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コンペは続くよ……    7章 ラストスパート!

7 7月1日(日)曇り ~ラストスパート!~

【主な登場人物】
(株)大東アド
 ・角山(37):マーケティング局第1マーケティング部副部長
 ・竹岡局長(53):マーケティング局局長
 ・草野(28):マーケティング局第1マーケティング部
 ・横田局長(49):第3営業局局長
 ・水見部長(37):第3営業局第1営業部部長
 ・増田副部長(35):第3営業局第1営業部副部長
 ・芳田(30):第3営業局第1営業部
 ・笹本局長(54):第1クリエイティブ局局長
 ・吉川部長(40):第1クリエイティブ局第2クリエイティブ部部長
 ・篠山(33):第2プロモーション局第1プロモーション部
 ・林(35):第1メディア局第2メディアプランニング部
 ・原木(29):第1メディア局第2メディアプランニング部

 今日は雨が降っていないようだ。
もうそろそろ梅雨明けかな?まだ早いか……
 10時前に起きて、シャワーを浴びて、乾燥機付き洗濯機の中から、少ししわの付いたポロシャツとパンツをはいて、狭いリビングへ移動。
 テレビを見ながら、昨日の帰りに買ったコンビニのパンを頬張る。
テレビのニュースは1週間前の通り魔事件の犯人像について、彼是言っている。
……最近は通り魔が多いな。ネット社会の歪の1つかな?
などと考えつつ、コーヒーを飲みながらパソコンに目を通した。
11時半に家を出て、途中よく行くラーメン屋で味噌バターラーメンとご飯を食べて、13時前に会社についた。少し食べ過ぎ、ベルトの穴を緩める。
 既に草野は席にいて、作業をしている。
本当によく働くねぇ。関心関心。
当たり前だけど、今日中に企画書を完成させないと……
 俺は徹夜したら声でなくなり、プレゼンができなくなっちゃうから徹夜はしない。今回はしなくて大丈夫だろう。
「おはよう!」
「あっ、おはようございます!」
「昼、食べた?」
「はい、角山さんは?」
「食べたよ。おなかパンパン!企画書どんなかんじ?」
「確認してください。」
メールチェックして、草野とブースで打ち合わせ。
メディア部分以外はほとんど完成というレベル。
……流れもいいかんじじゃないかな?
「本編は、あとは俺が微修正するね。資料編は調査報告以外に何入れるんだけ?」
「タレント情報とプロモーション資料とメディア資料です。」
「全部ある?」
「メディア以外はあるのですが……」
「解った。林に電話してみるよ。今日の打ち合わせで資料編も確認するから、量、多いけど、プリントアウト、各局1部でいいや、お願いね。」
「わかりました。1時間ほど外出してきます。その後、コピーとります。」
「よろしくね。」
席にもどって、林に電話。
……昨日は徹夜だったのかな?
「はい、林です。」
力のない声が返ってきた。
「カ・ド・ヤ・マです!お疲れ!昨日は貫徹だったの?」
「お疲れ様です。会社で2時間ほど寝ました。」
「原木さんも?」
「彼女は3時ごろに帰宅させました。」
「どう?」
「大丈夫です。4時には間に合います。」
「お疲れ、そうそう、資料編に入れるメディアパートだけど、データあるなら頂戴。こっちでガッチャンコするから。」
「あれ?原木さんからメール、行ってないですか?」
「着てないみたいだよ。」
「すみません!今すぐ送ります。」
「原木さんは?」
「まだ、来ていません。」
「………解った。じゃ、俺と草野に送ってくれる。」
「すみません。今すぐ送ります。」
……大丈夫かな?林のやつ。
 続いて、水見に電話。
「はい、水見でっす!」
水見の元気のいい声が聞こえてきた。
「お疲れ!角山でっす。」
「あっ、角山さ~ん。お疲れさまですぅ~。」
と急にいつもの甘ったるい口調になった。
「資料編に入れるものある?」
「あっ、すみません。ウチがいままでやった新商品開発の事例を入れたいですぅ。データ、送りますぅ。すみません。」
「あとはない?」
「ないですぅ。今のところは。」
「わかった。今日の打ち合わせで資料編、各局に1部配るから、確認してもらうね。」
「営業は全員分お願いできますかぁ?」
「なんで?」
「営業全員で細かく確認したいので……」
「わかったよ!面倒だな。」
「すみません!今度寿司おごりますんでぇー」
 電話を切って、作業開始。
 14時過ぎに草野が帰ってきたので、資料編のコピー部数変更を話して、コピーをお願いした。
 16時、加藤園コンペ第6回社内ミーティング開始。
メンバーは、営業:横田局長、水見部長、増田副部長、芳田、クリエイティブ:笹本局長、吉川部長、西田、木浦、プロモーション:篠山、メディア:林、原木、マーケティング:竹岡局長、丸山、草野の14名。
 水見が話しだした。
「お疲れ様です。今日が最後のミーティングです。明日は午前10時半から役員会議室でリハを行います。
今日は、昨日からの変更したところを中心に話してください。
では、角山さん、お願いします。」
っと、こっちに振ってきたので、昨日との変更点を説明、
 その後、クリエイティブの笹本さん、プロモーションの篠山が変更点を説明した。
 特に問題なく、話が進み、メディアの林が、メディアパートを説明する順番になった。
 ほとんど寝ていない顔で、少し緊張しているかんじで説明しだした。
いつもより声が小さく、途中聞こえなくなると、水見がすぐに、
「すみません!林さん、もう少し大きい声で、」
と言った。
「すみません。」
っと言って説明を開始した。
昨日より、より丁寧に、時間をかけた林の説明が終わった。
 2つ3つ横田局長から質問がでただけで、説明は終了。
水見が、
「最後に資料編を配ります。これは完璧版です。何か問題ないか確認してください。」
と言って、草野が資料編を配った。
 数分間、各スタッフが資料編を確認。問題なしとこのと。
 竹岡局長が、
「見積もりはどうなっている?」
と営業に聞いた。
水見が
「林さんのメディアプランをみて、これから完成させます。」
と言った。
 横田局長が、真剣な顔で、
「みな、短い時間でありがとう。まだ、終わってないけど、結構完成度は高いと思う。最後は、角山のほうで合体させるのでいいかな。確認だけどプレゼンの流れはどうする?」
っとこっちを見ていったので、
「最終合体はマーケでやります。俺と草野にデータをください。
プレゼンの流れは、前にも言ったけど、俺らは最後なんで、最初にクリエイティブを見せるのはどうですか?
最初に笹本さんがドーンとクリエイティブを説明して、次に、俺がマーケ、プロモーション、メディアを説明する。最後に見積もりを営業?でいいかな。」
 横田さんが、
「見積もりは提出するだけでいいようだ。笹本さん、流れはいいですか?」
「いいよ。企画書の最終版はいつ確認できる?」
と俺を見ながら聞いてきた。
「クリエイティブ部分はお願いできますか?それ以外は今日中に作ります。」
「クリエイティブのところ、少し手伝ってよ。角ちゃん…」
と笹本さんが笑いながらお願いしてきた。
「……わかりました。こっちが終わったら手伝いますよぉ~。」
「サンキュ!」
 水見が、元気よく、
「企画書と資料編のコピーは営業でやります。完成したら送ってください。角山さん。」
「了解。」
「ではでは、今日の打ち合わせはこれで終わります。明日は10時半から役員会議室でリハします。よろしくお願いしますぅ。」
 19時前、加藤園コンペ最終ミーティング終了。
……意外と早く終わったな。
と思いながら会議室を出ようとしたら、メディアの原木さんがやってきた。
「角山さん、資料編のデータ送り忘れて、すみませんでした。」
「あっ、大丈夫だよ。林が送ってくれたから。」
「すみませんでした。」
「お疲れ!」
 席に戻って、作業開始。
途中、竹岡局長が席に来て、
「おつかれさん。よくできていると思うよ。明日、頑張ろう!
俺はそろそろ帰るよ。」
と言ってきた。
「お疲れ様です。明日、よろしくお願いします。」
と言って、竹岡さんは部屋を出て行った。
 草野に資料編の俺ら分のコピーと営業へのデータ送信をお願いした。
プロモーション、メディア、クリエイティブから企画書がメールで送られてきた。
……んん?なんでクリエイティブのも、こっちに来るんだぁ??
笹本さん、そっちでやるっていったのにぃ!?
と思いながら電話、
「角山です!クリエイティブの企画書が送られてきましたが……」
「お、あっ、ごめん、ごめん。間違えた。こっちで最終版を作る。お願いがあるのだけど・・」
「なんですか?」
「企画書のアニメーションのところ、お願いできない?」
「いいですけど、これは話す人が作ったほうがいいですよ。」
「俺、やり方がよくわからなくてサ。」
「吉川さんとか他の人、知らないんですか?」
「皆、ダメみたい…」
「こっちも今から、アニメーションでお化粧するので、終わってからでいいですか?」
「もちろん!どれくらいかかる?」
「1時間ぐらいかな? あっ、草野をそっちに行かせますよ。」
「いいねぇ~、草ちゃん、大好き!」
「何言っているんですか?セクハラしないでくださいね。」
「わかっているよ。冗談冗談。じゃ、よろしくね。」
 草野に作業が終わったら、クリエイティブにいってアニメーション作業のお願いをした。
 21時過ぎに俺の作業が終了。草野は1時間ほど前にクリエイティブに行ったきりまだ、戻っていない。
……作業が戸惑っているのかな?
と思いながら、クリエイティブの部屋へ行った。
 2人で真剣な顔でパソコンを見ている。
……なんか、親子みたいだな。
「お疲れさまです!」
「おお、角ちゃん、草野ちゃんは凄いね!最高!」
「いい感じでできました?」
草野も結構楽しそうに作業している。
「こんな感じです。見てください。」
俺もパソコンを覗き込んで、できたばかりの企画書を確認した。
「いいじゃないですか。効果音も入っていて、インパクトありますね。
でもこれ、笹本さん、時間内に話せますか?」
「さっき、話してみたよ。大丈夫。おさまるよ。」
「草野、やるねぇ~」
「ありがとうございます。結構楽しかったです。」
っと言うやいやな、笹本さんが
「草野ちゃん、クリエイティブに来ない??」
「えぇー、いいですねぇ~。考えておきますねぇ。」
などと、話しているところを離れて、吉川部長のところへ。
「お疲れ様でした。」
「お、角ちゃん、お疲れ様。ありがとうね。パワポ。」
「ああ、あれは草野がやったみたいです。」
「そうだね。2人で仲良くキャキャ言いながら作っていたよ。」
「吉川さん、お疲れさまでした。明日、がんばりましょう!」
「うん、プレゼン頼むね。」
「了解です。質問がでたら対応お願いしますね。」
「OK。お疲れ。」
 クリエイティブの部屋をでて席に戻ったら、草野がすでに椅子に座っていた
「お疲れさん。ありがとね。」
「お疲れ様です。あとは何かありますか?」
「そうだね。今日はいいよ。明日のリハ準備はもう大丈夫だよね。」
「はい。クリエイティブのデータも頂きました。」
「わかった。お疲れさま。俺は営業の部屋をのぞいてから帰るよ。」
「わかりました。お疲れ様です。」
「お疲れ」
 草野が帰ったあと、企画書のコピーを竹岡局長、熊本部長の席に置いて、21時半ごろににマーケの部屋の電気をけして、扉を閉めた。
 営業の部屋へ。
あわただしく、コピーなり、作業をしている。
水見をみつけて、
「お疲れ!大丈夫?」
「あっ、角山さーん。いいところに!ちょっと、横田さんと打ち合わせしたいんですけど…」
「明日本番だし、腹減ったからもう、帰りたいんだけど…」
「弁当ありますよ!1時間で終わりますからぁ。お願いしますよぉ。」
「だから、弁当でつるなよ!」
と言いつつ、横川局長席の横の打ち合わせブースへ。
「おお、角ちゃん、弁当、食べる?」
っとニヤニヤしながら、こっちを見た。
 弁当を食べながら、営業が作成した想定問答集の確認。
……結構、よくできている。さすが、水見。
3問ほど付け加えて、打ち合わせ終了。
 結局会社を出たのは23時前。
 日曜日もあいているBORAで軽く飲んで1時に帰宅。


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