【その人のための目標設定のコツ】考え方・評価の仕方・やる気の出し方などなど、包括して説明|2023.01.31配信
はじめに
「本当よい目標が設定できているか不安、、」
「意思疎通の取れない患者さんや、コミュニケーションがうまく取れない患者さんの目標設定に悩んでいる」
本人の望む生活を叶えたいと思う一方で、本当に良い目標を立てられているのか、不安になる事もありますよね。
実際に僕も同じように悩んだ事がありました。
本人の希望を問診で確認して、その通り目標を設定しているつもりだけど、何故かしっくりきていない。
希望を深掘りして「歩行自立」のような目標ではなく、「孫の送り迎えに歩いていける」のような、
より生活を見据えた目標を心掛けているけど、なんだかパターン化されている気がしてきている。
同じような思いを持っている方が、たくさんいるかと思いますが、
この動画でお話しする内容を知る事で、この「しっくりこない」感情をスッキリさせる事ができるはずです。
そして今までの目標設定は、目の前の患者さんを、本当の意味で見れていなかった、、、
と衝撃を受ける事、間違いないでしょう。
ちなみに「りはメモ」の活動内容はこんな感じです。
興味のある方は、動画を止めてご確認して下さい。
応援して下さる方や、自分だけ出来なくて悪目立ちしたくない方は、
「フォロー」や「いいね」で応援して下さると幸いです。
ではでは、本編に進みましょう〜
本編
前提:価値観の共有
いきなりですが?次の質問にお答え下さい!
✅〇〇さん!冬になってきたから寒いね〜
Q.冬っていつから?
→10月?11月?12月?1月?2月?
Q.寒いって何度?
→22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃
✅〇〇さん、あっちで少し待ってて下さい〜
Q.あっちってどこ?
→5m先?、50m先?、見えないところ?
Q.少しってどれくらい?
→10秒?、1分?、15分?、30分?
✅〇〇さんは社交的な性格だから、お話が好きだろうね
Q.その性格は誰に対しても同じ?
→家族に対しても同じ?、職場で働いていた時も同じ性格?、異性に対しても同じ?
✅〇〇さん、楽しそうにしているね〜
Q.どんな表情?
→笑顔=楽しい、考えている顔=楽しい、(感動して)泣いている顔=楽しい、、、
Q.本当に楽んでる?
→愛想笑い、ポーカーフェイス、もともとの顔つき、
いきなり質問攻めしてしまいましたが、何が言いたいか分かりましたか?
勘の良い方なら、薄々気づいたかもしれませんが、
何が言いたいかまとめると、
目の前の患者さんを置き去りにせず、
患者さんを「主体」に考えなければいけないという事、
人には、いろんな面があって、
それらの面が組み合わさって、その人の価値観が形成されています。
それらの「面」を、他職種、家族、社会で共有して、
目の前の患者さんと価値観を共有して、診るのが大切になります。
目標設定する時も、この人はこういう性格だから、
この目標が良いだろうと考えるのは、もちろんダメです。
また、患者さんが答えた目標を、そのまま鵜呑みにするのも良くありません。
なぜなら、その人にしか見せない一面があるから。
例えば、
リハビリ職に対しては、歩いて買い物に行きたい!と言っていても、
実は家族には、「無理せず、家でゆっくり過ごしたい」、
と違う一面を見せていたりします。
今目の前で見えている「その人」は、
その人が見せようとしている一面でしかありません。
家族に見せている一面もあれば、会社で見せている一面、
専門職に見せている一面、地域に見せている一面、
または心の奥底で、ひっそり隠している一面もあります。
これら全ての情報を完全に集めて、その人を理解するのは、
情報が多すぎるので、無理だと思います。
というより、本人も気づいていない一面すらおそらくあります。
ただ、少しでも「目の前の患者さん」のために、
その人の生活を考える時、目標を設定する時には、
いろんな「面」を、他職種、家族、社会で共有し、
その人にとっての「価値観」を共有した上で考えなければ、
その人にとって本当に良い計画を立てる事はできません。
私からみて「幸せそう」に見えるでは、いけないのです。
本人が、心の底から「幸せ」と思える生活に繋げられることが、
本当に良い目標設定になります。
そして、そのために必要なのが「価値観の共有」になります。
立体的に見る
価値観を共有して、目の前の患者を診るのが大切な事は、
分かったかと思いますが、
では、一体どうやって、「その人」を診ていけば良いのでしょうか?
ここでは「その人」を診るときに便利な「4側面のフレームワーク」を説明していきます。
「身体・精神・社会・文化」の4側面で人を立体的に視るフレームワークになります。
方法は簡単で、
大きめの紙を用意して、その紙を十字の線で4分割し、
「身体・精神・社会・文化」を割り振ります。
あとは、それぞれの枠を埋めていくだけ。
身体には、その人の身体に関する情報を当てていきます。(例:病名、合併症、身体機能、活動レベル…)
精神には、その人の精神に関する情報を当てていきます。
(例:趣味、好き嫌い、性格、思考パターン…)
社会には、その人の社会に関する情報を当てていきます。
(例:仕事、地域、家族、友達...)
文化には、その人の文化に関する情報を当てていきます。
(例:風習、生活環境、言語、宗教...)
また、一つの事柄が、身体・精神・社会・文化のどれかで重複するのもOKです。
例えば「本が好き」「小説家の子供」みたいな背景がある人の場合、
「本」は、精神にもなるし、社会にも当てはまりますよね。
また、このフレームワークを使う時のポイントは、じっくり考えず、どんどん記入していく事。
どんなことでも良いので、その人に関する情報を集めましょう。
それぞれの面を埋めた上で、目の前の患者様の目標を考えると、
本当に望んでいる物は何か、本当に達成したい事は何か?
が明確になってきます。
「〇〇さんはこう言っているからこの目標にしよう!」
「〇〇さんは、この目標が合いそうだ!」
と、なんとなく目標を決めていた時よりも、
確実に、その人にとっての良い目標が立てられるようになります。
これが「その人を立体的に視る4側面のフレームワーク」です。
僕自身そうだったのですが、時間という縦の面もしくは、
身体という1面でしかその人が見えていませんでした。
ところが、このフレームワークを使う事で、その人を立体的に視る事ができ、
「本当のその人」が見えてき始めました。
ここで、注意点なのですが、
4側面からその人をみて、立体的に見えてきたとしても、それでも見えているのは表面だけという事です。
本当の所は覗いて見ないと、もしくは覗かせてくれないと分からないという事は、肝に銘じておかなければいけません。
ただ、このフレームワークを使って、日々、対象者と接しているうちに、
「本当の部分」が見えてくる、もしくは見せてくれる日は必ずきます。
1人に対して、ここまで理解を深めるのは、大変な作業かもしれませんが、
逆にいうと、ここまでしなければ、
目の前の患者さんの生活を考えているとは、言えません。
その人にとって、本当に良い生活が送れるように、
本当によい目標が設定できるよう、
この4側面のフレームワークをぜひ活用してみてください。
その人を診るツールを学んだところで、次はそこからどうやって目標を設定していけば良いのか?
説明を続けていきましょう〜。
評価と目標設定
4側面のフレームワークにより、その人を立体的に診る事が可能になり、
今までよりも、目の前の患者さんを、より身近で感じる事ができるようになったかと思います。
この章では、その次の段階、
具体的に、どうやって目標設定に繋げるか説明していきます。
今回説明する目標設定の仕方は、一例で、
必ずこの方法が良いよ、という訳ではなく、
こんな考え方もあるくらいで思っておいてください。
ではでは、
ポイントになるのが、
STEP1なぜ?
STEP2だから!
STEP3ならば!!
になります。これだけだと、よく分からないと思うで、
もう少し詳しく説明していきましょう〜。
STEP1なぜ?
目標を決めていく上で、対話や問診を通して、
患者さんに目標や希望を確認する場面があるかと思います。
ちなみに、この対話の時点で、
4側面のフレームワークを活用して対話を進める事で、
本当に達成したい事・目標・希望が、患者さん側から自然に出てくる確率が大幅に上がります。
さてSTEP1では、ここで出た患者さんの要望に内して、まずは「なぜ?」この要望が出たのかを考えていきましょう。
例えば、「一人で歩けるようになりたい」という要望があれば、
なぜ一人で歩けるようになりたいんだろう?
→外出が目的?
→自立したい?
→人に迷惑かけたくない?
→車椅子が嫌い?
→お気に入りの靴がある?
・・・
この例だと4側面の情報がないのでかなり考えられる事が出てきますが、
こんな感じでなぜこの要望を発したのか考えていきましょう。
4側面で「なぜ?」を深めていく事で、
情報の取捨選択ができ、
「なぜ?」が明確になっていくはずです。
前の章でも触れていますが、
その人の側面は、その人以外から確認するのも大切です。
問診や対話以外にも、
他職種や家族ともコミュニケーションをとり、
「なぜ?」を考えていきましょう。
STEP2だから!
ここではSTEP1の思考を進め、さらに患者さんと対話を進めて、
その目標や希望がでた理由を特定していきましょう。
100%完全に理解するのは、困難だと思いますが、
対話を進めていくと、「これだ!」と思えるものや、
患者さんの顔が「パッ」と変わる瞬間があるので、
それをポイントに探すのが良いですね。
この瞬間が「だから!」になります。
「だから、この目標なんだ!」
「だから、この希望なんだ!」
ここをSTEP2で行いましょう。
だからこうなんだ!と納得できる答えを見つけられることで、
目標や希望が特定でき、さらに相手の理解を深める事ができます。
STEP3ならば!!
「なぜこの目標?」
「だからこの目標なんだ!」
と患者さんの理解を深めたところで、
次は、「ならば〇〇しよう!!」と、目標をより具体的にしていきます。
よくある目標設定は、STEP1・2を飛ばして、
いきなりSTEP3に進む手順ですね。
患者さんが発した目標に対して、「ならば〇〇に目標をしましょう。」と、
いきなり目標を立ててしまいます。
確かに、間違ってはいませんが、
「患者さん」がおいてけぼりになっている感じがしますよね。
STEP1やSTEP2の手順を組み入れる事で、
本人らしい目標が洗練され、
患者さんにとって本当に良い目標設定が可能になります。
また、モチベーションが低い患者さんや、
やる気の低い患者さんが担当になる事もあるかと思いますが、
今まで説明してきた方法を実践することで、
患者さんのやる気を高める事も可能になります。
「やったけど全然効果なかったよ〜」という場合は、
その人の理解が足りないだけです。
そもそも全く赤の他人の事を考えるのですから、
そんなにすぐには見つけられない事も多々あるかと思います。
「違うかもしれない、でも提案してみよう!」くらいの気持ちで、
本人の好奇心を探し出せると、効果的にやる気を引き出せる事でしょう。
担当数が多いと、一人に対してここまで時間をかけるのは大変かもしれませんが、
トレーニングだと思って、
これらの方法を使って目標を設定していく事で、
みんなとは一味違い、
また、本人にとって本当に良い目標設定が可能になります。
ざっとまとめると、
STEP1で、患者さんとの対話や問診により最初の要望を聞き出し、その要望が「なぜ?」出てきたのか考える
STEP2で、なぜ?を患者さんとの対話を深めながら探していき、「だから!」を見つける
STEP3で、「なぜ?」「だから!」をもとに、「ならばこうしよう!!」という目標を設定する
こんな感じになります。
いずれにせよ、価値観を共有しようという意識が根本になければいけないので、
最初の章で説明した内容は、しっかり理解して挑みましょう。
おわりに
勉強して、それを実践に移せる人は数%しかいないそうです。
一方で、実践できなくても、
その知識が無駄になる事はなく、必ずどこかで役に立ちます。
小さい知識の積み重ねが、やがて大きな力になります。
この動画のまとめになります。
概要欄に復習用資料の受け取り方を載せているので、
欲しい方は早めにどうぞ。
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ではでは、また次の動画でお会いしましょう~。