【BL】嫌な奴/木原音瀬 先生
◯ジャンル
病持ちニート×高校教師、同級生、再会、シリアス、愛と執着、不毛 、Notハピエン
◯ストーリー
同級生の杉本和也と三浦恵一の、歪でエンドレスな愛と憎しみの物語。
2人の出会いは小4。三浦が住む街に和也は引っ越してきた。暴力的で強引で自己中な三浦に和也は恐怖を抱いていたが、三浦はしつこいほどまとわりついてくる。しかし和也は自分のプライドを守り続けたいがゆえに、そんな三浦を振り払うことができなかった。
和也は環境のせいにして一度は逃げ出したものの、三浦と12年ぶりに再会することになった。しかし久しぶりに会った三浦は不治の病を患っていた。和也が三浦を嫌う気持ちは変わらないものの、成り行きで同居することになり2人の奇妙な生活が始まる……。
逃げ回る和也と追いかけ続ける三浦。
完全に一方通行なはずだった。和也は三浦のことを最初から最後まで嫌いでしかなかった。
なのに、なぜか探してしまう、三浦の形、体温、音、気配。もはや和也の細胞に刻まれた三浦の存在は消すことができなかった。
不毛なのに、終わらせることができない苦しみを抱き続ける三浦。
消すことのできない三浦の存在と、どうすることもできない2人の関係に葛藤を抱き続ける和也。
2人の行末は…….。。
◯感想
なんだかすごいものを読んでしまいました。
完全にBLの域を超えてる。愛なのか、執着なのか、それとも全く違うものなのか。
好きとか思いやりとかそういう次元を超えた三浦の想い。嫌悪の域を超えた和也の苦しみ。巡りめぐってもはや和也の憎しみは愛に見えてくるほど。
この2人の関係に名前をつけることなどできるのだろうか……。
読んでいて心臓が痛かった……。特に最後の一行が爆発的な切なさで放心状態に。
時折見せる三浦の健気さにも心が引っ張られました。
和也にも三浦にも幸せになってほしい、ただただそれだけを願って本を閉じました。
ラブラブなシーンはなく、2人がハピエンを迎えるものではありません。でも、人間の奥底に沈む欲望が生々しく描かれていて、とても読み応えがあります!約300Pには思えないズッシリ感!読んでよかった!
初回特典SS変わらない日々も読みました。
こちらは本編から6年後、2人が33歳になったストーリー。このSS、絶対読んだ方がいい。本編読了後のグサーっとさされた心が少し癒されるので。
シリアスものが嫌でなければぜひご一読を。
木原音瀬先生、素敵な作品をありがとうございました✨
Noa