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変形性股関節症に対するTHA術後の理学療法案|2023.8.15配信予定


※本記事はYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。

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はじめに

「THA術後って何をすればいいんだっけ…」
「THA術後リハで気をつけることってなんだっけ…」

THAはよく見る症例かも知れませんが、

正しい知識がない状態で、介入を進めると、

その効果は半減どころか、

むしろ悪い方向に導いてしまう事も大いに考えられます。

でも、この動画一本で、

そうならないために必要な情報を説明しているので安心してください。

実際に、僕が臨床するときに気をつけている事でもありますし、

この知識によって、悪化を防げた経験もあります。

しっかり理解する事が大切なので、

必ず最後までご視聴する事をおすすめ致します。

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かなり活動の励みになります。

ではでは本編に。

本編

■変形性股関節症

ではでは変形性股関節症について簡単に説明していきましょう〜。

変形性股関節症は、長年の負担や加齢などにより股関節内の骨や軟骨が損傷し、

痛みや運動制限が生じる疾患で、

主な原因は、遺伝的要因、肥満、外傷などとされています。

初期段階では、

軽い痛みや違和感が生じ、

進行すると歩行困難や股関節周囲の筋肉の萎縮が起こることがあります。

診断には、レントゲン検査やMRI検査が行われ、

症状の程度によって保存療法や人工関節置換手術が選択されます。

保存療法には、薬物療法、リハビリテーション、温熱療法、軽度の運動療法などがあり、

人工関節置換手術では、手術を受ける患者の状況によって、

半月板形成術、人工股関節置換術、石灰化治療、骨代謝改善薬の投与、ハイ消毒法などが行われます。

予防については、運動習慣の維持や肥満解消、

転倒予防、バランスの良い食事などが効果的で、

早期に発見して適切な治療を受けることで、症状の進行を遅らせることができるとされています。

また関節裂隙の変性程度によって、

●前股関節症
●初期股関節症
●進行股関節症
●末期股関節症

の4つに分類されるので、

それぞれの特徴を確認しておきましょう〜。

●前股関節症
臼蓋形成不全のみで骨硬化や、変性摩耗などの関節症変化がほとんどない

●初期股関節症
軽度の骨硬化やわずかな関節裂隙の狭小化を認める

●進行股関節症
関節裂隙狭小化の進行と、骨頭や臼蓋の骨棘などの変化を認める

●末期股関節症
関節裂隙の消失

■THA術後

ではでは、THA術後で押さえておかなければいけないポイントについて説明していきましょう。

ズバリ、

●跛行
●脱臼予防
●合併症予防

の3つになります。

さっそく説明していきましょう。

●跛行
THA術後は、手術の影響や、

長年の変性の影響により、

中殿筋の作用が弱化しやすく、

これにより特徴的な跛行が見られます。

1つは1895年に報告されたトレンデレンブルグ歩行で、

もう一つは、1867年に報告されているディシェンヌ歩行になりますね。

✅トレンデレンブルグ歩行

患側で片脚立脚を行う際に、

中殿筋の筋力低下により、骨盤を水平に保つ事ができず、

骨盤が遊脚足側に沈下する現象は、トレンデレンブルグ徴候と呼ばれ、

この徴候が見られている歩行を、トレンデレンブルグ歩行と呼びます。

✅ディシェンヌ歩行

トレンデレンブルグ徴候を代償するために、

立脚側に体幹を大きく傾斜させて、

患側への骨盤の沈下を防ごうとする現象を、ディシェンヌ徴候と呼び、

この徴候が見られている歩行は、トレンデレンブルグ歩行と呼ばれます。

●脱臼予防

THA術後においての脱日は、よく注目される合併症ですよね。

この脱臼の予防するためには、

①良い手術内容である事
②軟部組織の良好な回復
③徹底した患者教育
④術前からの股関節周囲の筋力低下を考慮した介入

が必要とされていて、

③徹底した患者教育④術前からの股関節周囲の筋力低下を考慮した介入に関しては、PTがよく関わるポイントですよね。

そしてこの時に必要な情報が、術式になります。

すでによく知られている情報だと思いますが、

THAは様々なアプローチ方法があり、

その方法によって損傷されている組織や、

損傷の程度が変わってきます。

よく適応されているものだと、下記の方法が挙げられます。

✅前方アプローチ
✅後方アプローチ
✅側方アプローチ

それぞれ簡単に説明していきましょうー。

✅前方アプローチ

股関節の前側から皮膚を切開し、筋肉や靱帯などを極力切らずに間を分けていく方法
どの筋肉の間から入るかによって、前方アプローチと前側方アプローチに分かれる
どちらのアプローチも筋肉を切らないため、最小侵襲手術に適する
術後早期の筋力回復が良い
関節の後方を要素に手を加えないため、ほぼ脱臼しない
術後の回復が早くリハビリ期間や入院期間が短くなる

✅後方アプローチ
股関節やや後ろ側から皮膚を切開し、後方に着いている筋肉(短外旋筋群)を切って手術する方法
側臥位で行われる
筋肉を大きく切ることで手術する部分の骨やインプラントがよく見え確実な手術がしやすいため、従来から行われている最も一般的な方法
原則的に短外旋筋群といわれる後方の筋肉を切離する必要があり、股関節を深く曲げると後方へ脱臼を起こすことがある
術後は後方脱臼への注意が必要となり、正座や和式トイレ等を制限や禁止することが多い
現在は、短外旋筋群の修復や非切離手技も用いられるようになっている

✅側方アプローチ
股関節の側方から皮膚を切開して手術を行う方法
股関節の外側にある中殿筋の一部を大腿骨の一部(大転子と呼ばれる部分)とともに切り離したり、骨からはがしたりして手術を行い、手術の最後には切り離した骨や筋肉を再度結び付ける
手術する場所が見やすいことに加えて、後方アプローチほど脱臼の心配が少ない
骨や筋肉を一度切るため、術後に筋力が低下してリハビリには時間がかかる
再度結び付けた情や筋肉がしっかりつかないと、その後も筋力が回復しなかったり、歩行が不安定になったりすることがある

●合併症予防

深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症。

この二つの単語は、国家試験でも散々勉強したので覚えている方も多いのではないでしょうか?

深部静脈血栓症は、下肢の深部静脈に血栓ができてしまう病気で、

この静脈の血栓が血管の中を流れ肺の動脈に詰まる病気が肺血栓塞栓症でしたよね。

DVTの徴候としては、疼痛やしびれ、チアノーゼなどがあり、

PTEでは突発的な呼吸因難や意識レベルの低下、頻脈などの徴候が出現します。

そのため、介入の前提として、上記の症状に注意しながら患者様の状態に合わせて予防を行なっていきましょう。

また、一般的に、整形外科における下肢手術後は、

術中体位による血流の低下や、術後疼痛や免荷による離床遅延などによって、

深部静脈血栓症(deep vein thrombosis: DVT) や、

肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism : PTE)が発生しやすいとされています。

近年では、国内でも深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症の報告が増えていて、

何らかの予防策が行われないと、深部静脈血栓症の発生率はTHA後34~63%との報告もあります。

そんな肺血栓塞栓症のもとにもなる深部静脈血栓症の発症には、次の3つが関与すると考えられています。

①術前の運動不足や術後安聯による血流の停滞
②術中操作による血管壁の損傷
③周術期出血による血液凝固能の促進・線溶能の低下

予防法としては、「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症予防ガイドライン(2004年)」によって、

運動療法による早期離床や圧迫法などが推奨されていますね。

具体的にはこんな感じになります。

早期離床・早期の基本動作の獲得
早期からの足関節自動運動による骨格筋ポンプ作用を利用した血流停滞の予防
弾性包帯
弾性ストッキング
間欠的空気圧迫法(foot pump)

弾性包帯、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法(foot pump)に関しては、

静脈血管径を縮小させることでうっ滞の軽減が見込め、

静脈拡張により生じる内皮損傷も防止できますす。

一方で、圧迫による皮膚トラブルのリスクもあるので、

色調変化や皮膚状態の確認は忘れず行うようにしましょう〜。

弾性包帯は、内側から外側へ巻いていくと、

下肢が外旋しやすく、緩みやすくもなるので、

外側から内側に向けて巻くのが良いですね。

ついでに覚えておきましょう。

また、間欠的空気圧迫法(foot pump)は、

下肢全体に対応するものや、足部のみのタイプものなどタイプが様々なので、

適応をよく理解し活用していきましょう。

■理学療法案

ではでは介入案について説明していきましょう〜。

ざっとこんな感じです。

❶足関節の自動低背屈運動
❷クワドセッティング
❸股関節の自動介助運動
❹基本動作訓練・指導
❺股関節周囲筋トレーニング
❻骨盤-体幹の協調運動

それぞれ簡単に説明していきましょう。

❶足関節の自動低背屈運動
肢位:背臥位、股・膝関節を可能な範囲での中間位
手順:
①足関節を動かせる範囲で背屈してもらう
② 足関節を動かせる範囲で底屈してもらう
③[②]と[③]を反復する
ポイント
・集中力も顧慮し15回を1セットとして、複数セット実施できると良い
・臥床しながら実施できるので術後早期から介入でき、下肢の血液循環の改善を促せる
・比較的簡単なので自主トレとして、介入以外の時間でも実施してもらえる

❷クワドセッティング
肢位:背臥位、股・膝関節を可能な範囲での中間位
手順:
①膝下に厚さ10cm程度のクッションやタオルを入れる
②クッションを押しつぶすよう指示を出す
③膝伸展に伴い、クッションが押し潰れているか確認する
ポイント
・集中力も顧慮し15回を1セットとして、複数セット実施できると良い
・臥床しながら実施できるので術後早期から介入でき、下肢の血液循環の改善・大腿四頭筋筋力の維持向上を促せる
・比較的簡単なので自主トレとして、介入以外の時間でも実施してもらえる

❸股関節の自動介助運動
肢位:背臥位、股関節中間位
手順:
①セラピストの一方の手を対象者の治療側内ももに、もう一方の手を治療側骨盤に設置する
②股関節の内外転運動を自動介助でゆっくり実施してもらう
③股関節の屈伸運動を自動介助でゆっくり実施してもらう
ポイント
・集中力も顧慮し15回を1セットとして、複数セット実施できると良い
・痛みのない範囲で実施し、運動振幅は小さめから徐々に広げていく
・筋力低下の予防と、可動域制限の予防を目的として実施

❹基本動作訓練・指導
●前方アプローチ
脱臼位置:前方脱臼
伸展+内転+外旋
動作例:
・術側と反対側への振り向き
・上半身だけの寝返り
・高いところにあるものを取る時

●後方アプローチ
脱臼位置:後方脱臼
屈曲+内転+内旋
動作例:
・低い座面の椅子に座る時
・内股で靴を脱ぎはぎする時
・椅子座位で靴下やズボンを履く時

❺股関節周囲筋トレーニング
肢位:背臥位、股関節中間位
手順:
①セラピストの一方の手を対象者の治療側内ももに、もう一方の手を治療側骨盤に設置する
②股関節の外転運動をゆっくり実施してもらう
③股関節の内転運動をゆっくり実施してもらう
ポイント
・集中力も顧慮し15回を1セットとして、複数セット実施できると良い
・治療側骨盤挙上の代償が出ないように注意しつつ、自動介助→自動運動→抵抗運動と負荷を調整する
・痛みのない範囲で実施し、運動振幅は小さめから徐々に広げていく

❻骨盤-体幹の協調運動
肢位:端座位
手順:
①体幹が後方に傾かないよう、骨盤の後継を誘導する
②体幹が前方に傾かないよう、骨盤の前継を誘導する
③座面の高さを変えつつ「①」と「②」を繰り返す
ポイント:
・対象者の両足は常に、床に接地しているように
・椅子の高さは低めから始め、徐々に高くしていく
・慣れてきたら、骨盤前傾位を保持した状態で、股関節外転運動の反復も行えると良い

おわりに

理学療法士なんてもうオワコン。

世の中は需要と供給で決まります。

理学療法士は増えているから、

供給だけが増え続け、

いずれ飽和するのは目に見えていますよね。

でもそれは資格を持っているだけの理学療法士の話で、

知識を持っている理学療法士はまだ少ないので安心してください。

そしてこの動画を最後まで見て、

勉強して知識を身につけているあなたは、

行動できているので、まだまだ大丈夫です。

そのままコツコツ、焦らず進んでいきましょう~。

※本記事はYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。

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