永遠に平和を希求する島となれ!
兼ねてからの念願であった、山口県周南市の対岸にある大津島をようやく訪れることができた(写真1)。ここには、太平洋戦争末期に開設された人間魚雷「回天」の訓練基地施設が現在も国内で唯一残されている。
■ トンネルの向こうには?
フェリーを降りて、最初に、「回天」訓練基地跡に向かう。(写真2のC)
基地に向かうトンネルの下を見ると、地面の色は一様ではなかった。当時魚雷を乗せたトロッコが通った轍がコンクリートで埋められていたのである。(写真3)
「この地より海の砦として若ものは征く」
トンネルを抜けた地点に建てられた「魚雷発射場跡」の石碑にこう書かれていた。(写真4)
ここを通り過ぎると、写真や映像によく使用されている風景が目の前に現れた。(写真5)
基地跡の前に設置された説明版をよく読んでみると、ここは「回天」を海上に降ろす場所で、反対側にはそのために使われたクレーンの基礎跡が遺されていた。(写真4)
隊員たちは、実際には、この基地の反対側にある桟橋から沖合に停泊している潜水艦に掲載された回天に乗り込んで出撃していった ― とのことである。
「出口のない海」(佐々部清2006年、主題歌は、竹内まりやが歌う「返信」)は、回天特別攻撃隊で出撃した若者の姿を市川海老蔵主演で映画化された作品である。事実とは一部異なる部分もあるが、引き返すことができない一方通行を思わせるトンネルが象徴的に描かれている。
■ 「負の遺産」に目を背けてはいけない
ふと、ナチスドイツによるホロコーストの象徴的な遺構として知られている「アウシュビッツ」強制収容所(写真5)の前に立つ、「白い巨塔」の主人公「財前五郎」を演じる唐沢寿明の姿が目に浮かんだ。
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