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血圧⑥血流再分布のメカニズム

血圧についての連載の続きになります。

今回は血管の構造と機能を理解して血流再分布のメカニズムを考えていきたいと思います。

では、血管の構造をみていきましょう。

血管の構造

血管は外側から外膜、中膜、内膜と3層構造となっています。

外膜というのは、血管のカバーみたいなイメージです、特別気にすることはありません。

中膜の特徴は平滑筋が豊富に存在することです。

この平滑筋が収縮することで血管径が狭くなります。

平滑筋は自律神経支配であり、交感神経の興奮によって収縮します。

この血管の収縮が血管抵抗を変化させることで血圧の変化はもちろん、血流の再分布に重要な役割を果たします。

内膜には血管内皮細胞という重要な細胞が存在します。

あまり聞きなれないかもしれませんが、心臓リハビリテーションの世界では有名なやつで、この細胞を活性化することが動脈硬化の抑制につながるとされるデータが多数報告されています。

血管内皮細胞は一酸化窒素を放出します。

この一酸化窒素は血管拡張作用があるので、血管の細胞が血管を広げるという働きがあります。

つまり、柔軟性があって伸び縮みする血管というのはこのような血管内皮細胞の働きが活発なんです。

このように、血管の構造の中でも中膜と内膜が重要な働きを担っていることを知っておきましょう。

動脈の分類

次に、動脈の特性による分類ですが、大きく3つに分けられます。

弾性型動脈

筋型動脈

細動脈

です。

大血管が弾性型動脈です。

拡張期血圧を生み出すウインドケッセル機能の立役者ですね。

こちらは血圧のところでお話ししているので簡単に。

次の筋型動脈です。

血管は何度も分岐してだんだん細くなっていきます。

イメージとしては大血管から分岐して、細動脈になるまでの間の動脈が筋型動脈です。

その名の通り、平滑筋が豊富に存在するのが特徴です。

先ほども少し述べましたが、血管平滑筋が多いと血管の収縮・拡張がたくさんできるのがメリットです。

その特徴を生かして、必要な場所に必要な血液を送り届ける働きをしており、輸送血管と呼ばれます。

血流の再分布のメカニズム

血流再分布

こちらは安静時と最大運動時の血流の再分布を示した図です。

おそらく学校などでも習っているのではないかと思いますが、人は運動をすると心拍出量が5倍程度まで増加します。

しかし、この循環血液量がただむやみやたらに全身を駆け巡っていても効率が悪いですよね。

不要なところに血液を運んでも意味がありません。

運動して血液が必要なのは明らかに骨格筋です。

内臓は運動中に血液は必要ではないので、内臓には血液を減らして骨格筋にたくさんとどけるという選択が必要になります。

この選択のことを再分布と表現します。

そこで役に立つのが血管の収縮・拡張です。

内臓の血管が収縮し、骨格筋の血管が拡張することで必要なところに必要な分だけ血液を届けることができるのです。

この図を見ると脳の血流量が低下しているように見受けられますが、血流量が5倍になって割合がおおよそ5分の1になっているので、実質血流量はほとんど変化していないのがわかります。

つまり、重要臓器である脳には常に一定の血流が確保されているということになります。

ここで1つ疑問が生じます。

ヒトの身体はいったいどうやって血液が必要なところと不要なところを分けているのでしょうか?

骨格筋と一口で言っても、例えばエルゴメータを漕いでいるのであれば上肢の骨格筋は大して血液を必要としていません。

下肢の骨格筋、特に大腿四頭筋に血液を届けて上肢にはあまり届けないようにする必要がある。

運動している筋肉としていない筋肉の違いは、代謝です。

血液が必要かどうかを判断するには局所の代謝が重要な役割を果たしています。

これを局所性調節と言います。

筋肉がたくさん活動すると、そこに代謝産物が老廃物として蓄積されます。

乳酸が代表的でイメージしやすいですね。

この代謝産物が血液を必要としているサインとなり、血管を拡張させることで必要なカ所に効率的に血液を届けています。

もう少し詳しく説明すると、運動しているので交感神経優位な状態となっています。

交感神経は末梢血管を収縮させる働きがありますが、局所性調節によって活動している部位の血管は収縮しません。

そのため、血液がそこに流れやすくなる、というイメージです。

この局所性調節によって交感神経の興奮の影響を阻害することを機能的交感神経遮断と言います。

では、話を血管に戻します。

弾性型血管、筋型血管と説明してきたので、残っているのは細動脈ですね。

血管は分岐してどんどん細くなっていきますが、直径30マイクロメートル程度にまで分岐したのが細動脈です。

たくさん分岐するので、血管としてのシェアが多いのが特徴です。

平滑筋も存在するため、この血管の太さの変化は末梢血管抵抗に大きな影響を及ぼします。

よって、末梢血管抵抗の規定因子とされています。

通常、末梢血管抵抗というと細動脈のように細い血管のことを指すことを覚えておいてください。

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