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ゴルフ肘(肘内側の痛み)に対するアプローチ案

本ブログはYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。分かりやすいオリジナルイラスト付きで確認したい方は、YouTubeやKindleで確認してください。

はじめに

ゴルフ肘の症例が来たけど、なかなか痛みが減らない、、

肘内側の痛みに対して、何をすればいいか分からない、、

肘の痛みって、生活する上で結構厄介で、

しっかり根拠を持って介入しなければ、

その痛みが取れることはありません。

この動画では、肘関節の基本的な知識から、

主要な問題点、介入案まで説明していきます。

知らないと危険なことも途中で、説明しているので、

見流さないようにして下さいね。

また、このリハメモチャンネルは、

アンケートで、「分かりやすい!」「見やすい」「基礎学習になる」などの

ありがたいお言葉を頂けているので、

このあたりは、保証できるかと思います。

いいねやコメントで応援してくださると、

励みになるのでぜひお願いします。

で本編に進みましょう〜。

基礎知識

肘関節は、上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕からなる腕橈関節、

上腕骨小頭と橈骨頭からなる腕橈関節、

橈骨頭の関節環状面と尺骨の橈骨切痕からなる上橈尺関節、

によって構成されています。

腕尺関節と腕橈関節では屈曲と伸展の運動が、

車軸関節である上橈尺関節では回内と回外運動が生じます。

また、肘関節の回内と回外運動は、

上橈尺関節と下橈尺関節の2つの関節で生まれる運動なので、

覚えておきましょう〜。

肘関節の特徴としては、蝶番関節である腕尺関節の構造から、

肘関節屈曲・伸展の最終域では締まりの位置になり、

側方安定性が高くなる一方で、

中間可動域ではこれが弱くなり、

靭帯や筋が安定性を担う割合が大きくなります。

この弱くなっている中間可動域で、

スポーツなどによる強い外力や、日常生活での頻回に弱い外力が加わると、

安定化機構への負荷が増加し、疼痛が生じやすくなります。

安定性の話が出てきたところで、

肘関節の安定化機構についても説明していきましょう〜。

例の如く、静的安定化機構と動的安定化機構に分かれて、

静的安定化機構としては、骨形態が、

動的安定化機構として、前腕屈筋・伸筋群が安定性を確保しています。

静的安定化機構を構成する骨形態としては、

上腕骨滑車と尺骨滑車切痕からなる腕尺関節で関節の適合が高く、

特に屈曲最終域では尺骨鈎状突起が上腕骨鈎突窩に、

伸展最終域では肘頭が上腕骨肘頭窩ににはまり込み、

関節の剛性が強固になります。

加えて、内外側面に存在している靭帯も、

関節を強固にするのを助けています。

動的安定化機構は、

内側支持機構と、外側支持機構に大きく分けられ、

内側支持機構は、前腕屈筋群のうち、

上腕骨内側上顆から起始する尺側手根屈筋、浅指屈筋、橈側手根屈筋.円回内筋が、

肘関節の外反を制動するように働き、

外側支持機構は、前腕伸筋群のうち、

上腕骨外側上顆から起始する長・短橈側手根伸筋が、

肘関節の内反を制動するように働きます。

痛みの原因

ではでは、肘関節の基礎知識を簡単に把握したところで、

肘の内側に痛みは発生させる原因について、

説明していきましょう〜。

ざっと、

内側側副靭帯
前腕屈筋群
尺骨神経

の3つが考えられますね。

基本的な考え方としては、

肘関節の外反時に「内側側副靭帯・前腕屈筋群・尺骨神経」に

伸長ストレスが加わって、

痛みが発生することが考えられます。

また外反に加えて、肘屈曲することで、

さらに伸長ストレスが加わり、痛みが増加します。

では、それぞれの組織についても説明していきましょう〜。

まずは、内側側副靭帯

内側側副靭帯は、前斜走線維、後斜走線維、横走線維に分けられ、

前斜走線維は、上腕骨内側上顆から尺骨鈎状突起に付着し、

肘関節屈伸軸に跨って位置しています。

伸展位では前斜走線維の前方が伸長されやすく、

屈曲位では前斜走線維の後方が伸長されやすいってことですね。

さらに言うと、前斜走線維として見れば、屈曲位でも伸展位でも、

緊張を保つことができる靭帯ともいえます。

後斜走線維は、上腕骨内側上顆から肘頭内側に付着し、

肘屈曲時には、伸展時の2倍伸長されます。

横走線維は、尺骨鈎状突起から肘頭に付着し、

前斜走線維の緊張を補助する役割を担っています。

まあ、簡単にまとまると、

内側側副靭帯のうち、

伸展時には前斜走線維の前方が緊張し、

屈曲時には前斜走線維の後方と後斜走線維が緊張するって感じになりますね。

そのため、何らかの要因によって、

一時的に内側側副靭帯が損傷した後、

損傷が長引いたり、瘢痕化してしまうと、

余計なストレスが加えられやすくなり、

可動域の最終域で痛みが発生します。

内側側副靭帯が問題かどうかは、

外反ストレステストで評価してけるといいですね。

肘関節軽度屈曲位で、脱力させた状態で、

肘外反ストレスを加えます。

内側側副靭帯の損傷がある場合、痛みが誘発されたり、

エンドフィールが感じ取りにくくなります。

次に、前腕屈筋群

肘関節の外反を制動している内側側副靭帯の前斜走線維ですが、

走行が類似している筋肉や、

各筋肉によって構成される共同腱によって、

補助されています。

走行が類似している筋肉としては、

尺側手根屈筋と浅指屈筋があげられ、

共同腱は、

橈側手根屈筋・長掌筋・円回内筋・長掌筋で構成される前方共同腱、

尺側手根屈筋と浅指屈筋で構成される後方共同腱、

がポイントになります。

ややこしくなってしまいましたが、

尺側手根屈筋
浅指屈筋
橈側手根屈筋
長掌筋
円回内筋

が大切で、

外反ストレスが増えると、

これらの筋肉にストレスが加わり、

それぞれの付着部でもある、

肘関節の内側に痛みが生じるというわけですね。

圧痛や、固有運動を引き出して、

痛みを再現することで、原因かどうか特定できるといいですね。

ざっくりですが、それぞれの筋肉の特定方法はこんな感じになります。

円回内筋
①肘前面の真ん中から内側に向かって指を当てる
②肘関節屈曲で、前腕を回内してもらう
③回内最終域付近で、指腹を押し返すように円回内筋を触知できる

橈側手根屈筋
①円回内筋の筋腹の内側に手を当てる
②手関節を手関節橈屈・掌屈してもらう
③指腹を押し返すように、橈側手根屈筋を触知できる

長掌筋
①手関節の前面に手を当てる
②母指対立運動を行なってもらう
③浮き出てくる長掌筋腱を確認し、筋腹をたどる

尺側手根屈筋
①豆状骨を触知する
②被験者に手関節尺屈・掌屈させ、尺側手根屈筋腱が浮き出てくるのを触知
③手関節尺屈・掌屈を反復させ、筋肉の走行をたどる

浅指屈筋
①手関節・指関節を中間位にし、上腕骨内側上顆に手を当てる
②MP関節屈曲・DIP関節屈曲を制動しつつ、PIP関節を屈曲してもらう
③尺側手根屈筋と長掌筋の深層にある、上腕骨内側上顆付近で浅指屈筋の収縮を確認する

最後、尺骨神経

尺骨神経は、上腕動脈とともに上腕の内側を下行し、

上腕骨内側上顆の後方を通過した後、前腕内側を下行していきます。

手関節のレベルではGuyon管と呼ばれる絞扼部位を通過し、

第4・5指の手内在筋と、その領域の知覚を支配します。

この尺骨神経の走行上で、どこかで絞扼や損傷があると、

尺骨神経が障害され、肘内側に痛みを生じさせます。

絞扼されやすい部位としては、「内側二頭筋溝・肘部管・尺骨手根屈筋」の3つがありますね。

内側二頭筋溝は、上腕三頭筋内側頭と上腕二頭筋の間で、

上腕動脈と一緒に走行している部分になります。

上腕三頭筋や上腕二頭筋の発達や、オーバーユースによって、

筋肉や筋膜が肥厚すると圧迫されやすくなり、

痛みが発生します。

肘部管は、尺骨神経溝と滑車上肘靭帯によるトンネルで、

上腕骨内側上顆の後下方に位置しています。

滑車上肘靭帯は、上腕骨内側上顆と肘頭を結ぶ靭帯で、

肘関節完全屈曲位で緊張するのですが、

この靭帯が肥厚したり癒着があると、

軽度の屈曲でも緊張するようになり、

肘部管の尺骨神経が圧迫されることで痛みが発生します。

肘部管を通った後、尺骨神経は尺骨手根屈筋の深層を通過していきます。

そのため、純粋に尺骨手根屈筋の筋緊張が高い状態が続くと、

尺骨神経に圧迫ストレスが加えられるため、痛みが発生します。

上腕二頭筋溝・上腕骨内側上顆の後下方・尺側手根屈筋の部位で、

尺骨神経を直接圧迫し、

痛みが出るかどうかで評価を実施できるといいですね。

アプローチ案

では、介入案について説明していきましょう〜。

ざっくり、

前腕屈筋群の伸長性低下
前腕屈筋群の弱化
肘の可動域制限
内側二頭筋溝の狭窄

が原因になることが多いので、

それぞれポイントも合わせて説明していきますね。

まずは、前腕屈筋群の伸長性低下。

前腕屈筋群の伸張性の低下は、

起始部である上腕骨内側上顆への伸張ストレスを増強させるので

介入が必要になります。

また、尺骨手根屈筋は尺骨神経も通過しているので、

ここ対しても改善が見込めますね。

方法は簡単で、起始と停止を理解したストレッチや、

ダイレクトストレッチなどで、丁寧にリリースしていきましょう。

主要な筋肉の起始停止はこんな感じ

尺側手根屈筋
起始:上腕骨内側上顆、肘頭の内側面か尺骨の後面付近2/3
停止:豆状骨を介し小指の中手骨底掌側、有鈎骨鉤

浅指屈筋
起始:
[上腕頭]上腕骨内側上顆 [尺骨]尺骨粗面 [橈骨頭]橈骨近位前面
停止:示指から小指までの中節骨底掌側

橈側手根屈筋
起始:上腕骨内側上顆
停止:示指・中指の中手骨底掌面

長掌筋
起始:上腕骨内側上顆
停止:手掌腱膜

円回内筋
起始:上腕骨内側上顆、尺骨鈎状突起
停止:橈骨外側面

次は、前腕屈筋群の弱化について。

内側側副靭帯を補強していた前腕屈筋群が弱化すると、

内側側副靭帯へのストレスが増加し、痛みを発生させます。

また筋力が弱すぎると、オーバーユースになりやすく、

それによって伸長性の低下にもつながりやすいので、

適度に介入するのがポイントになります。

ここについての介入も簡単で、

筋肉の作用から、固有の運動を実施させ、

弱化している筋肉を特定し、運動を反復することで、

筋力の向上を図りましょう〜。

尺側手根屈筋
作用:手関節尺屈・掌屈、肘関節の弱い屈曲

浅指屈筋
作用:手関節掌屈、中手指節関節屈曲、近位指節間関節屈曲、前腕回内、肘関節の弱い屈曲

橈側手根屈筋
作用:手関節橈屈・掌屈、前腕回内、肘関節の弱い屈曲

長掌筋
作用:手関節掌屈、肘関節の弱い屈曲

円回内筋
作用:前腕回内、肘関節の弱い屈曲

肘の可動域制限

肘関節は、完全屈強・伸展位で関節の安定性が高まるので、

これが達成できない時間が長くなると、

常に不安定な位置に関節が存在することになります。

関節が不安定な状態が続くと、

関節の安定性を高めるため、前腕筋群の筋力が必要になり、

それがオーバーユースにつながり、痛みを発生させやすくなります。

肘関節伸展の制限に関しては、上腕筋や上腕二頭筋への介入、

肘関節屈曲の制限に関しては、上腕三頭筋や脂肪体への介入が有用になりますね。

最後、内側二頭筋溝の狭窄。

上腕二頭筋や上腕三頭筋内側頭の筋緊張が亢進したり、

その間に存在する脂肪体の硬化があると、

内側二頭筋溝が狭窄し、その中を通っている尺骨神経が圧迫され、

痛みが発生します。

介入としても、これまでと同様、

上腕二頭筋や上腕三頭筋内側頭、そして脂肪体の位置を特定し、

ダイレクトストレッチなどによってリリースしていきましょう。

それぞれの情報はこんな感じになります。

上腕二頭筋
起始:肩甲骨関節上結節、上方関節唇、肩甲骨鳥口突起
停止:橈骨粗面、前腕屈筋腱膜、橈骨粗面,前腕屈筋腱膜
作用:肩関節屈曲、肩関節水平屈曲、肘関節屈曲、前腕回外

上腕三頭筋内側頭
起始:上腕骨近位背側面で橈骨神経溝より遠位
停止:尺骨肘頭、肘関節後方間接包
作用:肘関節伸展

脂肪体
上腕三頭筋内側頭と肘頭窩の間

おわりに

まさか勉強しない日があったりしませんよね。

成長したいなら、毎日の勉強はマストです。

僕は飲み会から帰ってきた後も、勉強していました。

今考えるとすごい執念かもしれませんが、

「そこまでやるか」をやれるひとが、

成果を出せる大人、かっこいい大人になれるんですよね。

そんなところで今日のまとめです。

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