アニメ「チート薬師のスローライフ」の背景におけるblender使用事例
Blenderを使用したアニメ背景メイキングの記事です。
今後も追記していきます。
最初に
アニメ「チート薬師のスローライフ」では背景の一部にblenderを使用しております。
メインの建物であるキリオドラッグの3Dモデルを作成しました。
キリオドラッグ外観↓
その中でも頻繁に登場する「店内」、「創薬室」は3DLO用としてモデル、テクスチャを作り込んでいます。
店内↓
創薬室↓
このままレンダリングすれば最小限のレタッチ(アングルにもよりますが)で背景として使えます。
以下手順です。
レンダリング(素材出し)手順
Twitterに投稿したら動画の色味がやや変わってしまったので元の動画も載せておきます。
こちらも元動画を載せておきます。
テクスチャについて。
線画(美術設定用)について。
線画の例
Blenderで設定を作る場合はfreestyleとコンポジットの線を融合させています。
時間がないときや小物の設定などはworkbenchレンダーの設定そのままで出すときもあります。それでも意外と問題なくチェックが通るのでほぼ自己満足の範囲ですが参考にしてください。
線の役割としては、
freestyle:ノイズのある線。オブジェクトからややはみ出す線。
コンポジット:フリーハンドっぽい歪みがある線。交差線。
となります。
基本的には村川和宏さんの記事を参考にしています。
上記の記事に加え、out側のfreestyleライン設定「ジオメトリ」に「バックボーン伸縮」モディファイアーを足しています。これで線がオブジェクトから少しはみ出すようになるのでアナログ感が増します。
コンポジットノードの構成は記事を元に少し変えています。
ディスプレイスノードとクラウドテクスチャを追加して線を歪めています。これは下記の動画(11:30ごろ)を参考にしています。
これらをひとまとめにして現状、僕は以下の形で運用しています。
(2.93現在)
上のレンダーレイヤーがfreestyle(Line_A)。
下がコンポジット線画(Line_B)。
それらを乗算して合わせた線(Line_C)の3パターンを出力します。
「image」はworkbenchで設定した画像がそのまま出力されます。
キャビティや影有りの画像が欲しい場合もあるので一緒に出力しています。
ノードグループになっているのが先ほど紹介したディスプレイス入りのノードたちです。
下の青くなってるレンダーレイヤー名を「comp」にしておいてください。
やり方としては村川和宏さんの記事と同じくシーンを複製しworkbenchの設定を調整して……という形ですが、毎回やるのは大変なのでスクリプトで自動化しました。
線画出力自動化スクリプト(美術設定用)
import bpy
bpy.ops.scene.new(type='FULL_COPY')
scene = bpy.context.scene
scene.render.engine = 'BLENDER_WORKBENCH'
scene.display.shading.light = 'MATCAP'
scene.display.shading.color_type = 'OBJECT'
scene.display.shading.show_cavity = False
scene.display.shading.show_shadows = False
scene.render.use_freestyle = False
bpy.context.window.scene = bpy.data.scenes['Scene']
bpy.context.scene.node_tree.nodes["comp"].scene = bpy.data.scenes["Scene.001"]
bpy.ops.render.render()
bpy.context.window.scene = bpy.data.scenes['Scene.001']
bpy.ops.scene.delete()
詳しい方に教えて頂きながら作りました。協力してくれた方ありがとうございました。
scene名をいじっているとエラーが出るので注意してください。
基本的にラフ、清書どちらも同じ設定で線を出力していますが、場合によっては清書時に「バックボーン伸縮」と「ディスプレイス」は外した方がきれいな線になります。
ちなみに今作の本番BG用の線画ではコンポジットのディスプレイスを外した状態の線画を使用していました。freestyleの線は使っていません。
この後の調整はPhotoshopで行います。
画像で出力した3パターンの線画、主にLine_Cを土台にして部分的にLine_A、Line_Bの線をマスク等で上塗りしながら調整していきます。
足りない部分や変更点はブラシで描き込み、それを元にモデルの調整も行います。
追記:線画についてさらに詳しく書いた記事はこちらです。
https://note.com/regiomu3/n/nfae3d31afd3e#6bcc7165-5c37-4326-8036-d8caeba7b8d0
線画については以上となります
現状ではここまでです。
テクスチャやシェーダーについてはもっと色々な話をしていきたいと思っております。
今後も随時追記していきますのでよろしくお願い致します。
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以前公開した「こみっくがーるず」の背景メイキング(blender2.79使用)はこちらです。
以前公開した「ヤマノススメ サードシーズン」の背景メイキングはこちらです。
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