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踵の痛み

今回は成長期の子どもに多い、踵の痛みに関してです。

特に運動をやっている子で「踵が痛い」と言う子を見かけたことはないでしょうか。

成長期における踵の痛みとして有名なのが「踵骨骨端症」があります。他にも「アキレス腱炎」や「足底腱膜炎」など、踵周囲で痛みが出るスポーツ障害は複数あります。

踵の痛みは子どもから大人まで、運動をしている方々で経験したことがある方も少なくはないのではないでしょうか?実際に私も経験者の一人です。

痛みに対して、自分では試行錯誤しながらパッドを入れてみたり、テーピングを巻いてみたり・・・しかし踏ん張る時には痛くて、走りたくないな〜と思ってしまうことも多々ありました。

運動中の痛みだけであれば、まだ良いのですが、日常生活・仕事中でも痛いと辛いですね。。。

痛みというのは、運動している人に限らず、全ての人において、常にあるよりはないほうがいいと思います。ただ、全くなくなると、それはそれで色々と問題が生じてしまうのでなければいけないのですが・・・

踵周囲の痛みで一番注意が必要なのは「いきなり誰かにアキレス腱を蹴られたような感じ」だと思います。

なぜか。

それはアキレス腱が切れているかもしれないからです。

「いきなり誰かにアキレス腱を蹴られたような感じ」というのは、アキレス腱断裂の患者さんも実際におっしゃってたり、教科書にも記載されるくらい整形やリハビリ業界では有名となっております。

高校生でもアキレス腱断裂で手術する子がいますので、若いからと言って油断はできませんね。

しかし、アキレス腱断裂はスポーツ障害ではないので、詳しくお話はしません。今回は、踵骨骨端症やアキレス腱炎などの踵痛を生じるスポーツ障害に関して、記載していこうと思いますので、よろしくお願いいたします。


○概要

○踵骨骨端症                               ⇢成長期に多いスポーツ障害の1つ。主訴は踵痛。10歳前後の活発に運動をする男児に多い。運動に伴い、アキレス腱や足底腱膜によって引っ張られるような負担(牽引ストレス)が踵骨骨端核に加わり、炎症を起こすことで発症する。
○アキレス腱炎                              ⇢アキレス腱に炎症を起こした状態。マラソンやジャンプ競技などの主に踏み返し動作により、繰り返してアキレス腱に負荷が加わることで発症する。
○足底腱膜炎                               ⇢足底に付いている足底腱膜が炎症を起こし、痛みが出現する。荷重や着地動作による圧迫ストレスや踏み返しによる牽引ストレスを繰り返すなど、マラソンや長時間の歩行、立ち仕事により発症することが多い。
○踵骨疲労骨折                              ⇢同部位に繰り返してストレスが加わり続けることで発症することが多い。踵部よりも内側に痛みが出現することが多い。

踵骨骨端症は成長期の子どもに多く見られますが、その他の疾患に関しては子どもだけでなく大人でも発症することがあります。

それぞれの診断によって、その後の運動継続が可能かどうかも変わってきます。


○原因

多くは運動時の「足部不安定性」「柔軟性の低下」が挙げられます。同時に膝関節や股関節の不安定性があると発症リスクが高まります。

ではその原因となる「足部不安定性」「柔軟性の低下」が自分に当てはまるのかどうか。

簡単なチェック方法です。あくまでもこれで全てがわかるわけではありませんが、判断材料にはなると思います。

①片足立ちをして、重心の前後移動(つま先〜踵、前後に重心を移動する。)  ⇢この時に親指や小指が浮く、足が船のように横揺れする等、不安定になっていませんか?

②つま先立ち(できる限りゆっくりと行う。)                ⇢親指側・小指側均等に体重をかけれていますか?踵が外側に流れずにまっすぐ踵を上げ下げすることができていますか?

③足を閉じて立ち、しゃがむ                        ⇢踵を浮かせずにしゃがむことができますか?

上記、①・②は「足部の不安定性」、③は「柔軟性」を主に検査しています。

今回は記載していませんが、「運動連鎖」という観点から股関節や膝関節の不安定性も有している場合はスポーツ障害発症リスクの原因となるため注意が必要です。


○対処法

では実際に発症してしまった場合、可能であればまずは安静にすることが必要です。繰り返して負荷をかけることが原因とされることが多いため、休むと良くなる場合も多々あります。しかしその良くなったタイミングで復帰・運動再開してしまうと痛みが再燃することも多々あります。

そのため、まずは安静にして痛みを改善する、その後にしっかりと予防目的のトレーニングやケアが必要です。また可能であればインソールやパッド、テーピングなどを使用するといった予防策を講じるのも良いと思います。

発症早期、痛みがある場合はアイシングをすると良いです。時間は1回15〜20分くらいで、1時間以上は間隔をあけると良いでしょう。長い時間ずっと冷やすと低温やけど、凍傷になる場合があるので注意してください。

またすぐに復帰・運動再開しなければいけないときはテーピング等を行うと良いでしょう。

なによりもまずは痛みの改善が最優先です!!


○予防

踵痛を予防する上で重要になってくるのが「下腿三頭筋」です。

「下腿三頭筋」は、「腓腹筋」と「ヒラメ筋」を総称して呼びます。この2つの筋肉はアキレス腱となって踵に付着しているため、踵痛に大きく関与しています。

また踵に付いている部分においては、細かく見ると捻れあって付着しており、これには個人差も生じているため、非常に複雑な構造となっています。

しかし、この「腓腹筋」・「ヒラメ筋」を上手に使うことができれば、踵痛の発症リスクが劇的に下がると考えられます。いかにこの筋肉をうまく使えるかが、踵痛を改善する上では肝になってきます。

しかし、この2つの筋肉を使う・もしくはトレーニングするときには、前提として足部の安定性が必要となってきます。なぜ足部の安定性が必要となるのか。

理由の1つは、まずリハビリの世界では筋力測定を行いますが、この2つの筋肉のみ測定方法・判定基準が他の筋肉と異なるという点が挙げられます。

一般的な「MMT」と呼ばれる筋力測定方法では、簡単に書くと「重力に抗して動作遂行が可能」、「重力と多少の負荷に抗して動作遂行が可能」、「重力と強い負荷に抗して動作遂行が可能」というような判定方法です。

しかしこの2つの筋肉のみ、「踵上げが何回できるか」が基準となります。要は重力+自分の体重に対して、どのくらいの回数安定して運動ができるかということになります。

それくらい他の筋力よりも強い筋肉ということです。

さらに言うと、踵上げをするということはつま先で支えなければできません。したがって、つま先立ちが安定しなければ効率よく筋力増強を図ることが難しくなるのです。だからこそ足部の安定性が必要となります。

下腿三頭筋のトレーニングやストレッチ方法は多くのサイトで掲載されているのでぜひご覧になってください。


ここでは下腿三頭筋をトレーニングするための前提として、必要な足部安定性についてあまり記載されていない内容を書いていきたいと思います。

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