祭壇のあるお家#1
こんにちは!
株式会社REGATEの金城です。
2022年一発めのテーマは
「祭壇のあるお家」
ですwww
売買不動産の仲介をテーマにいろんな事案をご紹介しつつ、読んでいただく方にケーススタディとなればいいな〜という趣旨のこのnoteコラムですが、
不動産売買の仲介をやっていると大なり小なりのお仏壇があるお家を扱うことはあるけど今回のやつはスケールが違いすぎてケーススタディにもならないかもという内容です。。。
とにかく新年一発めの不動産仲介奮闘記をお楽しみください♪
ではど〜ぞ〜
◆査定依頼
トゥルルーーー・トゥルルーーー・トゥルルーーー・・・・
ガチャ
「はい!不動産売買専・・・」
「鏑木と言いますが自宅の売却をお願いします」
お・売却依頼♪
てか人が喋っている時はちゃんと最後まで聞こうね
「はい!ありがとうございます!物件はどちら・・・」
「〇〇市△△番地です。あ、現地に行きますか?」
だから最後まで聞けって!w
「はい。一旦査定調査のために現地に立ち寄ります。できれば中も見てみたいn・・・」
「外観からの査定で願いします」
・・・。
「はい。でも最終的には中を見て状態の確認をしないt・・・」
「明日には査定できますか?明日は空いているので10時に伺います」
ガチャ。
・・・・・。
声の抑揚がなく棒読みみたいな喋り方をする鏑木さん。
人の話の腰を折るし、最後まで聞かないし、中見ないとちゃんとした査定できないし。明日の10時?なに勝手にアポ切ってんの?俺そんなに暇じゃないよ?いや、空いてるけどさ。残念ながら暇だったけどさ。。。なんかさ。こっちの都合も聞いてほしいよね。売ってくれるなら頑張るけどさ。専任もらえるならなんでもやるけどさ。あれ?目からしょっぱい水が・・・
不動産屋としての直感が働く。
この人と取引したら面倒になる。
あと、声の感じから男性か女性か判断できないんだよな。
ハスキーボイスの女性?少し声が高い男性?という感じ。
う〜ん。性別不詳www
ま、明日会えばわかるからそんなに気にすることでもないかw
◆現地調査
物件の所在地は近隣に大手食肉加工場の畜舎があって風向きで異臭が漂うと不動産屋界隈では有名な場所。風向きが悪い時は一日中家畜の糞尿の匂いが漂ってしまい窓を開けることも洗濯物を干すこともできない。
不動産の査定において匂いが問題となるエリアは要注意。
たまに新人さんとかが偶然匂いがない日に調査して、近隣の聞き込みとかもせず何も知らない人に売ってしまって後から大問題ということもよくある。
売主さんは
「私はそんなに苦じゃなかった。気にならなかった」
って平気でいうけど
「これを言ったら価格が下がるから知られたくない」
というのが本音なんだよね。
内緒で売りたいのもわかるけど基本、不動産って購入者が住んだり貸したりしてそこで生活するからネックはほぼ確実にバレるからね。
引き渡し後に問題発覚→黙っていたのがバレたってなると最初に告知する時の数倍面倒なことになるのよ。
だから売主さんが隠したいことも見抜いてあげるのが仲介の腕の見せ所。
いい不動産屋さんは売主さんや買主さんの表面だけの上っ面を剥がして・・・(自粛)
ちなみに売主が言いにくいことや売主に聞きにくいことがあっても、近隣住民への聞き込みという伝家の宝刀がある。
近隣聞き込みはたくさんの情報をもたらしてくれるから不動産調査の必須項目だ。
今回は売主さんを見抜く力と現地調査の聞き込み力が試される案件になりそうだ。
ということでまずは物件現地へ調査。
匂いは。。。今日はまだマシかな。
物件の外観はまあ至って普通の一般的な一戸建てという印象。
全部の窓のカーテンが閉められてて中の様子は伺えない。
駐車場が一台しか取れないのがネック。。。。と。
でも駐車場に関しては田舎独特の路駐しまくりのエリアだからそこまでマイナスにはならないかな?
写真を撮りながら一通りの目視調査を終えて近隣への聞き込みだ。
ちょうど電柱のそばに落ちてい・・・座っているおばあちゃんに声をかける。
「すみませ〜ん。この辺の不動産の調査をしているんですが路上駐車はよくあるんですか?」
調査物件を特定されないように【この辺】とぼかす。これも基本。
「あ”?車はみんな停めるけどそこの家は迷惑よ〜。あんたがさっき見ていた家よ。月に何回か知り合いがたくさん来るみたいで車だらけになるさ〜。本当に迷惑よ〜。はぁこの家の人は難しくて好かんさ〜」
見られていたかw
まさに【この家】を査定中とは言えないけどw
月に何回かたくさんの車が来る?なにかお茶会とかやっているのかな?
要チェックだな。
親切なおばあちゃんは地域の人たちに【この家】が嫌われているということもそれとなく教えてもらえた。
ご近所さんしか知らない情報は貴重だ。助かる。
おしゃべり好きなおばあちゃん。
こっちが聞いていないこともずっと喋り続ける。なかなか話が切れない。
とりあえず喋り続けるおばあちゃんを元の場所に戻して電柱に話し相手になってもらう。
明日の10時に間に合わせないといけないしな。
◆来店
売り出す際のネックとして匂いの問題や駐車場が少ないことなどを加味して査定。
築年数と外観から推測する室内の経年変化を想定しながら金額をつける。
いろんなネックを織り交ぜたら厳しめの査定価格になった。
他にも色々と考察することはあるけどどこまで鏑木さんが協力してくれるか(正直に話してくれるか)が大事だな。
カランコロ〜ン♪
翌日の10時ぴったりに鏑木さんは来てくれた。
鏑木さんは刈り上げのショートヘア。
女性で言うと短めのショートカット。男性だと少し長めの髪型という感じ。化粧っけはないけど男性という確信も持てない。
格好も持ち物も全てがユニセックスで外見からも声からも性別が読めないw
ま、鏑木さんの性別は不動産売却に関係ないし、この辺は深追いしないでおこう。時代も時代だしな。
でも仲介のスペシャリストとしてどんな些細な動きも見逃さないようにしよう。
「いらっしゃいm・・・」
「査定は終わりましたか?」
・・・。
ボソボソしゃべって聞き取りにくい小さい声。
「はい。。。そちらにおかけください。内容をご説明しまs・・・」
「ここでいいですか?内容を説明してもらえますか?」
・・・。
「まずこの物件のネックと思われる点として家畜小屋かr・・・」
「匂いね。でも慣れるから。で?」
・・・。
「駐車場が一台だけなのが・・・」
「みんな道に停めているし今まで路駐で切られたことないから大丈夫です。で?」
・・・。
「ご近所の方のお話なn」
「え?近所の人に声かけた??」
「あ、はい。物件は特定できないようにエリアの調査ということでお声かけしていm・・・」
「ならいいか。で?」
・・・。
「月に数回たくさんの車が来て路上駐車が多くな・・・」
「あ〜。それは気にしないでいいよ。でいくらですか?」
・・・。
やりにくい。
なんか腑に落ちない。
話がポンポン進むから時間は掛からなくていいんだけどやりにくい。
匂いのこともすぐ慣れるとか言ってるし。慣れないから臭いって評判なんだよ!あと「で?」ってやめろよな!腹たつ!www
長年仲介をやっている経験からこの人から物件を預かっては危険だというセンサーが反応している。
なんかとにかく相性が合わない感じがするw
うまく契約とかになったとしても後々面倒なことになりそうな雰囲気。
できれば今断りたいが厳しめの数字を見せたら引くだろうか?
◆専任ゲット
「これが弊社が出した査定価格で・・・」
バッと査定書を奪い査定金額を見る鏑木さん
・・・。
厳しい数字だから怒って帰るか?
むしろそれを望む自分がいる。
「ではお願いします。売ってください」
え?おお♪専任ゲット♪
・・・とはならない。
厳しめの金額でも引かないか。。。ちくしょう。。。
なんか見えない何かが蠢いている感じがする。
嫌な予感だけが大きくなる。
あ。家の中を見せたがらなかったな、そう言えば。
「鏑木さん。あくまでも外観からの査定なので中を・・・」
「では明日13時にお越しください」
・・・。
なんか変なところはすんなり受け入れる。やりにくい・・・
何を考えているかよく読めない。
明日見に行く前に少しでも打ち解けられないかな。
雑談で空気をほぐしてみようか?
女性ならお子さんのことや学区のこととか近所の公園のこととかで盛り上げて、最後は旦那さんの愚痴を引き出せば仲良くなれるし、男性ならば毎月の支払いのこととか通勤の不便さとかに共感する話で盛り上がることができる。
ただ、残念ながらまだ性別が判明しない。
あ、媒介契約書に名前を書いて貰えばわかるかも♪
俺って天才♪
張り詰めた空気のまま売却までの流れを説明し、媒介契約書に署名をもらう。
署名の名前は「鏑木薫」
う〜ん。。。。
ま、売却に売主さんの性別は関係ないし、、、気にするのはやめよう。
時間が経てばだんだんほぐれてくるかもしれないし。
張り詰めた空気が和むことはなく、お帰りいただくことになった。。。
翌日に備えてとりあえず「鏑木薫」で検索。
ヒットしたのは何やらよくわからないサイト。
宗教?予言?なんだこりゃ?
さらに謎は深まる・・・・
長くなったのでまた次回。
次回予告
・鏑木薫の正体は?
・性別はわかるのか?
・タラちゃん大人になる
の3本です!
では〜
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次回:祭壇のあるお家#2
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沖縄不動産あるある→REGATEコラム
不動産テックのこととかそんな感じ→REGATEコラム