上手く進んでいるときこそ設備投資を考えるべき理由
事業が順調に進んでいるとき、経営者は売上や利益の増加に意識を向けがちです。しかし、そんな時こそ将来を見据えた設備投資を検討する絶好のタイミングです。なぜなら、業績が悪化した際には銀行の融資も厳しくなり、キャッシュフローが悪化するため、必要な投資ができなくなるからです。
本記事では、業績が良いときにこそ設備投資を行うべき理由と、どのように投資の判断をすべきかについて詳しく解説します。
1. 業績が悪いときには投資が難しくなる
企業が投資を行うためには、資金が必要です。しかし、業績が悪化しているときには、次のような問題が発生しやすくなります。
① 銀行の融資が厳しくなる
銀行は企業の財務状況を厳しく審査します。業績が悪化し、売上や利益が落ちている状態では、「返済能力が低い」と判断され、融資が受けづらくなるのが一般的です。
たとえば、リーマンショックやコロナ禍の影響で業績が急落した企業の多くは、設備投資どころか運転資金の確保に苦しみました。このように、資金調達が難しくなると、必要な設備投資ができなくなるリスクが高まります。
② キャッシュフローが悪化する
業績が悪化すると、キャッシュフロー(資金の流れ)も悪化します。売上が落ち、売掛金の回収が遅れたり、在庫が過剰になったりすると、手元資金が不足しがちになります。その結果、投資どころか、日々の支払いに追われることになり、経営の自由度が低下してしまいます。
2. 業績が良いときにこそ設備投資を行うべき理由
逆に、業績が良いときには設備投資のチャンスがあります。
① 資金調達がしやすい
当然ですが、業績が好調で、利益が出ている企業は、銀行からの信用が高まります。そのため、低金利での融資を受けやすくなり、資金調達の選択肢が広がるのです。
たとえば、売上が安定している企業が、「業務効率化のための新しい機械を導入したい」と銀行に相談した場合、「今なら十分返済できる」と判断され、スムーズに融資が受けられる可能性が高いでしょう。
② キャッシュフローに余裕がある
業績が好調なときは、手元資金にも余裕があります。そのため、自己資金での投資も検討でき、無理のない範囲で設備投資を進められるのです。
たとえば、製造業の企業が新しい機械を導入して自動化を進めることで、生産性を向上させれば、将来的な利益増加につながります。
3. 設備投資の判断基準とは?
設備投資を検討する際には、次のような視点を持つことが重要です。
① 作業工程の可視化と見直し
まず、現在の作業工程を可視化し、どの部分に課題があるのかを分析します。具体的には、以下のような点をチェックしましょう。
無駄な工程がないか(例:手作業で時間がかかる部分はないか?)
生産性が低い部分はどこか(例:特定の工程でボトルネックが発生していないか?)
自動化や機械化できる部分はないか(例:単純作業をロボットやAIに置き換えられないか?)
このように、業務プロセスを見直すことで、どこに投資すれば効果が高いのかが明確になります。
② 自動化・機械化の可能性を探る
作業の一部を機械化・自動化することで、生産性を向上させることができます。
たとえば、
製造業 → 自動加工機の導入により、作業時間を短縮
小売業 → POSシステムの導入で、在庫管理の効率化
飲食業 → 自動調理ロボットの導入で、人手不足を解消
このように、自動化によりコスト削減や業務効率化を図ることで、競争力を強化できるのです。
③ 不要な工程を削減する
設備投資だけが改善策ではありません。業務プロセスを見直し、不要な工程を削減することも重要です。
たとえば、
紙の書類をデジタル化し、手作業を減らす
社内の承認フローを簡素化し、業務のスピードアップを図る
無駄な会議を減らし、実務に集中できる環境を整える
このように、不要な業務を削るだけでも、大きなコスト削減につながるのです。
4. 設備投資が競争力の強化につながる
設備投資を適切に行うことで、他社との差別化が可能になります。
① コスト削減により価格競争に強くなる
自動化による生産コストの削減は、価格競争力を高める要因になります。たとえば、同じ品質の製品をより安価に提供できれば、競争優位性が生まれます。
② 業務効率化でより高付加価値のサービスを提供できる
生産性が向上すれば、従業員がより価値の高い業務に集中できるようになります。その結果、新商品の開発や、より質の高い顧客対応が可能になります。
5. まとめ|業績が好調なときこそ未来への投資を
設備投資は、業績が良いときにこそ行うべきものです。
✅ 業績が悪化すると銀行融資が厳しくなり、キャッシュフローも悪化する
✅ 好調なときなら資金調達がしやすく、余裕をもって投資ができる
✅ 作業工程を可視化し、機械化・自動化の可能性を探ることが重要
✅ 不要な業務の削減も、設備投資と同じくらい大切
✅ 適切な投資によって、差別化が進み、業績アップにつながる
将来の成長を見据え、今こそ、設備投資を考えるタイミングではないでしょうか?