【新人理学療法士向け】退院までの進め方
今回は新人理学療法士向けに、患者様が入院から退院までに必要な情報や他職種とのやり取りのノウハウをお伝えします。
※急性期病院の例を中心に話をしていきます。
高齢化社会で今起きていること
それは「老老介護」と「独居老人」です。
もし、この2つに当てはまる方が、病気や怪我をして入院したときに、スムーズに元の生活に戻れるでしょうか?
もちろん、元々元気で杖も使わないで生活されていたような高齢者の方は元に近い状態で退院できる場合も多いでしょう。
しかし、現実はそうではない高齢者も多く存在します。
元々日常生活動作がギリギリであった方が、病気や怪我で入院したときは、退院先をいくつか考えなければなりません。
理学療法士は身体機能のみでなく、社会的環境、ICFでいう環境因子を考慮していく必要があります。
退院に向けて必要な情報
【社会的情報】
✅マンパワーがあるか(介護者がいるか)
✅経済力はどうか
✅介護保険はあるか
✅家屋環境はどうか etc...
【身体的情報】
✅移動能力
✅認知能力 etc...
身体的情報はリハビリテーションで確認できますが、社会的情報はは退院支援看護師か、社会福祉士と協力して調べてもらいます。
介護保険が絡んでくればケアマネージャーともやり取りをしていきます。
リハビリが始まって3日以内には方向性を絞っていく
リハビリが始まって3日もあれば多くの情報が手に入ります。
社会的情報は退院支援看護師や社会福祉士にすぐ情報を集めておいてもらいます。
また身体的情報としても、元々の移動形態や認知機能など、普段の様子を知っている人(キーパーソン)に連絡してもらうか、自分であったときに話を聴くかです。
患者様の予後を考えるとき、例えば大腿部近位骨折だとします。
基本は「1段階移動形態が下がる」と考えておきます。
元々杖歩行だった人はシルバーカーに
元々シルバーカーだった人は車椅子に
などです。
脳卒中の場合は回復期に退院することが多いと思いますが、以前書いた記事を一度参考にしてみてください。
https://note.com/rehakaburakko/n/n3707a192e58f
上記の予後を考えた上で、予測を立て、患者様にあった退院先を考えていきます。
もし65歳以上で介護保険を持っていなければ、申請手続きをしてもらうよう他職種に伝えましょう。
入院中にリハビリを見学してもらう
他職種や家族、ケアマネージャーに一番伝えやすいのが、実際にリハビリの様子を見てもらうことです。
見学してもらう時は、主にADL動作練習を見てもらい、どこまでできれば退院が可能か確認してもらいます。
目安入院してから2〜3週間の間が良いでしょう。
主な退院先
✅自宅:一人で過ごせる、または介助者がいる状態なら可能
✅回復期病院:主に自宅退院を見据えている
✅特別養護老人ホーム:要介護3以上が入居基準。入居待ちが長い
✅介護老人保険施設:要介護1以上が入居基準。自宅退院までの一時的な入所目的。リハビリテーションあり
✅介護療養型医療施設:要介護1以上が入居基準。痰の吸引や経管栄養など、医療的ケアが必要な方が候補となる。リハビリテーションあり
まとめ
・退院調整はリハビリ職が中心となって動く
・必要な情報は他職種と協力して早く入手する
・退院先の特徴を理解しておく
特に新人は勤務先の仕事を覚える必要もあるので、勉強していくのも大変な時期だと思います。
この記事で少しでも参考にしていただければかと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。