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【スカッとねこまる】スカッとするお話〜

俺は電車で目の前にお年寄りが立っていても、絶対に席を譲らない。理由はシンプルだ。どうして俺より豊かそうな老人に優しくしないといけないんだろう?
俺には金もないし、友人もいないし、彼女もいない。普通の人より不幸せだと自覚している。そんな俺に「人間性」を求めないでくれ――それが本音だった。

そんな話を、俺が気になっているバイト先の女子大生・ちひろにうっかり話してしまった。
すると彼女はピシャリと言い放った。
「あなた本当に人間ですか?」

胸に突き刺さる言葉だった。でも、俺は思う。どうして俺が他人に優しくする義務がある?俺の不幸なんて、誰も気にしちゃいないのに。

ある日、バイト中に万引き犯を見つけた。すぐに捕まえて問いただすと、相手はお年寄りだった。
「病院代が高くて食費がなくなりました。現金支給日にお返しします」
そう懇願されたけど、俺は即通報した。理由は簡単。犯罪者だからだ。

ついでに身分証を確認して住所を控え、ご近所の井戸端会議に混ざり、この老人の話をした。結果、同情と軽蔑が入り混じった反応が返ってきた。

そのことを知ったちひろが、また俺を責めてきた。
「人の心ないんですか。だからぼっちなんですよ」

正直、腹が立った。俺のやることなすことに口を出してくるくせに、ちひろ自身が何をしているか俺は知っている。更衣室で店長と何をしているか、全部。

俺は更衣室を盗聴し、盗撮した映像をネットで販売している。ちひろが俺の悪口を言っているのも、店長とやっていることも、全部知っている。

ちひろの「人の心ないんですか」という言葉に我慢ができなくなった俺は、ついに真実をバラした。
「お前、更衣室で何してるか知ってるぞ。俺の悪口も聞こえてるんだよ」

顔を真っ青にしたちひろは、その場で吐き、逃げ出した。それ以来、彼女が戻ってくることはなかった。

後日、店長にその話をしたら、いきなり殴られた。でも、俺は冷静だった。その一部始終を動画に撮影して本部に送信。結果、店長は飛ばされることに。

その日、俺は静かなバイト先で一人、椅子に腰かけて息を吐いた。
「ふぅ。スッキリした~」





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