<前編>『海のはじまり』を押さえて1位だった作品は?67万サンプルの視聴データを元に、2024夏ドラマの面白かった作品・意外な作品について語ってみた
今回は社内のドラマ好きが集まって、レグザの視聴データを元に夏ドラマについて語る対談をお届けします。
対談をはじめるにあたって
さやまる
最初に伺いたいんですが、いぬづかさんはどのぐらい夏ドラマを見られたんですか?
いぬづか
最後まで見たのは夏クールでは5作品ぐらいです。途中で見るのを止めちゃうことが多いんですが、基本的に各ドラマまず1話は絶対見るようにしています。
賀澤
さやまるさんの方が見ているドラマは多いですかね?
さやまる
そうですね、私、夏クールで最後まで見たのは13作品ぐらいですね。
いぬづか
めちゃめちゃ見てますね。
さやまる
いぬづかさんが最終話まで見ていた5作品はどの作品ですか?
いぬづか
『降り積もれ孤独な死よ』と『ビリオン×スクール』『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』、あとNHKの『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』と『晩酌の流儀3』を見てました。ジャンルはバラバラなんですけど。
賀澤
メイン系じゃないですね。
さやまる
面白いラインナップですね〜(笑)『ビリオン×スクール』と『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』だと、めちゃくちゃドラマの作風が真反対な印象なので、どういったドラマが好きなのか、この対談でものちのち教えてください。
いぬづか
はい。好きなドラマについては、なんでも語ります!
総合ランキング上位6作品について語り合う!
賀澤
まず上位6作品(『ブラックペアン シーズン2』/『海のはじまり』/『西園寺さんは家事をしない』/『新宿野戦病院』/『笑うマトリョーシカ』/『スカイキャッスル』)を取り上げたいと思います。この順位は妥当な感じですか?
さやまる
はい。私の中ではすごく妥当だなという感じです。
賀澤
順当ですね。では、まず『ブラックペアン シーズン2』から見ていきましょう。
1位 飛び抜けた人気作 『ブラックペアン シーズン2』
賀澤
まず性・年代バランスのグラフですね。『ブラックペアン シーズン2』の傾向を見ていくと、ほぼ全部の世代で順位が1位で、F1とF2だけちょっと順位が低いですね。嵐の二宮さんが出演しているとF1層に人気なのかなと思ったら、そうでもない?
いぬづか
F1層で順位が低いのは若干意外ですね。
さやまる
二宮さんも40代で、 F1層の場合はもうちょっと下のタレントさん好きの年齢層という印象があります。内容的にも男性・女性どちらも面白みがある作品だと思うので、私としてはこのグラフの結果は納得がいきます。
賀澤
ドラマの面白さもダントツで今期1位だった感じですか? 総合ランキングを見ても飛び抜けての1位のようです。
さやまる
そうですね。作品自体も前作『ブラックペアン』がめちゃくちゃ人気があり、海堂尊さんの原作が素晴らしい作品で、脚本にも面白さが満ち溢れていて、二宮さんが1人2役を演じていたという話題性もありました。前作のファンもついてきて、面白さが期待され、実際に面白かったということで、 1位はとても納得できました。
2位 男性も意外と見ていた『海のはじまり』
賀澤
引き続き全体ランキング2位は『海のはじまり』です。1位の『ブラックペアン シーズン2』よりはちょっと離れた2位ですかね。性・年代バランスでいうと『海のはじまり』は、だいたいどの年代でも順位が2位か3位なので、平均的にみんなに人気ですね。
さやまる
女性に人気の目黒蓮さんが主演で、内容的にも圧倒的に女性受けが良さそうなので、男性側はどういったポイントで見られていたのかが気になります。
レグザの所有者は男性の年配者が多いのですが、女性ユーザー層が多ければ、ちょっと違う結果になった気がしなくもないですね。 F1・F2がもうちょっと順位としては行く印象もあったので。
SNSで見かけるのが、家のチャンネル権の問題なのか、割とTVerで見ているというコメントが多かったんです。 「TVerで『海のはじまり』見ていたら目黒蓮さん出演のレグザのCMが流れてすごい嬉しい」というコメントが多くあったので。TVerでの視聴層が多かったのが、この視聴ランキングにちょっと影響があるのかなと思いました。
賀澤
ここにはTVer分は入ってないので、入れると該当する層の順位がぐっと上がるかもしれないですね。
続いてファン層グラフを見てみましょう。
賀澤
ファン層グラフでは、あまり接触率は高くないですが、『あの子の子ども』がちょっと関連してますね。
さやまる
納得ですね。「予期せぬ妊娠」「突然親になる」というテーマが、『海のはじまり』と『あの子の子ども』は被っています。子どもに対してどう向き合うのかというテーマが一致してるところで関連性があると思います。
『海のはじまり』はめちゃくちゃ語りたいのですが、決して”重い”だけではないんですよ。人によってめちゃくちゃ評判が分かれた印象ですが、私はもう最終回までリアルタイム視聴して見終わって、さらにその後録画再生でもう1周するぐらい、世界観としてこのドラマがすごく好きでした。
Back numberさんの主題歌や海辺の風景が内容やタイトルと合っていたり、キャラクターそれぞれに人生が感じられ感情が丁寧に描かれていたり、胸を抉られる部分もあったんですが、このドラマはそんな部分もすごく綺麗に見せてくれた印象です。
★さやまるの夏ドラマベスト1
さやまる
私のベストワンは『海のはじまり』です。私の夏は『海のはじまり』と共に始まり、終わった印象です。毎週泣いて、毎週おかわりしてました。夏という季節がすごく海とぴったりな作品でした。
3位 女性人気の『西園寺さんは家事をしない』
賀澤
『西園寺さんは家事をしない』はM3層が7位と落ちますが、F1・F2層では1位で、総合3位なので、女性に人気ですね。
さやまる
TBSの火曜10時のドラマ枠が完全に女性向けなんですね。あとはSixTONESの松村北斗くんが出ているので、 もうここで示されるグラフは完全に納得しかないですね。あと松本若菜さん演じる西園寺さんっていうキャラクターがめちゃくちゃ素敵だったんです。重いテーマのドラマも多い中、レグザの広報の女性が唯一見てたのがこの作品と言っていました。
賀澤
あと声優のイケボの人が出てましたね。
さやまる
声優の津田健次郎さんも話題になってましたね。STARTO ENTERTAINMENTのタレントと十分に張り合えるイケおじってことで、 すごく話題になってました。
賀澤
ファン層グラフを見ると、接触率はそれほど高くはないですが『南くんが恋人!?』と『青島くんはいじわる』のリフトが高く、どちらも主演がアイドルでしたよね。
さやまる
そうですね。『南くんが恋人!?』はLDHの「FANTASTICS from EXILE TRIBE」の八木くんと言って2年連続国宝級イケメンに選ばれて殿堂入りした子が南くん役を演じ、『青島くんはいじわる』ではSnow Manの渡辺翔太くんが主演を務めています。『南くんが恋人!?』も『青島くんはいじわる』も『西園寺さんは家事をしない』も共通しているのがジャンルがラブコメなんです。 だからこれはめちゃくちゃ一致しています。
いぬづか
『西園寺さんは家事をしない』は週の半ばに仕事で疲れていても気軽に見れる作品というのがあって、そこが『南くんが恋人!?』や『青島くんはいじわる』と共通している部分だと思います。
4位 やや男性人気の『新宿野戦病院』
賀澤
『新宿野戦病院』は全体ランキングで4位でしたが、順位が4位より上ぶれているのが男性ですね。『西園寺さんは家事をしない』とは傾向が逆ですね。M 2・M3が高く、M1は低いのがちょっと謎ですが、あとの性・年代はみんな順位が4位なので、やや男性人気って感じですかね。
さやまる
主演が小池栄子さんと仲野太賀さんのダブル主演で、小池栄子さんのファン層がおじ様たちという印象なので、M1の順位が低いのは分かります。以前グラビアアイドルで有名だった方なので。あと女性が「お姉ちゃん黙っとけ」って歌舞伎町の慣習に逆らい、「患者に日本人も外国人もねぇ!」的な、岡山弁でガンガン好きなように突き進む主人公像ってところが、 女性にとっても悪い評価ではなく、こういう順位の結果なのかなって。
賀澤
あとは主題歌がサザン・オールスターズの「恋のブギウギナイト」だったり、上の世代狙いなのかなって感じですかね。
さやまる
夏ドラマって主題歌がすごく作品と歌のシンクロがいい印象が私にはありますね。
賀澤
アニメが主題歌とテーマを合わせてきたのを、ドラマでもやるんですかね。
さやまる
前だったらたとえばSixTONES主演の場合はSixTONESの曲を起用していましたが、『海のはじまり』はback number、『西園寺さんは家事をしない』はBUMP OF CHICKENと、主題歌もドラマの世界観を大事にしていく風潮が見えたのが個人的な印象です。
いぬづか
『新宿野戦病院』はクドカン 脚本っていうところで、『不適切にもほどがある』が面白かったので、そこに付随して期待して見るって感じだったんですけど、なかなか自分には定着しませんでした。層でいうとF1と同じなので、グラフの数値的には納得というか、個人の感覚とも似た傾向だと感じています。
賀澤
ファン層は『ギークス』に近い感じです。内容的に近いのかな?
さやまる
『ギークス』は女性3人が活躍してみたいな感じなんで、女性が活躍するって意味では近いですね。 でもどっちかと言うと、『新宿野戦病院』はめちゃめちゃ癖の強いクドカン脚本で、好きな人は本当に好きだけど、刺さらない人には全然刺さらないドラマという点の方が『ギークス』に似ていますね。
『ギークス』は個性派3人の女性が主軸となってぐいぐい行くようなドラマだったので、個性キャラつながりって感じですね。
5位 社会派ドラマの『笑うマトリョーシカ』
賀澤
次は5位の『笑うマトリョーシカ』 ですね。全体ランキングでは5位で、性・年代バランスグラフで男性は4位が多いかな。女性だとランキングは低めなので、男性に人気に見えますね。ティーンも少しランキングが低いですね。
さやまる
とある政治家の本性を暴こうとする社会派的な物語だったので、男性人気はわかります。レグザのドラマの分類でも社会派・ビジネスドラマに分類していて、「実はヒトラーの裏にはハヌッセンというヒトラーを操るような人がいて…」という重厚なテーマなんですよ。
櫻井翔さん演じる政治家にとってのハヌッセンは誰なのか、本当にハヌッセンはいるのか?という謎を突き止めていく、女性ジャーナリストの物語です。ドラマの展開も二転三転したりするものの、このドラマはあまり女性向きではないのかなと。あとF2層がぎゅっと持ち上がっているのは、ここは嵐ファンで見てるんじゃないかなという印象です。
6位 韓流ドラマ原作『スカイキャッスル』
さやまる
いわゆる一般的な視聴率ランキングだと『スカイキャッスル』は3位なんです。でもこの総合ランキングでは6位なんです。
賀澤
『スカイキャッスル』の性・年代バランスグラフはわりとガタガタしていますが、男性側のランキングは低いですね。ティーンと女性のF3だけ高いですね。
さやまる
『スカイキャッスル』はいわゆる韓国のドラマ原作なんです。韓流ドラマが好きなのはF3層が多い印象で、K-POP好きなティーン層がお母さんやおばあちゃんと一緒にこのドラマを見ているような家族での視聴も想像できます。また、ドロドロとマウンティングが描かれているので、女性層に人気が高いのは納得です。
いぬづか
私も途中までしか見れていなかったんですが、もともと韓国で放送されていた原作のファンで見ていた友人もいたり、親と一緒に見てた人もいたので、確かに女性層のランキングがぐっと上がっているのは納得の結果です。一方で男性も意外とランキング高めなのが、若干驚きもあります。
賀澤
ファン層はどうかな。『夫の家庭を壊すまで』のファン層に近いですね。これはわかりやすいですね。
さやまる
『夫の家庭を壊すまで』も不倫が絡むドロドロ系なので納得ですね。
引き続き後編では、意外性の合った夏ドラマや、個人的に推したいドラマについて語っていきます。