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「奇行画家4人による不思議紀行」への寄稿

「奇行画家四人による不思議紀行」が終わりました。
一緒に1ヶ月グループ展を行ったみんな、ギャラリースタッフの皆様、そして何よりおいでいただいた全ての皆様のおかげで充実した一カ月間を過ごせました。感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
※ここから本文です。

「奇行画家4人による不思議紀行」への寄稿

 この1ヶ月間は、ここだけ空気の比重が違っているのではないかと思えるほど、密度の濃い時間だった。
 7月、「ギャラリー詩と美術館」に打ち合わせのため集まった4人は、何度か会ったことのある人、数回挨拶を交わした人、初めて会う人と、まだまだよく知らない者達で、僕以外の3人は一般的な社会人としては道を外れてしまった気配を身体全体に厚く纏っていた。
 小心者の僕は、果たしてこのキテレツな3人と仲良くグループ展などできるのだろうかと戦々恐々としていたものである。
 ギャラリーオーナーの進行で、打ち合わせ自体は順調に進み、4人展の名前を決める段になって皆、頭を悩ませた。何しろキテレツな3人と小心者の僕である。簡単にこの4人を表す言葉など出てこない。その時誰かが「4人の絵の共通点は不思議な世界であるから、不思議紀行というのはどうか。」と持ち出した。
 「不思議紀行」という言葉には皆すんなり納得した。とても良いと思った。
 だがしかし、(だがしかしなんて言葉を使ったのは初めてかもしれない)だがしかしである。いかんせん不思議紀行だけでは語呂が悪い。「不思議紀行4人展」もだめ、「4人の不思議紀行」もいまいち、「4人の画家の不思議紀行」でも何かちょっと惜しい。散々頭を悩ませていた時、紀行と奇行をかけて「奇行画家4人による不思議紀行」ではどうかとアイデアが出た。
 ダジャレである。
 結局キテレツな3人と小心者の僕の4人は自分たちを「奇行画家」と名乗ることとなった。今にして思えばダジャレで決めたとは言え、なかなかピッタリなネーミングではないか。確かに奇行グセのありそうな面々である。本当に奇行グセがあるかどうかは、皆の名誉のためここでは書かないこととしたい。
 かくして「奇行画家4人による不思議紀行」は猛暑の9月4日から始まった。約1ヶ月間という長さである。そんなに一度に沢山人が来てくれることはないだろうと最初は余裕で構えていた。
 予想通り、最初は少しづつ見に来てくれる人がいるくらいだったが、新聞やYahooニュースの取材が入るにつれ、主に土日であったのだけど、だんだんと見に来てくれる方が増えて来た。
そして、それに比例して4人の繋がりも強くなっていった様に思う。
 途中、ギャラリーの企画で、ギャラリートークという催しが開催された。進行役のオーナーが、4人それぞれに色々な質問を投げかけるという形だった。同じ質問でも、それに対する答えは皆全く異なり、大変面白かった。
4人の人間性を知る良い機会となったことは間違いない。
何より、こんな4人の話を聞きに来てくれる人たちなどいるのか。と考えていたのだけど、そんなことは心配する必要がなかった。当日はたくさんの方が聞きに来てくれていた。
ご来場いただいた皆様、あなたの行動こそ奇行です。本当にありがとうございました。
 ギャラリートークの夜は、一応の打ち上げが行われ、盛大に酔った。
夜中1時に食べた炒飯の味なんて全く覚えていない。ただ炒飯を食べたという事実だけがそこにあり、次の日の体調悪化を加速しただけである。
 この頃には、4人は昔馴染みのようになっていた。最後の1週間は急速に時間の流れが早まったかと思えるほど一気に過ぎ去っていった。
 最終日が近づくにつれて、だんだんと寂しさが募り、学生時代、部活が終わってしまうような、卒業して別々になってしまうような、いい歳したオッサン4人はちょっとセンチメンタルな気分になって来た。50を過ぎて、あ、僕以外の奇行画家3人はまだ40代前半なのだが、なんとも切ない子どものような表情で最終日を迎えたのだった。気持ち悪いかもしれないが事実そうなのだから仕方がない。
 「またやろう。」誰ともなく言い出した言葉は皆の気持ちを代弁していた。否定する人は誰もいなかった。すぐにでもまたこの4人展をやりたいとも思うが、皆一様に忙しく、また同じ作品でやるのも面白くない。「3年くらい間を空けてやろう。」「それまでにどう変わっているかも楽しみだ。」口々にそう話し合い、うっすらと涙の浮かぶ目で別れの挨拶をし(嘘)、今回の「奇行画家4人による不思議紀行」は幕を閉じた。
 終わってみれば、ただただ楽しかった。ひたすらに楽しかった。毎週毎週顔を合わせ、すっかり意気投合した。と思っているのは僕だけかもしれないが、人間思い込みは大切である。ちゃんと打ち上げをしたいと思い、帰りがけに一人ずつLINEの交換をした。なぜ今までしていなかったのか。アホなのか。そしてその夜、すぐに4人のLINEグループを作成した。
いまだに誰も何の返信もない。

おしまい。

奇行画家4人による不思議紀行
@wiggdleworks_0113
@k.am369
@musashi_zinkotsu
ギャラリー詩と美術館
@gyallery_shitobi
@cafe_yamakai

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