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研究環境

あれこれ


(実は、今年度で大きな異動となる。この話はいずれどこかで書こうと思っている。それに伴い、今行っている研究たちを手放すことになり、若干の勿体無さと多くのため息が生じているのでここにその想いを記そうというのが今回の裏テーマである。)

現職について、16本/3年の論文に携わってきた。半数は筆頭著者である。
たまに「どうしてそんなに研究してるの?/できるの?」と聞かれるので、私の研究環境をざっと説明する。

ただし、あくまで自分の業界の中では書いてる方かもしれないが、私は年間50本近く民間で指導しながら自身も書き続ける化け物みたいな人たちを数人知っているので、とてもちゃちな話をこれから書くわけである。



1. 学内の同業者との研究/論文執筆
 a. 単発の研究/論文執筆


最も筆頭として多いのがこのパターンである。これは論文になりそうなネタを見つけて粛々と作業をするだけである。アイディア勝負なのでCQ・RQを持っていればどこからでも攻められる。現職はデータベースは豊富なので自由自在にネタからデータにアプローチできる。ただし、継続的なテーマの積み重ねはないのでその都度0から原稿を組み立てていくのは多少面倒ではある。


1. 学内の同業者との研究/論文執筆
 b. 連続的なプロジェクト


研究と言えば、研究室に篭って、PIや同僚に揉まれて…と想像していたのだが、このパターンは実はあまり効率が良くない。複数のプロジェクトに乗っかって、毎月のように進捗会議に出席するものの、このパターンで論文に加わったのは1-2本しかない。

いくつかの原因があると考察する。Active writerがすでに出世してしまい指導側に側に回っている事、新規のネタを考えるハードルの高さ、進捗会議に出すだけで「やってるフリ」を延々と続けている…などである。

いろんな業績のある人たちやプロジェクトを見て思うのは、実のところプロジェクトを引っ張ってるのはガンガン論文を出版できる力があるほんの一握りの人(Active writer)であり、多くの人たちは「参加している」だけである。はじめは勢いのあったプロジェクトも段々とactive writerが出世して指導側に回る過程で熱が冷めてくる。いわば惰性で回っているだけになる。不幸にもこういうプロジェクトは名残で大きく派手ではあるが、中身はしょぼい。なので、大きなプロジェクトに幸運にもアサインされたとしても安易に喜んではいけない。

学会発表と同様に、発表することにエネルギーを使っていると論文に至らずに頓挫する。はじめから論文になるネタで発表を通過点に行きたいが、この系では「とりあえずうちからも今度の学会に出そう」という脅迫依頼が多いので中途半端なネタで発表だけして頓挫することが多い。そういうのは無駄なのでなるだけ避けている。

自分がPIになれば別だろうが(先ほどの話からすると避けたい)、基本的に自分はこういうプロジェクト系ではあまり積極的に参画していないのが現状である。一番時間は取られてはいる。


2. 学外のコミュニティ

現職の業績の中で学内よりも学外のコミュニティの数が多い。これも奇妙な話だが、数年前より臨床研究支援の某コミュニティの属している。そこでいろんな手解きを受けるのだが、幸運にもコミュニティの黎明期に入ったのでチャンスが多く、自分自身も学びながら論文作成に携われた。
こういうものをきっかけにまた派生した研究にも参画できることもあった。また、昨年度より某リアルワールドデータ活用の講座にも入って勉強しているので、そこからも発展的なコミュニティを構築して、論文を書いていきたいとも思っている。


一旦、まとめると

まず、研究を始めるというと「1-b. 連続的なプロジェクト」に配属され、研究/論文のいろはを教わるのが最も多いと思う。しかし、これは非効率的なこともあり、よほど好奇心が強く、絶対に論文を数本書くぞ!という気持ちがある人は、active writerを味方につけて「1-a. 単発の研究/論文執筆」から始めることをお勧めする。逆に、1本だけでいいやという人は「1-b. 連続的なプロジェクト」に属することをお勧めする。非効率的ではあり、遅いが、大学院生などのように絶対に論文が1本必要な場合には、ノウハウを持っているので属していて損はない。

一番初めに書くのだとすれば、医療者の場合は症例報告であろう。今はいろんな論文執筆の教科書が出ているので、それらを参考にまずは書き上げて、職場のactive writerに添削を依頼する(当然、共著者に加える)。いきなりoriginal reportを書き上げるのは、初学者がデータアクセスから始めても必ずやっかみが入るのである程度の知名度を得てからの方が望ましい。その場合も「1-b. 連続的なプロジェクト」の方がメリットが高いだろう。

自分は「1-b. 連続的なプロジェクト」→「1-a. 単発の研究/論文執筆」ではなく、「1-a. 単発の研究/論文執筆」→「1-b. 連続的なプロジェクト」と普通の戦法とは異なる方法でここまで来たので話がゴチャゴチャしている。
ただし、量産タイプの方々は職場内だけでなく、職場外ともやり取りをして、複数を同時に回している。

今後の私の課題は「職場外のコミュニティ作り・強化」と考えている。
どうしても単施設内のデータだけでは出せる論文の内容も限られてくるし、Limitationの文言も同じようなものになる。

可能な限り、発展的な場に身を置いていくことを考える年にしようと思っている。

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