就寝22:30 起床4:30 30分間トイレ 睡眠5:30 車椅子卒業の翌日にスガシカオの歌声が聞こえた
日々の生活が「車椅子」から「歩き」に変わった。慎重に歩こう。周りをよく見て安全確認をしよう。
キーボードは左手の動きが悪い。小指でリターンを押すと少し下にずれる。Kがブラインドタッチできない。薬指で「。」をブラインドタッチで成功するのは確率1/2。朝早いので、キーボードの音を立てずに文章を書く。早朝はキーボードのトレーニングタイムになっている。
ちなみにここのリハビリテーション病院の食堂にこう貼ってある。
パソコンやスマフォで音楽を聴く 6:00-22:00
電話の食堂の電話通話可能エリア 7:00-22:00
それから、食堂に大きなテレビがあって、6:00-22:00の時間帯は付いている。チャンネルは概ね決まっているが、朝、「スッキリ!」が付いている場合と「朝の連続ドラマ小説」が付いている場合がある。誰がチャンネルを決めているのかは、わからない。
18:00-18:30に晩御飯を食べて、歯を磨き、イソジンでうがいをする。食堂にパソコンとスマートフォンとノートとカレンダー帳を持って行く。19:00-21:30に自分のフリータイム。いつも、お仕事や勉強をされている方がいる。21:00頃になるとその方と私の二人になる。
その頃、看護師の宮脇一人さんをはじめ3人の方がテキパキ仕事をして行く。マルチタスクで常に状況に応じて対応して行く。トイレで呼び出しが押されるとすぐに飛んで行く。患者さんの状況を見守って回る。「血圧と体温を測っていいですか」と私のところに来てくれる。「体調はどうですか?」を確認して、ちゃんと記録されている。こういう時間になんでも相談できる。宮脇一人さんの周りにおじいさんとおばあさんが車椅子で座っている。いろいろお話をしたり、状況を聞いたり、相談に乗ったりしながら、同時にパソコンに何かデータ入力をしている。ものすごく優しいお兄さんであったかい人なので、多分近くにいると安心するのだと思う。ゆっくり、ゆったりした表情と声でお仕事をしているのだけれども、何か起きたときには、別のモードのスイッチが入って、すごいスピードになる。問題解決するとさっきの優しいお兄さんに戻る。
初めて僕が別のモードの宮脇一人さんを見たのは、同室のおじいさんが呼び出した時でした。素早く駆けつけながら、さっとトイレの表示を「使用中」に変えて、おじいさんを確認して、トイレに案内する。トイレから出てくる時には、優しいお兄さんが寄り添っている。
「宮脇さんってどうしてそんなに仕事できるんですか。誰かに教わったんですか?」と聞いたことがある。
「この病院に勤める前の職場の先輩ですごく仕事ができる人がいて、その人のことを必死に真似していたんですよね」と教えてくれた。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の取材班はなぜ今この瞬間を押さえていないんだと思った。スガシカオの歌声が聞こえた。
キーボードのトレーニングをしながら、宮脇一人さんのお仕事の瞬間を思い出して、いい時間を過ごせることができた。ブラインドタッチも着実に上達した。
*登場人物は全て仮名です。プライバシーに配慮してつつ、私のリアルな体験を表現するために仮名でご紹介しています。脳出血のリハビリテーションをする45歳の父親のノートです。
いそ
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