長時間の車椅子座位保持において、


うっ滞予防効果がある事、が報告されているので、


筋ポンプ作用の欠如などの理由により、下肢のうっ滞が予測される症例では、


活用するようにしましょう〜。


✔︎チェックポイント

臥位に比べて座位姿勢では、交感神経活動指標が増加し循環が促される


最後、褥瘡について。


日本褥瘡学会のガイドラインによって推奨されているものを、ご紹介しましょう〜。


自分で体位変換できない症例

車椅子とベットの定期的な移動を行う事

手動ティルト機構付き車椅子などを利用して殿部への負荷を無くす事

連続座位時間2時間以内を目安に、皮膚状態を診ながら時間を制限する事


自分で体位変換できる症例

車椅子上でのプッシュアップを行う事

身体を前傾したり側屈したりする事

電動ティルト機構を使用して殿部への負荷を無くす事


それぞれ参考にして下さい。


✔︎チェックポイント

定期的に姿勢変換を行う事が推奨されている






座位のポジショニングを行う際は、


これまで説明した通り、


①理想的な座位姿勢

②姿勢が身体機能に与える影響


意識して、セッティングするようにしましょう。



最後に、よくある不良姿勢についても説明しておくので、


よければ参考にして下さい。


✅仙骨座り

✅骨盤傾斜


✅仙骨座り

状態:

・矢状面での姿勢変化

・骨盤が後傾し、腰椎が後弯している状態

・膝屈曲・脊椎全体の後弯・頭部屈曲を伴っている事もある

・上前腸骨棘と上後腸骨棘を結んだ線が後方に傾斜している


影響:

・剪断力や摩擦力を引き起こし、尾骨部の褥瘡リスクを増加させる

・脊柱の後弯が内臓の圧迫を招く

・脊椎の後弯が腰椎棘突起の褥瘡リスクを増加させる


原因:

体幹や四肢の筋力低下、平行機能の低下、股関節や体幹の関節可動域制限、ハムストリングスの短縮、足での車椅子操作、背シートの不良、座り位置が浅い、座面の奥行きが長い、ドーナッツ様円座クッションの使用、座面クッションがない事による痛みからの逃避など


✅骨盤傾斜

状態:

・前額面での姿勢変化

・骨盤が左右どちらかに傾いている状態

・脊椎を側屈させる代償パターンがある

・手で体を支える代償パターンがある


影響:

・転倒リスク増大

・倒れている側の坐骨結節や大転子の圧迫による褥瘡リスク増大

・片手が支持に使われている場合、上肢や手指機能の損失


原因:

・拘縮などの要因により車椅子シートの中心からずれて座っている

・体幹の筋力低下

・立ち直り反応の低下


福祉用具の基本知識


ポジショニングを行う上で、ピローやクッションなどが必要なのはもちろんですが、


臥位であれば「マットレス」、座位であれば「車椅子クッション」に関して、


知識の少ないセラピストも多いのではないでしょうか?


ピローやクッションの選定に関しては、前の2つの章で紹介した状態を目指せるような、


用具を選定していけばOKです。


「マットレス」や「車椅子クッション」の選定に関しては、


少し知識があった方が良いので、これから説明していきます。


✅マットレス


マットレスの選定は、「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」にある選択基準を参考に行うのがいいでしょう。


主に、


❶自力での体位変換が可能か否か

❷骨突出の有無

❸頭部挙上の必要性の有無


の質問で構成されます。


このフローチャートによって、


ある程度、マットレスが選定できたら、


症例の症状や、マットレスの素材を加味して、


最善のマットレスを選定していきましょう。


マットレス選定に関わる症例の状態

痩せ

円背あり

拘縮あり

麻痺あり

痛みあり

呼吸困難あり

循環障害あり

皮膚の乾燥あり


肥満

円背なし

拘縮なし

麻痺なし

痛みなし

呼吸困難なし

循環障害なし

皮膚の浸潤あり


マットレスの素材


ウレタン

・ある程度の反発性があるため、沈み込みは期待できるが包む機能は期待で

きない。

・継続使用や汗・水・光などにより劣化し、形状変化や機能低下を起こす可能性がある


ポリウレタン、チップ

・柔らかく沈み込みよく包まれる。

・大きさによっては中割れを起こす可能性がある


ゲル

・追従性があり、ずれなどを緩衝する

・底づきを起こさない。沈み込みや包む機能についてはあまり期待できない


羽毛

・柔らかく沈み込みよく包まれるが、厚さの維持が困難


ビーズ

・ビーズの発泡形状によって機能に差が生じる

・柔らかく沈み込みよく包まれるが、中割れし底づきを起こす可能性がある


ハイブリッド

・組み合わせの素材により多様な機能が期待できる

・各素材の良さを相殺するような弊害も予測される



マットレスの機能

1区画

単一の圧再分配機能を有するもの


多区画

異なる圧再分配機能を有する区分で構成されたもの


✅車椅子クッション

車椅子クッションの選定は、 クッションの特徴を理解するのはもちろんですが、


「車椅子の座面の特徴」を把握すのも大切になります。


実は、車椅子の座面は、車椅子の種類によって、


結構、形や性能が違うので、


車椅子クッションの性能を、車椅子の座面が阻害してしまう、、、


なんてことも起こりかねません。


そのため、「車椅子の座面の特徴」と「クッションの特徴」から、


症例にあった、クッションを選定する事をおススメします。


「車椅子の座面の特徴」と「クッションの特徴」を簡単に説明するので、


選定時の参考にして下さい。


✅車椅子の座面の特徴

スリングシート(布張り)

・大腿部が接触しづらいため、坐骨に圧力が集中しやすい

・シートのたわみがあるため、真ん中から少しでもずれた位置に座ると坐骨が倒れる


平坦で硬い座面

・大腿部が接触しづらいために,坐骨に圧力が集中しやすい

・不安定な座位になりやすい


平坦で柔らかい座面

・坐骨が沈み込む分、接触面積が広くなり圧力が分散する。

・大腿部も接触しやすく、圧分散されやすい


コントゥアシート

・身体の形状に沿って支えるため、接触面積が広がり圧分散されやすい

・坐骨の前方が支えられるので、前方滑りの予防が可能






✅クッションの特徴


プラスチックフォーム材

・密度の近いにより、軽量なフォーム材と高密度なフォーム材がある。

・軽量フォーム材は脊髄損傷患者の車椅子クッションとして使用されるプロック状ゴム系フォーム材がよく使われる。

・座位保持の要素を入れたクッションが近年増えている

・形状が多種あり、座位姿勢の状態で選択できる

・表面部や底部にそれぞれ硬さの異なるフォーム材が使用されているものは、底付きを抑えられ座ったときの感覚が良い

・高密度フォーム材を用いたクッションは、荷重がかかり変形するとその変形を雑持し反発力を抑える機能を持っている

・問題点として、温度が下がると硬くなることや時間とともに劣化し、弾性機能が低下することがあげられる


空気

・空気を覆う袋の影響を取り除くように、多数の袋状に並べる形状がある

・着座した際に空気がいくつかの袋に逃げる構造になっているため、殿部が沈み込み全体を覆うことができるため、圧再分配機能は高い

・空気の量を調節することができる

・空気柱の上に座ることになるため、空気の量によっては不安定になることもある

・空気を覆う袋の材質はゴムであるため劣化が起こる



ゲル

・殿部の形状に適合しやすいが、重く厚さを十分に得ることができない

・圧再分配性能に限界がある


ハイブリッド

・「プラスチックフォーム材の硬さを変えたもの」「プラスチックフォーム材と空気」「プラスチックフォーム材とゲル」「空気とゲル」などさまざまな組み合わせのものがある

・姿勢保持や座面圧の再分配など、その目的に応じた組み合わせにより用途と対象選択の幅が広がる

・多機能あるいは高機能になるため、クッション単価が高額になる可能性がある



おわりに


勉強会に行って満足するけど、成長しているのか分からない、、、


情報収集しているけど、いまいち身になっていない気がする、、


おそらく多くのセラピストが同じような体験をしています。


勉強で大切なのは、「復習」です。


これに関しては、近道も遠回りもありません。


日々、少しづつ復習する事で、


その成果は必ずやってきます。


この動画も、しっかり理解したければ


聞き流しでもいいので、復習しましょう。


小さな一歩が、やがて大きな一歩になります。


そんなところで、今日のまとめです。


忙しい方のために、このまとめ資料をプレゼントします。


受け取り方は概要欄から。


リンクがない時や、クリックしてもページに飛べない時は、


期限切れなので、あらじめご了承ください。


有益な情報を見逃したくない方は、チャンネル登録をお忘れなく。


ではでは、また次の動画でお会いしましょう~。

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