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【理学療法士】実習生・新人向け 最低限必要なTKA術後リハビリの評価について

私が学生の頃はこの季節から初めて理学療法士の臨床実習というものを行なっていました。

臨床実習といえば、急性期病院へ実習へ向かう学生の多くが症例として関わらせて頂く疾患、

変形性膝関節症における全人工膝関節置換術(以下TKA)です。

もちろん、理学療法士として働き始めてからもこの症例には多く出会うかと思います。

今回はTKA術後の患者様に対して、私が思う最低限おさえておくべき要点をまとめました。

事前の情報収集

 

まず、カルテで得られる最低限必要な情報はこれ!

・年齢、性別、体重(BMI)

 

・画像所見(FTA、Kellgren-Lawrence分類)

 

・術式

(CR型やPS型、侵襲部位はどこかなど、手術記録に書いてある)

 

・既往歴(服薬状況も含めて確認)

 

・リスク管理

(術後であれば、炎症所見(CRP値、WBC値)、DVTの有無(Dダイマー値の確認))

 

・安静度の確認(術後であれば、全荷重かけて良いのか、体重の1/2までなのかなど)

 

他にも家族構成や歩行形態などあるが、直接本人と問診した時に聞いてみましょう。

問 診

 

直接患者様とお話しする時に最低限伺う情報はこれ!

・入院前(手術前)のADL状況

(杖使ってた、車乗ってた、家事してた、電車で仕事行ってたなど)

 

・家族構成

(何かの時にこの患者様を助けてくれる人がいるのか確認するため)

 

・家屋状況

(玄関の高さや階段の高さ、寝室は2Fか、ベッドか布団かなど)

 

・HOPE(治療のゴールを決めるための重要な要素)

 

次は評価項目を確認してみましょう。

評 価


TKAを施行された患者様へ、最低限必要な評価はこれ!

・バイタルサイン

(血圧や脈拍、意識レベル(JCS ,GCS)など。術後は貧血や麻酔の影響で気分不快になる人が多い)

 

・疼痛

(痛みの部位、安静時痛、動作時痛、夜間時痛など。NRSやVASで確認。毎日確認して状態の変化を記録する)

 

・発赤、熱感の確認

 

・全身アライメントチェック

(臥位、座位、立位にて骨盤の前後傾や高さの左右差、円背、側弯の有無、筋緊張や筋弛緩している場所、関節の硬さ、柔らかさが場所によって差がないかなど気になる部分は全てチェック)

 

・ROM

(手術側の膝関節可動域練習はもちろん行うとして、対側の膝の変形があるのかも確認。全身アライメントチェックで気になった部分を行うが、わからなければボトムアップ形式で全部やる)

 

・MMT

(患部外や対側下肢の筋力など、全身アライメントチェックで気になった部分を行う。わからなければ、ボトムアップ形式で全部やる)

 

・回復具合に合わせて歩行形態の獲得

(例:平行棒内歩行→ピックアップ歩行器歩行→サークル歩行器歩行→両杖歩行→片手杖歩行)

 

・回復具合に合わせてADLの獲得

(例:病棟トイレまでピックアップ歩行器歩行自立→病棟内ピックアップ歩行器歩行自立→病棟内両杖歩行自立→病院内片手杖歩行自立。階段昇降や入浴動作、洗濯動作や屋外歩行も回復具合に合わせて行なっていく)

 

補 足

 

上記の評価の中で、歩行形態やADLが次の段階に進まない原因として、バランス評価(FBS、TUG、FRTなど)や、運動強度(Borgスケールなど)、ROM、MMTなどからもう一度弱いところを評価して治療のヒントに加えていきましょう。

おわりに

 

上記に書いてきたものは「TKAを施行した患者様」の評価内容です。

そしてあくまで「最低限」の要点です。

今この記事を読んでいて、かつTKAの患者様を受け持っている人は、「TKAを施行した〇〇様」の評価内容を考えなくてはなりません。

例えば、「自宅から駅まで歩く必要がある」という患者様には、自宅から駅までの距離を聞いて、その距離での歩行の耐久性の確認、杖が必要なのかなどを考える必要があります。

また、「そんなに歩かないけどガーデニングはやりたい」という患者様には、膝の必要な屈曲角度、外で使う用の椅子の有無、椅子の高さは何cm必要かなどを考える必要があります。

患者様の社会的背景によって必要な評価は全然違ってきます。

あなたが担当している〇〇様に沿った評価、治療を心がけてください。

 

どうすれば良いかわからない人へ。

一つコツがあります。それは、

「患者様が朝起きてから寝るまでの流れを細かく想像する」ことです。

その中で何かイメージしにくいものがあれば、情報が足りていないのです。

本人へ問診するか、評価をして身体機能の情報を得てください。

この情報が患者様や読んで下さった方々に役立てられれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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