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血圧⑤平均血圧と脈圧

収縮期血圧や拡張期血圧についてはすでに記事にしました。

しかし、まだ血圧には種類がありますよね、そう、平均血圧と脈圧です。

まずは脈圧についてみていきたいと思います。

脈圧とは

収縮期血圧から拡張期血圧を引いたもの

つまり上と下の血圧の差のことです。

これは加齢の影響をよく考える必要があります。

加齢に伴い収縮期血圧は上昇し拡張期血圧は横ばいもしくは低下します。

【資料】超基礎から解説!循環器疾患のリスク管理とリハビリテーション 血圧と循環の生理学

つまり、脈圧は大きくなってきます

これは、

大血管の動脈硬化を反映している

とされているため、脈圧が大きい人は動脈硬化が進んでいる可能性もあります。

脈圧には明確な基準値はありません。

だいたい40-60くらいが基準範囲とされることが多いです。

臨床では収縮期血圧150、拡張期血圧50みたいに、脈圧が100近い方もざらにいます。

このように脈圧は大血管の動脈硬化を示唆している一つの指標です。

ただし、疾患的に脈圧が大きくなるものがいくつかあります。

代表的なものは

大動脈弁閉鎖不全症

甲状腺機能亢進症

です。

大動脈弁閉鎖不全症では、収縮期に血液が左室側に戻ってしまうため、拡張期に大血管が戻す血液が少なくなり、拡張期血圧が低下します。

さらに、代償的に心臓は強く収縮して収縮期血圧が高めになるため、その結果、脈圧が大きくなります。

甲状腺機能亢進症では純粋に心臓の収縮力が強くなることによって脈圧が大きくなります。

これらはいずれも疾患的に脈圧が大きくなりますので、動脈硬化とは言い切れないので注意して下さい。

ただし、大動脈弁閉鎖不全症については大動脈解離のあと合併することも多いため、そうなってくると動脈硬化の影響がないとは言い切れなくなります。

これに対し、平均血圧は末梢血管の状態を反映しているとされています。

平均血圧とは

つまり、脈圧が大血管の動脈硬化であったのに対して、平均血圧は末梢血管の動脈硬化の指標として利用されます。

ただし、動脈硬化というのは特定の血管だけに起こるというのは考えにくいので、どちらも併存していると考えるのが自然です。

平均血圧は拡張期血圧に脈圧の3分の1を足すので、少々計算が面倒です。

臨床では、動脈硬化の指標というより末梢循環の指標という印象が強いです。

具体的に言うと、急性期、特にICUなどでは平均血圧を臓器循環の指標として活用しています。

主に血圧が低いケースの場合ですが、臓器に血液が十分に届かないとその臓器は本来の役目を果たすことができません。

平均血圧が低くて尿量が減少していると、臓器循環が維持できていないと判断し昇圧剤などを利用することがあります。

以上をまとめると、

脈圧は大血管の

平均血圧は末梢血管の

動脈硬化や循環状態の指標となるということになります。

正直それほど使う機会はないかもしれないけど、使うか使わないかはあなた次第です。

フィジカルアセスメントにはこうした前情報が重要となってきたりします。

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