【理学療法士】実習生・新人向け 最低限必要なTHA術後リハビリの評価について
変形性股関節症における全人工股関節置換術(以下THA)は、学生の臨床実習でも症例として関わらせて頂くことが多いです。
今回はTHA術後のリハビリにて必要最低限と思われる要点をまとめました。
※TKA術後のリハビリ評価と重なる部分も多いので、あわせてこちらもお読みください。
https://note.com/rehakaburakko/n/n3bcc44473023
事前の情報収集
まず、カルテで情報を確認します。
✅疾患名(変形性股関節症だが、後発的なものか、先天性股関節脱臼や発育性股関節形成不全のような幼少の頃から股関節に問題を抱えていたのかなどをチェック)
→幼少の頃からの疾患の場合は全身のアライメント不良や動作の癖などで、リハビリに時間を要する可能性がある。
✅年齢、性別、体重(BMI)
✅画像所見(CE角またはsharp角、骨盤の傾き)
✅術式(前方進入や後方進入など、侵襲部位はどこかなど。術式によって脱臼する方向が変わるので必ずチェックしておく。手術記録に書いてある。)
→前方進入では股関節伸展、内転、外旋が脱臼肢位
→後方進入では股関節屈曲、内転、内旋が脱臼肢位
✅リスク管理(術後であれば、炎症所見(CRP値、WBC値)、DVTの有無(Dダイマー値のk確認))
✅安静度の確認(術後であれば、全荷重かけて良いのか、体重の1/2までなのかなど)
問 診
✅入院前(手術前)のADL状況
✅家族構成
✅家屋状況
✅HOPE
評 価
✅バイタルサイン
✅疼痛
✅発赤、熱感の確認
✅全身アライメントチェック
✅ROM
✅MMT
✅回復具合に合わせて歩行形態の獲得
→TKAと比較して術後疼痛が少ないことが多い。
全荷重許可なら平行棒内歩行→サークル歩行や松葉杖歩行→片手杖歩行など
✅回復具合に合わせてADLの獲得
→TKAと比較して脱臼のリスクが高いので、脱臼しにくいADL動作を練習する。
寝返りや起き上がる時、立ち上がりや浴槽またぐ時など、脱臼肢位にならないよう指導する。
補 足
TKA同様にバランス評価なども加えながらADL動作や歩行動作の不安を取り除いていく。
おわりに
TKAと比較して、退院期間が短いことがあります。
それは疼痛も少なく、歩行やADL動作が獲得しやすいことが考えられます。
しかし、冒頭の方にも話したとおり、先天性股関節脱臼や発育性股関節形成不全などの疾患がある方は、アライメントが修正仕切れない部分もあります。
よく本人と話し合い、理学療法士と本人のゴールを統一させておく必要があります。
特に外来リハビリが始まったあとが重要となります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
https://note.com/rehakaburakko/n/n892014062f43
最後までお読み頂き、ありがとうございました。