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足底腱膜炎の基本と臨床応用


はじめに


足底腱膜炎の患者様がなかなか改善していかない
足底腱膜炎ってどうやって介入していけばいいの?

疑問は、そのままにしておいても、解決することなんて一生ありません(泣)

僕も悩んでそのままにしてしまっていた時期もありましたが、症状を改善させれられず、月日がただ経過していってしまっていた時期も正直ありました。

そんな時期から早く脱出するべく、この記事では、足底腱膜に対する基本から、痛みの原因、介入まで説明していきます。

このリハメモチャンネルは、アンケートで数百人以上の方から「分かりやすい」「ためになる」などのお言葉を頂けているので、その辺りは保証できるかと思います。

足底腱膜の構造

足部の骨の数知っていますか?
→7つの足根骨、5つの中足骨、14の趾節骨で構成されている
→合計26個の骨で、体重を全て支えている

しっかり支えるために、3つのアーチ構造が存在しています。

  • 内側縦アーチ

  • 外側縦アーチ

  • 横アーチ

の3つですね。

内側縦アーチ:踵骨-距骨-舟状骨-内側楔状骨-第1中足骨
外側縦アーチ:踵骨-立方骨-第5中足骨
横アーチ:
足根レベル:楔状骨-立方骨
中足レベル:5つの中足骨

足の基本を復習したところで、足底腱膜の構造について説明していきましょう!

まず、足底にある筋肉を確認。

さて、これらの筋肉ですが、足底[筋]膜に覆われているような構造になっています。

もう少し細かくいうと、足底筋膜は、浅葉と深葉に分かれていて、
浅葉は足底の、全表面(最表面の筋肉)を、
深葉は、背側骨間筋と底側骨間筋の足底側を覆っています。

ちなみに、一般的に足底筋膜と呼ばれる部位は、浅葉になりますね。

足底筋膜の浅葉のうち、
母趾外転筋と小趾外転筋を覆う部分は、比較的薄く、
・母趾外転筋と短趾屈筋の間→内側筋間中隔
・小趾外転筋と短趾屈筋の間→外側筋間中隔
がそれぞれ存在しています。

さらに内側筋間中隔と外側筋間中隔には、内側足底静脈・神経、外側足底静脈・神経が走行しています。

そして、この中隔の間の部分は、結構強い線維になっていて、これが足底腱膜と呼ばれます。

この足底腱膜は、踵骨隆起の内側突起から第1-5の基節骨に付着していて、
踵部で約2mm、中足骨付近で約1mmの厚さになっています。
幅に関しては、踵付着部で約1cm程度で前方に向かうにつれて広がっていますね。

この広がった足底腱膜は、中足趾関節付近で2つの束に分かれて、底側靭帯と基節骨に付着します。さらにいうと、足底の皮膚とも結合していて、皮膚靭帯となって、趾屈筋腱鞘と底側趾節間靭帯を経由して、深横中足靭帯や骨間筋膜とも連結しています。

痛みの仕組み

さて、基本を学んだところで、痛みの発生原因についても説明していきましょう〜。
大きく、
・足底腱膜の緊張が亢進した場合
・足底腱膜の緊張が低下した場合
の2パターンが考えられます。

🔹足底腱膜の緊張が亢進した場合

足底筋膜は、繰り返される荷重負荷に対して、足部アーチを保持するために緊張します。

特に歩行で蹴り出しを行う際には、ウィンドラス機構が機能するので、足底腱膜にま強い牽引力も加えられますよね。

【ウィンドラス機構】
足趾を背屈すると足底腱膜が引き締まり、アーチが高まる仕組み。歩行の立脚後期で、前足部の剛性を高め、蹴り出しをしっかり行うために機能する。

この強い負荷が加わる足底腱膜の「踵骨の付着部」なのですが、
組織学的に 線維性軟骨性付着部 と分類されていて、

これは付着部への牽引力の緩衝機能を有している組織になります。
つまり足底腱膜へのストレスを踵部で吸収しているわけですね。

そしてこの負荷が繰り返されることで、踵部付着部で痛みを感じるようになります。足底腱膜を触った時に緊張が強く、痛みの出るタイミングが歩行の蹴り出しとかの際には、このパターンが疑えますね。

🔹足底腱膜の緊張が低下した場合

足底腱膜の踵付着部の機能として、牽引力の緩衝機能 があったかと思いますが、実はもう1つ役割があることが明らかになりました。

それが荷重の分散になります。足底腱膜の牽引力の吸収と、加重負荷に対しての分散も担っていたわけですね。

本来であれば、荷重負荷に対して足底腱膜の剛性も使って支えているのですが、足底腱膜の緊張が低下している場合、その分の負荷が踵部付着部に集中し、

また、この負荷が繰り返されることで、踵部付着部で痛みを感じるようになるわけです。

足底腱膜を触った時に緊張が低く、痛みの出るタイミングが立脚中期や立位とかの際には、このパターンが疑えますね。

足底腱膜炎に合併するものとして踵骨棘があり、これは足底腱膜による牽引力によって発生すると考えられていましたが、近年では、変形性関節症に伴う骨棘のように、荷重負荷を分散するために発生するとも考えられるようになっています。

介入案

さてさて、介入案に入っていきましょう〜。

ここまでの説明で、足底腱膜炎が派生する原因として、足底腱膜の牽引力、そして荷重負荷の2つが挙げられましたよね。

歩行の蹴り出しで痛い場合→足底腱膜の牽引力が原因の可能性が高い
立脚中期や立位で痛い場合→荷重負荷が原因の可能性が高い

なのでこの2つに対して介入していけばいいわけです。

🔸牽引力軽減

足底腱膜に加わる牽引力を減少させるには、足底腱膜の柔軟性を高めるのがポイントになります。

さらに歩行時の足底腱膜に加わる圧力と、アキレス腱に加わる圧力は相関すると言われているのでアキレス腱の柔軟性も出していくのが良いでしょう〜。

⚫︎足底腱膜のストレッチ
1️⃣ 座位で足を準備
椅子に座り、片方の足を反対の太ももの上に乗せます。ストレッチする足の足趾をしっかり見えるようにします。
2️⃣ 足趾を背屈
足の指(特に親指)を手で持ち、ゆっくりと上方向(背屈方向)に反らします。このとき、足底腱膜が伸びているのを感じましょう。
3️⃣ 保持してリリース
その状態を10〜20秒間キープし、ゆっくりと力を抜きます。左右の足で2〜3セット繰り返してください。
⚠️ 痛みを感じない範囲で行い、リラックスした状態で行うのがポイントです!

⚫︎アキレス腱のストレッチ
1️⃣ 足を前に伸ばす
椅子に座り、一方の足を前に伸ばしてかかとを床につけます。もう一方の足は安定させるために曲げたままにします。
2️⃣ つま先を引き寄せる
伸ばした足のつま先を自分の方に引き寄せるように意識します。手が届く場合は、両手でつま先をつかみ、さらに軽く引き寄せてアキレス腱とふくらはぎが伸びるのを感じましょう。
3️⃣ 保持してリリース
その姿勢を15〜30秒間キープし、ゆっくりと力を抜きます。左右の足で2〜3セット行います。
⚠️ ポイント
・痛みが出ない範囲で行いましょう。
・つま先を手でつかむのが難しい場合は、タオルやバンドを使ってつま先を引き寄せてもOKです!

🔸荷重負荷の減少

踵部に加わる負荷を分散させるには、足底腱膜に適切な緊張を持たせるのがポイントになります。

足底腱膜は、短趾屈筋を覆う腱膜で、短趾屈筋に付着しているので、
短趾屈筋を強化することで、足底腱膜の強化が見込めます。

⚫︎短趾屈筋のトレーニング
1️⃣ タオルギャザーの準備
床に薄いタオルを敷き、その上に裸足で立ちます。足の指でタオルをつかむようにするため、椅子に座るか壁で体を支えられるようにします。
2️⃣ 足趾でタオルをつかむ
足の指(特に中足趾と小趾を意識)を曲げてタオルを手繰り寄せる動作をします。このとき短趾屈筋をしっかり使う感覚を意識してください。
3️⃣ 繰り返しとセット
タオルを完全に引き寄せるか、10〜15回動作を繰り返します。左右の足で2〜3セットずつ行いましょう。
⚠️ ポイント
・タオルを手繰り寄せる際、足首や脚全体は動かさず、足趾だけを使うことを意識してください。
・筋力が弱い場合は、小さいタオルや柔らかい布で始めてもOKです!

さらに足底腱膜の表層に存在する 踵骨下脂肪体 や短趾屈筋より深層に存在する長足底靭帯も踵部に加わる荷重負荷の減少に関わってるので、ここに対しての配慮も有効になります。

【踵骨下脂肪体】
・膠原線維が蜂の巣状で、蜂の巣の小部屋に脂肪が詰まっている
・荷重負荷が加わっても、脂肪が逃げるように移動しない
・加齢によって柔軟性が低下する
・足底腱膜炎が慢性化している場合は、この脂肪体の厚みが薄くなってくる

【長足底靭帯】
・踵骨隆起から立方骨-第2/3/4中足骨底に付着している
・足部アーチの保持を行っている
・長足底靭帯の踵付着部も線維性軟骨性付着部になっている
・足底腱膜炎症例では、足底筋膜の付着部だけでなく、長足底靭帯の付着部も炎症している可能性がある
・テーピングやインソールなどで、踵骨隆起の前方部分を支持することで踵付着部の荷重負荷を分散できる可能性がある

おわりに

足底筋膜炎の症例は、改善に大きな可能性を秘めています。この記事を通して、日々の臨床で使える知識をお伝えしました。あなたの学びが患者さんの笑顔につながることを願っています。

臨床現場での成果は、小さな一歩の積み重ねで生まれます。今日の学びを明日からの実践に変えることで、治療の幅を広げ、さらなる信頼を築いていけるはずです。

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