患者さんの心機能をどのようにして診ているか
こんにちわ。
先日のセミナーの後に以下のようなご質問を受講生の方から頂きました。
患者さんの心機能を評価する上で、真鍋先生はどこをどのように評価されますでしょうか?
心エコーのこの数値など、具体的に教えていただけると助かります!
今日はこの質問にできる範囲で答えてみたいと思います。
心機能を評価する
まず、実際の臨床をイメージするので、初回のリハビリ介入前にカルテから情報収集をします。
実際には心機能以外にも様々な情報を収集して、そこから色々考えて初回の介入に臨みます。
まず、カルテはなるべく目を通しますが、心機能という切り口でいくと
心電図
心臓超音波検査
胸部レントゲン
血液生化学検査
心臓カテーテル検査
これらは必ずチェックします。
これらの数値とその患者さんの経過を照らし合わせて患者さんの循環器系の臨床像を想像することが大事だと思います。
心機能とは?
心機能、というのも意外に難しくて、心臓が元気であっても血管が細かったりして末梢の循環がうまくいかなければ、それって循環器としてベストな状態ではないですよね?
だから、心機能という切り口ではなくもう少し大きく、循環器として全身を診られればベターだと思います。
あえて、心臓にフォーカスするならEF(左室駆出率)と弁の機能は必須でしょう。
EFと弁膜症
EFがよくても循環が悪い代表が弁膜症です。
いくら強く収縮しても出口が狭かったり逆流してしまっていては有効な心拍出量が得られませんね。
例えば、僧帽弁閉鎖不全症(MR)がある場合にEF50%ということは、実際には50%分は大動脈側に出ていないはずです。
つまり、MRでEF50%というのは心機能としては低下していると考えてよいでしょう。
拡張能も見ます
拡張能はセミナーでも触れましたが、E/AやE/e'で評価します。
また、心嚢液が貯留している状態では心臓は拡張できませんので心嚢液についても確認が必要です。
不整脈も見ます
不整脈があると循環動態に影響を及ぼします。
頻脈性不整脈では数は打っていますが、有効心拍としては低下していることがあります。
おおよその目安ですが、EFが良くて心不全になっているケースはだいたい拡張不全です。
あと、致死性不整脈が出たり心不全を繰り返すケースは虚血性の可能性が高いですので、心機能だけではダメです。
ここまではすべて安静時の心機能
あとは患者さんのところに行って運動時の反応を確認します。
おそらく、重要なのは運動耐用能ではないでしょうか?
安静時はよっぽどな重度な心機能低下でもない限り、症状はないです。
運動時の心機能(表現がやや怪しいですが)は運動負荷をかけることでのみ評価できます。
つまり、運動して見ないと分からないんですよね。
逆に言うと、安静時の心機能をいくら評価しても、結局寝たきりの人でない限り動くと思いますので。
ポイントはいつから動くか、ですよね。
そこは心機能というか全身状態に近くなってくるでしょう。
心機能って奥が深い
心機能について改めて質問を頂くと、説明が難しいなと感じます。
おそらく、的を得た回答ではないでしょうから、追加の質問を頂くと思います。
その時にまた質問への返答をさせて頂きたいと思います。
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