訴えてやる#1
こんにちは!
株式会社REGATEの金城です。
夏の気配も消えて一気に秋の空気ですね。
秋といえば読書。
ということで本日のお客様は巷(ちまたです。港じゃないです)によくいる
「訴えてやる!」
という人です。
訴えるとかいうと少し物騒な感じもしますが、内容はごくごく一般的でポップな内容となっておりますので、小さいお子様がいらっしゃる方はお子様のお休み前に読み聞かせをしながら読んであげてください。
きっと秋の夜風に揺られながらスヤスヤと眠りますよ。
今回はそんな感じの内容です。
ではど~ぞ~
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ピコ~ン♪
「金城さん。ご無沙汰してます。あの物件の件でご相談があるのですがよろしいでしょうか。お時間ある時に電話を頂けますでしょうか。」
何やら嫌なライン。
相手は三年前にとあるアパートを購入してもらった沼田さん。
総戸数12戸くらいの中規模アパート。
満室稼働の時に購入してもらったからその後の入退去の相談だろうか。三年も経つから何部屋かは入れ替わりがあってもおかしくないしな。。。
管理会社の変更をしていないようなら入居の募集も弱いグダグダの管理会社だし、あの管理担当者だと退去の精算もちゃんとできそうにないし・・・
ていうか管理会社じゃないから入退去の事を相談されてもね、という感じだ。
お♪
いや、待てよ。
もしかしたら「アレ売りたいんです」という相談かも。
それなら喜び勇んで前のめりに話を聞く・・・でも三年だから短期譲渡になるし。どっちだろう。
とりあえず電話すっか。
「お電話ありがとうございます。実はですね。金城さんから購入させていただいたアパートでトラブルがあってですね。どうにかならないか相談したくて」
はい。売りたいという相談じゃない事が確定。
少しだけいい話の可能性に賭けて気持ちが浮ついたがそんなに世の中甘くない。
「・・・はい、どのような事でしょうか?」
「あのアパートが埋まらないんです。入居募集を金城さんのとこでもやってくれませんか?」
やっぱりか。
「あ~。申し訳ございません。うちは売買専門でやっていて賃貸はやってないんですよ」
「はい。それは存じております。ですが私も宅建の資格を保有している事を覚えておられますか?御社は売買専門とはいうものの、賃貸をできないわけでは無くてやらないというだけですよね?宅建業法で売買しかできないという規制はなかったはずなのですが、つまりできないのではなくてやらないのですよね?私の認識に間違いはありませんか?」
・・・・あ。三年ぶりだから忘れてた。
この人宅建持っている事でマウント取るタイプのやつだったw
売主さんが借金返済で困っていて利回りとしてはとても魅力的じゃない金額で売り出したのに満額買付を出してきたからどうにかこの人でまとめたんだったっけ。あの物件をあの満額で買う人は希少だし。。。
「はい、その認識で間違いはありませんが弊社は少人数でやっていて賃貸まで手が回らないんですよ。申し訳ないのですがご理解いただけませんか?」
「金城さん。それはそちらの建前であって、私は客として申し上げているのです。仲介手数料もしっかりとお支払いしましたし、売却が終わったら知らぬ存ぜぬではあまりにもホスピタリティーに欠ける対応と言わざるを得ない気がしますがいかがなものでしょうか?」
・・・・イラ。
そうそう、このねちっこさ。
嫌ないいまわし。
だんだん思い出してきたw
「・・・確かに仲介手数料はいただきました。でもそれは売買の手数料であって、今から賃貸を募集するというのは話が違いますよ。うちはあくまでも売買専門として営業しておりますから」
「賃貸の仲介手数料ももちろん金城さんが成約をしたらお支払いしますよ。売買でも賃貸でも手数料は成果報酬だから後払いが常識です。不動産の基本ですよね?
ですから賃貸に関しても成約していただければお支払いしますし。何もタダで働いてくれって言っているわけではありません。」
イライラ・・・・
「でも金城さんのその言い分だけを受け取ると売買取引が終わったらあとは用無しという風に認識されても致し方無いのではありませんか?私は金城さんに無理を言っているのではなくて過去に取引をしたご縁があるのでお願いをしている次第です。あ、お気を悪くなさらないでくださいね。無理なら無理と言ってくれたら私も納得はしますので一応」
イライライラ・・・・・・
最初から無理っつってんじゃん。
何こっちが悪い感じで話進めてんの?
しかも一応納得?一応?
相変わらず腹が立ついい方ばかりする人だ。
思い出してきた。
あの時もずっとイライラさせられたな。
重説に関してもイチイチ話を遮って『これは念のための確認ですが、宅建を持っている私の認識があっているか聞いてもらってもいいですか?金城さんの考えと私の認識とが違っていたら問題ですから』って何度も何度も止められてしまって重説に5時間かかったっけ。
過去最長の重説記録保持者だ。
「はい。では率直に申し上げます。申し訳ありませんが弊社では賃貸はご協力致しかねます。ご理解ください」
「わかりました。では確認ですが現段階では金城さんに賃貸の募集はしていただけないという認識で構いませんか?」
・・・だから今言ってんじゃん!!!!w
このネチネチした「確認ですが」も数百回くらい浴びせられたっけ・・・
にしてもほんっとに人の感情を逆なでするヤツだなww
あと現段階ではじゃなくてずっとな!!お前のその姿勢が変わらん限り俺は永遠にお前の物件を助ける事は無い!
「・・・はい。その認識で構いません」
「それなら仕方ありませんね。実はこれは言いだしたくなかったんですが、金城さんの売買の仲介ミスがあってですね、あ~ミスというよりは仲介の重要事項説明義務違反に該当するような事項なんですけど。協力いただけないのであればそれ相応のところに出てもらう事になりますがよろしいですか?」
は?重説ミス?説明漏れ?
こんなに細かい嫌味な人に?
いやいや、俺ならここまで嫌なヤツを相手にする時は相手が弁護士だろうが裁判官だろうが訴訟になっても突っぱねる事ができるくらい徹底して重説するはずだが・・・
ていうか何?これ脅し?ww
「仲介責任?三年も経って?すみませんどういった内容ですか?」
「え~っとですね。私が弁護士に確認したところ・・・。
あ~、長くなってしまってこの話は電話ではできませんので一度御社に伺いますよ。明日の午前10時でいいですか?」
イラ。。。
アポ取る時はまず相手に「○○時はご都合いかがでしょうか?」だろ。
俺が明日の10時に別件入っていたらどうすんだよバカ。
てか明日10時無理じゃん。決済だからずらせないし。
「すみません。明日の10時は別件が入っていて午後からなら融通利かせられそうですが」
「明日の午後は私の予定が開かないので、では来週に改めましょうか。私も弁護士の見解を再確認しておきますから。では来週月曜日の午前10時でよろしいですね?」
いや、だからまずはこっちの都合も聞けってw
よろしいですねじゃねぇよ!
てか週明け月曜の午前なんて忙しいに決まってるだろwww
でも弁護士も出てくるような内容だとのほほんと日常業務をやってるわけにもいかんしな。厄介な案件は早めに終わらすに越したことはない。
「では月曜10時にお待ちしてます」
「はい。では来週の月曜日午前10時に私が御社にお伺いさせていただきますね」
ガチャ。
イライラ・・・・
三年ぶりに何なんだこいつは。
賃貸の依頼だけだったらお断りして終わりだが重説義務違反をチラつかせられたら流石に無視できんしな。
ていうか三年も寝かせるような重説ミスってなんだ?
というか賃貸の客付けを依頼してきて断ったら重説ミスを出してくるとか順番違くない?
重説ミスとかがあるならそれは別件で訴えるじゃん?普通なら。
弁護士が認めるような重説違反があったとするなら本来であればすぐにでも責任追及するだろうし・・・
分からん。
なに考えてるか分からん。
でも沼田が嫌なヤツってことだけは改めて再認識したよ。
ま、幸い週明けまで時間あるし重説とか売契の確認してみるか。
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三年前の売契も重説も全てデータで残っていた。流石俺。
重説に添付した資料もスキャンして残っていた。流石俺。
なんなら満室の入居者の賃貸契約書の写しも全て残っている。流石俺様。
パッと見では流石の俺でも引っ掛かる要素が見つからん。
でも念のため配管や排水、用途地域とかその他もろもろ再度売却するつもりで再調査をしてみるか。
何か大きな見落としでもあっただろうか。
・・・・う~ん。わからん。
今の時点で細かく再調査して三年前の俺と答え合わせしてみたが何がどう引っ掛かるか全く分からん。
【満室で入居中のため、各室内の状態、設備の瑕疵の有無は確認できませんが、引き渡し後に退去した居室から何らかの瑕疵が発見された場合でも売主及び仲介業者は責任を負わない事を買主は了承して買い受けるものとします】
という入居中物件の基本中の基本の瑕疵免責も謳っているし。
てかそもそも三年も放置するような重説ミスって何だろ?
普通に考えても瑕疵に当たるような雨漏りとか給排水管に関する事だったとしたら三年も放置しないし。。。
賃貸の契約内容も保証会社も付いているし、署名押印漏れとかもなさそうだし。
う~ん。
嫌な業者を相手にする時にやる誤字脱字の一つも許さないくらいに重箱の隅を突っつくような目ざといチェックをしても何も見つからん。
というか相手が相手だから三年前の契約の時に文句のつけようがないくらいに仕上げたヤツだからな・・・流石三年前の俺だが流石の今の俺でも見つけられない。
でも弁護士に相談したら重説ミスを認めた、みたいな事言ってたしな。。。
事前に何かしらの対策をできないのはもどかしいが、沼田が何を言ってくるのか、それが分からんと対応のしようもないという感じか。
仕方ない。待つしかない。
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カランコロ~ン♪
10時ぴったりにエントランスから入ってくる沼田。
あ~そうそう。
このカマキリみたいな目とオオサンショウウオみたいな口。
思い出した思い出した。
そしてこの嫌な神経質そうな仕草。
何もかも第一印象から嫌な感じだったわwww
こいつが入ってきた瞬間に空気が陰湿さでじめっとした感じだ。
こいつが座る椅子に本当にじめっとする何かを仕掛けとけばよかったw
「月曜の朝からすみませんね。私は今非常に困っているんです」
うん、困っているから俺に電話してきたし、それで相談じゃなくて喧嘩を売ろうとしてきたんだろ?
「弁護士事務所も三社ほどに相談したら問題ありと判断してくれました」
へ~三社も。よっぽど慎重なんだな。
うん、だから何を?
まずはそれを言えよ。
「実はですね・・・」
長くなったので続きは次回。
お子様はそろそろ眠りの国へ入ったところでしょうか?
次回は大人も眠たくなるようなポップな内容になりそうです。
では~