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超基本!理学療法士が 知っておきべき目標設定法|2022.05.31配信

本ブログはYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。分かりやすいオリジナルイラスト付きで確認したい方は、YouTubeKindleで確認してください。

>>>イラスト付き解説はコチラ

はじめに

「目標設定の仕方が分からない」

「参考書は、小難しくて何を言いたいのかが 分からない」

「先輩に目標設定が甘いと指導される」

僕も、同じように悩んだ事がありました。

その疑問は、自ら解決しようと動かなければ、

一生そのままです。

少し、大袈裟に言いすぎたかもしれませんが、

知らない事をそのままにしていても、

「知らない状態」のまま、年次だけが積み重なっていきます。

この動画を最後まで見る事で、一つの「知らない」を

1つの「知っている」に変える事ができるはずです。

また、「知らない」が「知っている」に変わると、

仕事も臨床も、楽しくなっていく経験をすることができるかと思います。

実際に、僕もそうでした。

ちなみにこのチャンネルでは、

複雑で膨大なリハビリに関する知識を、整理して詳しく説明しているので、

「有益な情報を見逃したくない方」「知識を深めて臨床を楽しくしたい方」は、チャンネル登録しておく事をお勧めします。

では本編に進みましょう〜


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本編
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目標設定で大切なこと

この章について

この章は、

「患者さんの目標設定が難しい…」

「生活を見れていないと先輩に指導される…」

「目標設定に自信がない」

そんな疑問や悩みを持っている方、必見の章になっています。

分かる事は、次の3つ。

◉Rehabilitationの定義と本質について

◉社会参加について

◉目標設定で大切な事について

では、説明を進めていきましょう。


Rehabilitationの定義と本質

突然ですが、リハビリテーションの定義を調べたことはありますか?

恐らくないですよね。

いろんな協会によって、リハビリテーションが定義されているので、

まずは、それを確認してみましょう。


色々な定義を見ていくと「社会」が、必ず表記されているのが分かりますね。

そして、社会参加を促そうみたいなニュアンスの文面がどの定義でも見受けられます。

ここから考えると、

「生活が見えていない…」

「患者さんのためになっていない…」

…などと悩む以前に、社会参加を念頭におかなければいけない事が分かります。

リハビリテーションの定義から考えると、

社会参加を見据えられているかどうかが、一番重要で、

立案すべき目標になるってことですね。


社会参加について

リハビリテーションの定義は、社会参加を促す事で、

社会参加が鍵になる事は分かったかと思いますが、

「社会ってなんだ?」

こんな疑問が出てくるかと思います。

そこでまずは、「社会の定義」を確認してみましょう。


今回は、「集」「集まる」といった言葉が、どの定義でも確認できました。

また、それぞれの文面からは、

目的を持って集まってる状態、人が集まってできる状態を社会と呼ぶ、

みたいな意味合いが受け取れます。

社会とは、人が交わるところに生まれるもの。

ここから考えると、

社会参加とは、人が交わるところに参加する事と言い換えることができますね。

ちなみに「参加」とは、

差別や排斥なしに、その場所の対等な構成員として関わることをいいます。

似たような言葉で、「出席」という単語がありますが、

これは与えられた席に座ることを指します。

「参加」との違いは、

ただ与えられた席に座っているだけ(出席)か、

人と対等な立場で交われるか(参加)です。

リハビリテーションで必要なものは、

当然、対等な立場で交われる「参加」になりますね。

人が交わる場所に、対等な立場で関わるコト。

これが社会参加です。

目標設定で大切な事

長々と説明してしまいましたが、

そろそろこの章のまとめにかかりましょう。

リハビリテーションの本質は、社会参加を促すこと。

社会参加とは「人が交わる場所に、対等な立場で関わるコト」。

ここまではいいですね。

では、実際に目標を立てる時、何が大切か。

もう皆さんお気づきですよね。

目標設定において、一番大切なことは「社会」になります。

目標を立案する上で、

✔️対象者がどの社会に復帰するのか?

✔️どの社会で生活しているのか?

を最初に考えなければいけません。

リハビリテーションを定義しているものが

社会参加の促進である以上、

ココは押さえなければいけない部分になります。

急性期・回復期・生活期・終末期…

様々な期でのリハビリがあり、

目標設定する場面があると思いますが、

どんな期でも、まずは対象者の「社会」を考えるのが、

一番最初に行うべき事です。

なるべく早く社会に参加できるように促し、

そこからQOL(生活の質)や、EOL(本人らしい死)を考慮した目標設定ができると、

より良い目標を設定する事ができます。

この章のまとめ

そもそもRehabilitationの定義は、社会参加を促す事。

人が交わる所に生まれる「社会」に、差別や排斥なしの対等な構成員として「参加」する事を社会参加という。

どの社会に復帰するのか?どの社会にいるのか?を念頭におき、QOLやEOLを考慮して目標を立てるのが大切。


急性期の目標設定のポイント

この章について

この章は、

「急性期の目標設定に自信がない…」

「意思疎通のとれない患者さんの目標設定が難しい…」

「急性期のリハビリってどんな事を目標にしているんだろう…」

そんな疑問や悩みを持っている方、必見の章になっています。

分かる事は、次の3つ。

◉目標設定の基本

◉急性期の目標設定の難題

◉急性期の目標設定のススメ

では、説明を進めていきましょう。

目標設定の基本

まず目標設定には、

✔️「パターナリズムモデル」

✔️「インフォームドコンセントモデル」

✔️「シェアードディシジョンメイキングモデル」

の3パターンがあります。

1つ目のパターナリズムモデルは、

治療者側が対象者の利益を思い、本人の意思を尊重せずに目標を決定するモデルになります。

「治療者>対象者」みたいなイメージですね。

次に2つ目のインフォームドコンセントモデルは、

治療者側が対象者に必要な情報を提供し、対象者が自ら意思決定し目標を決めるモデルです。

こちらは「治療者<対象者」みたいなイメージになります。

最後3つ目のシュアードディシジョンメイキングモデルは、

治療者と対象者が必要な情報をやり取りして、共同して目標を決定するモデルです。

「治療者 = 対象者」みたいな感じですね。

医療においては、シュアードディシジョンメイキングモデルを活用する事で、

医療費の削減かつ治療の向上につながるらしく、

推奨されています。

てなわけで基本的には、

治療者も必要な情報を提供して、

対象者も治療に必要な情報を提供しつつ、

双方が協力して目標を決めるのが、目標設定の基本になります。

また、目標設定のための面談や問診の際には、

元の生活のイメージをなるべく鮮明に思い出させてあげるのがポイントです。

元の生活のイメージから、復帰する社会や大切な動作・作業を導き出す必要があるって事ですね。

元の生活をイメージさせるには、

「何がしたいですか?」

「何ができるようになりたいですか?」

みたいなのオープンな質問では、なかなか心を開いた回答は望めません。

少しづつ距離を縮めて、

ラポールの形成を図りつつ、

絵カードやADOCなどの道具を活用して、

対象者の生活の中から大切な社会や作業を見つけ出すのが良いでしょう。

急性期の目標設定の難題

急性期で難渋するポイントは、大きく2つあるとされています。

1つ目は、医学的な全身状態の安定がDr・Ns含めたチーム共通の目標となっている場合。

この場合、リハ職もチームの目標に準ずる事になり、

また目標設定に必要な、コミュニケーションを取る事ができない全身状態の場合が多いため、

物理的に目標を設定するのが困難となります。

2つ目は、対象者が自分で意思決定できる状態ではない場合。

意識障害が残存している場合は、

コミニケーションがままならないので、

対話により自らが意思決定し、目標設定をするのが困難になります。

また、意識に問題がなくても

障害受容が済んでいなくて、目標の立案が困難なケースもあります。

障害は、

「ショック→否認→悲しみと怒り→適応→再起」

と、順を経て受容していくとされていますよね。

「ショック・否認・悲しみと怒り」の時期にいるうちは、

希望が見えていない状態とも言え、前向きな対話が困難なケースが多いです。

そんな状態で、以前の生活を鮮明にイメージするのは難しいと思いますし、

イメージさせるのも少し酷な気が、、、。

そのためこのパターンの時も、自らが意思決定して目標を設定することは難しそうですよね。

急性期の目標設定のススメ

目標設定の原則は、

治療者と対象者が共同して、社会参加を見据えた目標を設定する事。

ここはOKですね。

問題なのは、

対象者の意志決定が困難な場合です。

この場合は、先に述べた「パターナリズムモデル」によって、

治療者が目標を決めてしまいます。

ただこれから進んでいった先では、

自らが意思決定して、目標を決めなければいけない時期が来る事は、

対象者に、常々説明していかなければいけません。

「今は私たちが必要なことをオススメしていきますが、ある時期がきたら、今後の生活に必要なことを聞くことがあると思います。その際は、教えてくださいね。生活の中で本当に重要な部分はあなたが一番ご存知だと思うので」

みたいな、感じで、

今はこちらが案内するけど、

時期がきたら一緒に目標を決めていきましょう、

という事をしっかり伝えていくのが大切になります。

また、このような症例では、

小さな目標を立てて、達成を繰り返し、

成功体験を積み上げていく事で、

対象者のモチベーションも上げていくのも良い方法になります。

モチベーションが上がっていくと、

✔️あれもできそう、

✔️これもできそう、

✔️あれはできるかしら?、

みたいな感じで、次々と生活に必要で重要な事を

相手から、発言してくれるようになります。

このような経過を経て、

対象者の心や身体の準備が整ったら

「シュアードディシジョンメイキングモデル」を使い、

対象者と共同して、社会参加を見据えた目標を設定しましょう。

この章のまとめ

治療者と対象者双方が共同して目標を決めるのが基本で、以前の生活イメージから大切な作業を導き出すのが大切。

急性期では全身状態や心理状態によって、本人の意思決定が困難な場合が多い。

まずは治療者が今後を見通した目標を決め、成功体験を積み上げていく。

回復期の目標設定のポイント

この章について

この章は、

「回復期の目標設定の仕方が分からない…」

「退院支援が円滑にいかない…」

「回復期の目標設定ってどうやるの?」

そんな疑問や悩みを持っている方、必見の章になっています。

分かる事は、次の3つ。

◉目標設定の基本

◉回復期での目標設定の基本

◉目標設定時の追加ポイント

では、説明を進めていきましょう。

目標設定の基本

目標設定の基本は、治療者と対象者がお互いに情報を提供し、共同して目標を決めることです。

ココについては、前の章で説明しましたね。

どんな時期でも、必ずここは押さえるようにして下さい。

障害受容が済んでいなかったり、

意識レベルが低くて、対象者自らの意思決定が困難な場合は、

治療者が今後を見通した目標を立案します。

そして意思決定が可能な時期になったら、共同して目標を決めていきます。

この辺りが、まだピンときていない方は、前の章をしっかり復習しましょう。

大切な部分なので。

回復期での目標設定の基本

まずは、問診で対象者がどの社会に参加するのかを確認しましょう。

目標設定において、なぜいきなり社会参加が出てきたのか分からないという方は、

重複しますが、【目標設定で大切な事】の章をもう一度、見て返して下さい。

リハビリテーションは社会参加を促すモノとも言えるので、

最終的な目標は社会参加を見据えなければいけません。

問診によって、復帰する社会が確認できたら、

その社会に復帰するために、どの動作や作業が必要か考えていきましょう。

1日の生活や1週間の生活を、対象者と一緒にイメージ出来ると良いですね。

目が覚めて→起き上がり→座位→立ち上がり→移動→トイレ→顔洗い…

水曜日は受診、金曜日は老人会…

みたいな感じで、1日ごとのスケージュールと、

1週間ごとのスケジュールを羅列していくと、

もれが少なく、確認する事ができます。

ざっと羅列する事が終わったら、

本人にとって、必ず必要な事や優先度を

本人と一緒に考えます。

✔️「起き上がりは柵があればできそう」

✔️「座位はもう少し安定しないといけないけど、すぐ良くなりそう」

✔️「立ち上がりは何か掴まるところがあれば大丈夫」

✔️「移動は歩いてだからもっと練習が必要かも…」

みたいな感じで、表出できれば良いですね。

そしたら、その中からPT介入によって改善可能なものを見つけ出してLTGに設定しましょう。

他職種で訓練可能なモノは役割分担で、改善していくのが良いですね。

全部を総括して、考えるのは大切ですが、

PTが全部介入しようとしてしまうと、時間が足りなくなってしまいます。

LTGが決まったら、

LTG達成のためのSTGを設定してみましょう。

中間地点みたいな感じですね。

全体的な目標設定のイメージとしては、

復帰すべき社会があって、

そのためのLTGがあり、

そこに向かう中間地点としてSTGがある、

みたいな感じですね

[ 社会参加を見据えた目標 ➡︎ LTG ➡︎ STG ]

目標設定時のポイント

LTGを立案するときは、

ケース①

「目標A:独歩でトイレに行ける」

「目標B:伝いながらトイレに行ける」

ケース②

「目標A:4点杖で外を移動できる」

「目標B:車椅子自操で外を移動できる」

のように2パターンの目標を決めておきましょう。

目標Aの方は、患者さんと一緒に立案する目標ですね。

目標Bは、Aの目標が達成できそうになかった時の滑り止めとして立案し、

陰で少しづつ目標Bのための訓練も、行っていきます。

このように2種類の目標を設定しておくと、

目標Aが達成できなかった時に、円滑に目標Bの方にスライドする事ができます。

対象者も、

「Bの方の手段ならできるから、ひとまずはこっちで行くか」

みたいな感じで、いきなり目標を変えろと言われるより受け入れが良いです。

対象者の体の回復具合は、完全に予測することは困難です。

訓練が思うように進まなかったり、

病気の治癒が緩慢したり、

とスムーズにいかないケースも多いですよね。

だからこそ、2パターンの目標を用意する事が大切になります。

また並行して、

本人ができない部分を

「家族・福祉用具・福祉サービス」

のどれで補うか考えていくのも大切です。

回復期期限のなかだけで、

どうしても本人が達成できない事は

何かでサポートしてもらうしかありません。

その足りない部分を補えるのが、

「家族・福祉用具・福祉サービス」になります。

仮に、在宅に復帰する能力をポイントで表せるとして、

5ポイントで在宅生活が送れるとしましょう。

➡︎ 在宅復帰 = 5ポイント

回復期のリハビリで本人の能力が3ポイントになりましたが、

在宅復帰に必要なポイントは5ポイントなので、

あと2ポイント足りない事になります。

➡︎ 在宅復帰5pt ≠ 本人の能力3pt

その足りない2ポイントを、

家族で1ポイント、

福祉サービスで1ポイント、

と補うことで、

合計5ポイントになり在宅復帰が可能になります。

➡︎在宅復帰5pt = 本人の能力3pt

         + 家族1pt

         + 福祉サービス1pt

家族の協力や福祉用具使用のイメージは、

このように考えると、少し分かりやすいと思います。

本人の力だけではどうしても到達できない部分は、何かに頼ってしまいましょう。

その選択肢を、対象者に与えるのもPTの役割になります。

この章のまとめ

治療者と対象者が共同して目標を決めるのが基本。

「目標達成の為に本人に必要な事」かつ「PT介入によって支援できる事」をLTGに設定する。

2パターンのLTGを用意して介入を進めつつ、本人ができない部分を”家族,福祉用具,福祉サービス”のどれで補うか考えていく。

生活期の目標設定のポイント

この章について

この章は、

「生活期の目標設定が分からない…」

「QOLの向上とはいうけれど…」

「健康関連QOLって何だ?」

そんな疑問や悩みを持っている方、必見の章になっています。

分かる事は、次の3つ。

◉目標設定の基本

◉目指すべき健康関連QOL

◉主観的QOLと客観的QOL

では、説明を進めていきましょう。

目標設定の基本

まずは、目標設定の基本から。

ここは回復期の目標設定でも、説明した事と全く同じになります。

復習がてら説明しますが、

理解できている方は、飛ばしても大丈夫です。

ではでは、進めていきましょう。

目標設定の基本は、

治療者と対象者がお互いに情報を提供し、

共同して社会参加を見据えた目標を決める事になります。

障害受容が済んでいなかったり、

意識レベルが低くて対象者自らの意思決定が困難な場合は、治療者が今後を見通した目標を立案します。

そして、意思決定が可能な時期になったら、共同して目標を決めていきます。

目指すべき健康関連QOL

社会参加が達成できている場合は、QOLを考慮した目標を考えていきましょう。

QOLと単に言っても、QOLの概念は広く、

医療介入だけでは、どうしようもない事まで含まれてしまっています。

そこで活用したいのが、「健康関連QOL」。

健康関連QOLは、医療介入によって改善可能な生活の質をまとめたモノになります。

そのため、社会参加後の目標の指標は、

健康関連QOLにしていくのがオススメです。

健康関連QOLの評価バッテリーは、

包括的なモノと特異的なモノの2種類があります。

包括的な方は全ての対象者に対応しているモノ、

特異的な方は特定の疾患を持っている対象者に対応しているモノです。

[健康関連QOL 評価バッテリー]とかでググると、どんなものかすぐに出てくると思います。

それぞれ状況に応じて、使い分けていきましょう。

また、医療介入できるQOLが分からないという方は、

これらの評価バッテリーを見てみて、

どんなモノの改善がQOLに関与するのか確認してみましょう。

評価バッテリーにある項目の中から、

対象者のQOLに最も関与しそうなものを、

対象者と一緒に選定し、目標に設定するのも良いですね。

主観的QOLと客観的QOL

QOLは医療介入が可能な「健康関連QOL」という考え方の他に、

「主観的QOL」「客観的QOL」という考え方もあるので押さえておきましょう。

治療の助けになるはずです。

✔️主観的QOL

主観的QOLは、自分で感じているQOLで、

主観的QOLを阻害するモノは、本人の悩みや苦しみになります。

簡単にいうと、本人の悩みや苦しみがなくならなければ、

主観的QOLは、向上しにくいとも言えます。

現実的には難しいかもしれませんが、

悩みも苦しみもない状態が、

主観的QOLが高い状態と考えても良いでしょう。

客観的QOL

客観的QOLは、他人から見てとれるQOLになります。

客観的QOLを阻害するものは、器質障害・能力障害・ハンディギャップですね。

PTっぽく言うならば、身体機能の障害・活動の障害・参加の障害になります。

身体機能の障害が改善しなければ、

活動の障害が改善しなければ、

参加の障害が改善しなければ、

客観的QOLは、向上しにくいとも考えられます。

ここで注意していただきたいのが、

「主観的QOL」も「客観的QOL」も、

一つの考え方で、

これらの障害があるとQOLは向上しないのかと言われれば、そんなことはありません。

こんな風に考えることも、できるくらいの感じで把握しておいて下さい。

この章のまとめ

治療者と対象者が共同して、社会参加を考慮した目標を決めるのが基本。

社会参加が達成できている場合は、健康関連QOLに着目した目標を設定する。

主観的なQOLには「本人の悩みや苦しみ」が、客観的なQOLには「器質障害・能力障害・ハンディギャップ」が関わる。

終末期の目標設定のポイント

この章について

この章は、

「終末期の理学療法の目標設定が分からない…」

「死を目前にした人の介入って何を目標にするの?」

「終末期の患者さんが、何を望んでいるかが分からない…」

そんな疑問や悩みを持っている方、必見の章になっています。

分かる事は、次の3つ。

◉エンドオブライフケア(End of life cara)

◉人生の幕引きに重要視している事

◉家族への対応

では、説明を進めていきましょう。

エンドオブライフケア(End of life cara)

エンドオブライフケアという言葉をご存知ですか?

おそらく知らない方もいますよね。

様々な定義はあるのですが、

ここでは千葉大学大学院看護学研究科エンド・オブ・ライフケア看護学の定義をお伝えします。

要するに、死を覚悟した対象者が、

最善の形で人生の幕を引けるように支援するって事ですね。

また、千葉大学大学院看護学研究科は、

エンドオブライフケアの実施にあたり、

次の5つの側面を重要視しています。

本人や周囲の人が死を意識した時から終末期が始まり、

本人・家族を含めた医療チームで、治療や見取りの場を選択していく、

本人の人生に焦点をあてて、より良い「死」を迎えられるよう支援する

って事ですね。

PTとして関わる際も、

エンドオブライフケアの一環として、5つの側面を考慮するのが望ましいです。

目標を立案する際も、5つの側面が考慮されているか確認してみてみましょう。

人生の幕引きに重要視している事

欧米で、死に焦点をあて人生の幕引きに対する調査が行われました。

その結果の中で、本人・家族・医師がともに重要であると回答した項目は、

✔️疼痛がない事、

✔️症状についてよく知っておく事

✔️心構えをしておく事

だったそうです。

一方で、医師は重要とは思わないが、

本人・家族が重要だと答えた項目は、

✔️人生が完成したと思える事

✔️意識が明確である事

✔️負担にならない事

✔️他人の役に立つ事

との結果が出ています。

この結果から、

人生のより良い幕引きのためには、

疼痛や病態の心構えといった医学的側面の他に、

✔️「周囲とのつながりを感じれる事」

✔️「人生を肯定的に捉えられる事」

といった側面も重要になる事が分かります。

家族への対応

終末期においては、

対象者だけに対する介入だけではなく、

残された家族に対する配慮も行う事が望ましいです。

残された家族が対象者の死を受け入れ、

立ち直れる準備を一緒に行なっていきましょう。

家族と密にコミュニケーションを取り、

最初に述べた5つの側面を考慮して、

目標を立てていく事で、家族の心の準備も促されます。

親しい人の「死」を急に受け入れるのは困難です。

その事を念頭において、

日々、治療者として接する事ができれば良いと思います。

この章のまとめ

End of life careの一環として、対象者の生活や人生に焦点を当てた目標を立てるのが基本。

終末期に位置する対象者は「身体的苦痛からの解放」だけでなく、「人との結び付き」なども人生の幕引きとして重要視している傾向がある。

残された家族が、対象者の死を受け入れられるような配慮も行う事が望ましい。

おわりに

最後まで動画を見てくださりありがとうございます。

そしてここまで、本当にお疲れ様でした。

動画を見る前までは、目標設定について漠然していた方も、

今は、少しは理解できているかと思います。

目標設定だけにとどまらず、リハビリの分野は、

知らなければいけない情報や知識がたくさんあります。

そこで、情報を集める事を諦めず、

少しづつで良いので、日々情報収集するようにしましょう。

日々続けるだけでは、成長は感じられないかもしれませんが、

その成長は、1年後、2年後、振り返った時に大きなものになっているはずです。

✔️仕事ができない・楽しくない、、、

✔️臨床が苦手・よく分からない、、、

これらの悩みは、センスや性格が原因ではない事が多いです。

では何が原因か?

その答えは「基礎知識」です。

少しづつ「基礎知識」を深める事で、確実に成長できます。

1日1分でも良いので、新しい情報を入手する習慣をつけましょう。

人生が大きく変わるはずです。

少し話が脱線してしまいましたが、この動画のまとめはこんな感じになります。

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では、また次の動画でお会いしましょう〜

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