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都市計画法を簡単に解説!

都市計画法とは、都市施設の整備や市街地の開発など街づくりに関する制限を定めた法律です。
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。
すなわち土地を合理的に使用し、無秩序な開発がされないように定められています。
例えば、閑静な住宅街にボーリング場やゲームセンターなどのアミューズメント施設が建設されたり、低層住宅の隣にビルや高層マンションなどの高い建物が建てられたりなどがないように、地域を区分けしています。

都市計画とは

都市計画とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画のことです。

参照条項
参照:e-Gov(都市計画法第4条)

農林漁業との健全な調和を図りつつ、文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保し、このために適正な制限のもとに土地の合理的な利用を図ることが基本理念とされています。
最近では、市町村にも都市計画策定のマスタープランを持たせ、道路、公園、下水道、教育施設等の都市施設や住宅地、商業地を含め都市環境や都市機能の向上を図ることとなっています。
具体的な都市計画の内容は下記の通りです。この中から各都市計画区域ごとに必要なものが定められます。

①都市計画のマスター・プラン、都市再開発方針等
②区域区分(都市計画区域を市街化区域及び市街化調整区域に分けること)
③地域地区(用途地域など地域による土地利用の制限)
④遊休土地転換利用促進地区(遊休土地の有効利用を促進するための地区)
⑤地区計画等(地域地区よりも狭いエリアで指定)
⑥都市施設の整備(道路や公園、学校などのインフラ整備)
⑦市街地開発事業(都市施設を総合的に整備していくために一定の区域を決めていく)
⑧促進区域(市街地開発事業を促進すべき区域)
⑨市街地開発事業等の予定区域(市街地開発事業や都市施設に関する都市計画が将来的に策定されることが予定されている区域)
⑩被災市街地復興推進地域(被災から復興を進める地域)

都市施設・市街地開発事業

都市施設とは、道路や公園、上下水道などの都市において必要となるインフラ設備のことです。市街化区域、非線引き区域では、必ず道路、公園、下水道を定めなければなりません。

参照条項
参照:e-Gov(都市計画法第13条)

都市施設を総合的に整備していくために一定の区域を決めていくことを市街地開発事業といいます。
また、個人や企業が勝手に開発を行い、都市計画に反することがないように制限をすることを都市計画制限といいます。

都市計画の区域区分

都市計画は街づくりのための計画のため人が住んでいないような地域では適用されません。
都市計画の区域区分は、まず大きく都市計画区域(都市計画法の規制を受ける区域として指定された区域)と都市計画区域外(無人島や山奥)に分かれます。都市計画法は原則として都市計画区域内においてのみ適用されます。
そして都市計画区域には、市街化区域と市街化調整区域と区域区分がなされていない区域(以下.非線引き区域)があります。
市街化区域は既に市街地を形成しているか、若しくは既ね10年以内に市街化を計画的に図る地域、市街化調整区域は当分の間、市街化を抑制すべき地域で、原則として開発行為は禁止されています。
都市計画区域外には、準都市計画区域が指定されることがあります。(市街地からは離れているが人の往来が多い高速道路のインターチェンジ周辺など)
市街化区域はさらに住居系や商業系などの用途地域が指定されています。

おまけ:都市計画税都市計画税は原則として都市計画区域内のうち市街化区域内に所在する土地家屋に課税されます。
すなわち都市計画区域外と都市計画区域内のうち市街化調整区域、非線引き区域内の土地家屋は都市計画税がかかりません。(※条例による例外があります。)

地域地区

地域地区とは、区域区分よりも細かく土地利用に関して一定の規制等を適用する区域として指定された地域のことです。建築物の用途、容積率、高さなどについて一定の制限が課せられています。
地域地区の種類は、下記の通りです。

  1. 用途地域

  2. 特別用途地区

  3. 特定用途制限地域

  4. 特例容積率適用地区

  5. 高層住居誘導地区

  6. 高度地区または高度利用地区

  7. 特定街区

  8. 都市再生特別措置法による都市再生特別地区

  9. 防火地域または準防火地域

  10. 密集市街地整備法による特定防災街区整備地区

  11. 景観法による景観地区

  12. 風致地区

  13. 駐車場法による駐車場整備地区

  14. 臨港地区

  15. 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による歴史的風土特別保存地区

  16. 明日香村における歴史的風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法による
    第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区

  17. 都市緑地法による緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑化地域

  18. 流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区

  19. 生産緑地法による生産緑地地区

  20. 文化財保護法による伝統的建造物群保存地区

  21. 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による航空機騒音障害防止地区または航空機騒音障害防止特別地区

用途地域

用途地域とは計画的に街づくりを行うために、13に分けけられた地域のことです。
用途地域によって建物の用途や建ぺい率や容積率が規制されています。
その地域にどのような建物が建てられるかを定めているので、どのような暮らしができるかの判断材料になります。

用途地域一覧

大きく分けて「住居系」,「商業系」,「工業系」の3つに分かれています。
それぞれについて簡単に説明していきます。

住居系
・第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域です。
低層なマンションやアパートは建てられます。閑静な住宅街です。
・第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。
コンビニなど小規模な店舗も建てられます。閑静な住宅街に利便性が加わったイメージです。
・第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域です。
建物の高さ制限はありません。3階建以上の中高層マンションがある地域です。
・第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。
マンションや大きめの事務所、中規模な商業施設があります。
・一種住居地域
住宅の環境を保護するための地域です。
住居とスーパーやホテルなど中規模の店舗があります。駅近が比較的多いです。
・第二種住居地域
主に住宅の環境を保護するための地域です。
第一種住居地域よりも店舗や事務所が多めで、ボーリング場やカラオケ、パチンコ店があります。
・準住居地域
道路の沿線として、地域の特性にあった業務の利便の増進を図り、それと調和した住居の環境を保護するための地域です。自動車のショールームなどがあります。
・田園住居地域
農業と調和した低層住宅のための地域です。
低層住居専用地域がベースですが農産物直売所などの農業施設が限定的に立てることが出来ます。

商業系
・近隣商業地域
近隣の住宅街の人が日用品の買い物などをするための地域でいわゆる商店街です。店舗や事務所の床面積の制限はありません。
・商業地域近隣
商業地域より規制が緩和され、商業を行うことを目的とした地域です。
繁華街やオフィスビル街で銀行や映画館、飲食店、百貨店、あらには風俗店も認められています。

工業系
・準工業地域
環境悪化のおそれのない軽工業の工場がある地域です。
町工場の他、住宅やホテル、ボーリング場、映画館、病院、教育施設なども建てられます。
・工業地域
どんな工場でも建てることができる地域です。
住宅や店舗も建てられますが、ホテルや映画館、病院、教育施設などは建てられません。高層マンションが建てられていることも多いです。
・工業専用地域
どんな工場でも建てることができる工場専用の地域です。住宅は建てられません。
港のコンビナートなどがあります。

特別用途地区

特別用途地区は、用途地域内の一定の地区において、地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため、用途地域の指定を補完して定める地区です

参照条項
参照:e-Gov(都市計画法第9条第13項)

特別用途地区の例
・特別工業地区
工業・工業専用・準工業地域内の業種を制限する「公害防止型」と、準工業・商業・住居系の用途地域内の制限を緩和する「地場産業保護型」の2タイプがあります。
東京都の第1種及び第2種特別工業地区は前者の、また、埼玉県川口市の特別工業地区は後者の例です。
・文教地区
教育、研究、文化活動のための環境の維持向上を図るため、学校や研究機関、文化施設などが集中する地域に指定され、風俗営業や映画館・ホテル等が禁止されます。
・小売店舗地区
近隣住民に日用品を供給する店舗が集まっている地区で、特に専門店舗の保護又は育成を図るため、風俗営業やホテル・デパート等が規制されます。
・事務所地区
商業地のうち官公庁、企業の事務所等の集中立地を保護育成する地区です。
・厚生地区
病院・診療所等の医療機関、保育所・母子寮等の社会福祉施設等の環境を保護するための地区です。
・娯楽・レクリエーション地区
商業地域のうち、劇場、映画館、バー・キャバレー等が集中する盛り場に指定する「歓楽街型」と、主に住宅地周辺のボーリング場・スケート場等の遊技場を対象とする「レクリエーション施設型」などがあり、それぞれの目的に沿って「用途地域」の規制が緩和又は強化されます。
・観光地区
温泉地・景勝地など観光地の観光施設の維持・整備を図るための地区です。
・特別業務地区商業地のうち、特に卸売店舗を中心とした卸売業務機能の高い地区に指定される「卸売業務型」、主に準工業地域のトラックターミナル・倉庫などの流通関連施設向けの「ターミナル・倉庫型」及び幹線道路沿いの自動車修理工場・ガソリンスタンド等のための「沿道サービス型」があります。
・中高層階住居専用地区
大都市の都心部の夜間人口の過疎化対策の一環として、一定地域のビルの中高層階の用途を住宅に限定し、住民の増加・定住化を図るための地区です。
・商業専用地区
横浜の「みなとみらい21」や千葉の「幕張メッセ」などの、店舗・事務所等が集中する市街地でその他の用途を規制し、大規模ショッピングセンターや業務ビルの集約的な立地を保護・育成するための地区です。
・研究開発地区
製品開発の研究のための試作品の製造を主たる目的とする工場、研究所その他の研究開発施設の集積を図り、これらの施設に係る環境の保護及び利便の増進を図る。

特定用途制限地域

特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において、良好な環境の形成又は保持のため、地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、特定の建築物等の用途の制限を定める地域です。

参照条項
参照:e-Gov(都市計画法第9条第14項)

特定用途制限地域内における建築物の用途の制限は、都市計画に即して地方公共団体の条例で定められます。

参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第49条の2)

特例容積率適用地区

未利用となっている容積の活用を促進し土地を高度利用するために定められる地区で、土地所有者等の申請に基づいて特例容積が定められます。
この特例容積率の適用を受ける特例敷地については、その容積率が限度となります。
また、都市計画に建築物の高さの最高限度が定められたときは、高さはその限度以下でなければなりません。

参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第57条の4)

高層住居誘導地区

郊外への拡散した住宅地を都心部に呼び戻し、利便性の高い高層住宅の建築を誘導するため、高層住宅の建設を誘導すべき地区を都市計画において位置付けるものです。
高層住居誘導地区は、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域のうち、指定容積率が400%又は500%である地域に指定されます。
高層住居誘導地区内では、その高層住居誘導地区に関する都市計画において建蔽率の最高限度又は建築物の敷地面積の最低限度が定められた場合には、建築物はこの内容に適合するものでなければなりません。

参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第57条の5)

また、以下のような制限の緩和があります。

( a )容積率の緩和――住宅の用途に供する部分の床面積が3分の2以上である建築物について、その住宅割合に応じた容積率の引上げ(指定容積率の1.5倍以下)
( b )前面道路幅員よりの容積率の緩和――商業系用途地域と同じ制限を適用(幅員×6/10)
( c )斜線制限の緩和――商業系用途地域と同じ制限を適用(道路・隣地斜線勾配)
( d )日影規制の適用除外――ただし、高層住居誘導地区内であっても、日影規制の対象区域内(高層住居誘導地区を除く。)に日影を生じさせる場合には日影規制が適用されます。

高度地区または高度利用地区

高度地区

高度地区は、建物の高さの最高限度(最高限高度地区)又は最低限度(最低限高度地区)を定め、用途地域の高さの制限を強化するもので、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図ることを目的としています。
高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適用するものでなければなりません。

参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第58条)

( a )最高限高度地区――高さの最高限度を定めてあまり高い建物が建たないようにして市街地の環境や都市景観の保全を図るものです。
※この目的を有する高度地区は、準都市計画区域にも定めることができます。
( b )最低限高度地区――高さの最低限度を定めてそれ以上の高さの建物を確保することにより、市街地の土地利用の増進や災害時の火災に対する防御壁としての避難地避難路の確保を図るものです。
また、単なる高さの絶対値の制限のほか斜線制限等の形態もあります。

高度利用地区

市街地の高度利用を図る地域地区ですが、単に高度利用を図るだけでなく、空地の確保と規模の大きな開発を目指すものです。
建築面積の狭小ないわゆる鉛筆ビルを防止するとともに高度利用を図るべき容積率を使いきっていないところや土地の細分化が進んでおり、かつ公共施設が不十分なところ、第1種及び第2種中高層住居専用地域内で未利用地の多いところ等に指定するものであるとされています(通達)。
( a )容積率、建蔽率、建築面積及び壁面の位置の規制 高度利用地区では、高度利用地区に関する都市計画において以下のように定められています。
・容積率の最高限度・最低限度
・建蔽率の最高限度
・建築面積の最低限度
・壁面の位置の制限

( b )適用除外
高度利用地区に関する都市計画において定められた容積率、建蔽率及び建築面積の制限は、次に掲げる建築
物について適用がありません。
ア.主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であって、2階以下で地階がなく、容易に移転又は除却ができる建築物
イ.公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物
ウ.学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物(特定行政庁が許可したものに限る。)

参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第59条第1項、第2項)

特定街区

特定街区とは、個々の敷地単位ではなくて街区単位で良好な市街地を形成するために、都市計画で指定される地区です。
この地区内では、都市計画で、建築物の容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限の3つが定められ、用途地域における一般的な容積率、建蔽率等の規制が適用されません。

参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第60条第1項、第2項)

この制度は、敷地内に有効な空地を確保させる代わりに、容積率、高さ制限等の一般的な形態規制を一般の地区より緩和するものです。

都市再生特別措置法による都市再生特別地区

この地区は、「都市再生特別措置法(平成14年6月施行)」に基づく都市再生緊急整備地域のうち、都市再生に貢献し土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域について、都市計画に定められる地区です。
都市再生特別地区内では、容積率、建蔽率などいろいろな建築制限の特例があります。

《都市再生特別地区における建築制限の特例の内容》

(1)建築物の容積率及び建蔽率、建築物の建築面積並びに高さの制限
都市再生特別地区内の建築物については、その容積率及び建蔽率、建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)並びに建築物の高さは、当該地区の都市計画において定められた内容に適合しなければなりません。
(2)建築物の壁面の位置の制限
都市再生特別地区内における建築物の壁又は柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、当該地区の都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築することはできません。

※上記(1)、(2)の制限が適用除外とされる建築物
Ⅰ 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であって、階数が2以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に転移し、又は除却することができるもの
Ⅱ 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの
Ⅲ 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
(3)誘導すべき用途に供する建築物に関する用途規制の適用除外(建築基準法第60条の2第3項)
都市再生特別地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に関する建築物については、建築基準法第48条(用途地域)及び第49条(特別用途地区)の規定は適用されません。
(4)日影規制の一部適用除外(建築基準法第60条の2第6項)
都市再生特別地区内の建築物については、原則として建築基準法第56条の2第1項(日影による建築物の高さの制限)に規定する日影規制対象区域外にある建築物とみなされます。
ただし、都市再生特別地区内の高さ10m 超の建築物で、冬至日において同地区外にある日影規制対象地区内の土地に日影を生じさせる場合には、建築基準法第56条の2第1項の規定が適用され、日影規制が適用されます。

〈その他の留意点〉
(1)都市再生特別地区の建築物については、当該地区の都市計画において定められた容積率の最高限度を建築基準法第52条(容積率)第1項各号に掲げる数値とみなして、同条の規定が適用されます(建築基準法第60条の2第4項)。
(2)都市再生特別地区内の建築物については、建築基準法第56条(建築物の各部分の高さ《道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限》、第57条の4(特例容積率適用地区内における建築物の高さの制限)及び第58条(高度地区)の規定は適用されません。
参照条項
参照:e-Gov(建築基準法第48条(用途地域))
参照:e-Gov(建築基準法第49条(特別用途地区))
参照:e-Gov(建築基準法第52条(容積率))
参照:e-Gov(建築基準法第56条(建築物の各部分の高さ))
参照:e-Gov(建築基準法第56条の2第1項(日影による建築物の高さの制限))
参照:e-Gov(第57条の4(特例容積率適用地区内における建築物の高さの制限))
参照:e-Gov(第58条(高度地区))
参照:e-Gov(建築基準法第60条の2(都市再生特別地区))

防火地域または準防火地域

防火地域、準防火地域とは、市街地における火災の危険を防除するため定める地域(都市計画法第8条第1項第5号、第9条第21項)をいいます。
防火地域及び準防火地域内の建築物には、以下の制限があります(建築基準法第61条)。
( a )防火地域、準防火地域内の建築物
防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準(建築基準法施行令第136条の2)に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法(令和元年国土交通省告示第194号)を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければなりません。
( b )次に該当するものは、( a )の制限はありません(建築基準法第61条但書き)。
a 高さ2m以下の門または塀
b 準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するもの

参照条項
参照:e-Gov(都市計画法第8条(地域地区))
参照:e-Gov(都市計画法第9条)
参照:e-Gov(建築基準法第61条(防火地域及び準防火地域内の建築物))
参照:e-Gov(建建築基準法施行令第136条の2)

密集市街地整備法による特定防災街区整備地区

密集市街地での火災や地震などの災害に対して、防災機能の確保と健全な土地利用を図るために整備する地区のことです。密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(密集市街地整備法)に定められています。

参照条項
参照:e-Gov(密集市街地整備法)

景観法による景観地区

景観地区とは、景観法に規定され、市街地の良好な景観の形成を図るため都市計画に定められる地区のことです。

参照条項
参照:e-Gov(景観法)

風致地区

風致地区は、市街地に残されている自然景勝地、市街地周辺の丘陵地、歴史的な意義のある地区等、都市の風致を維持するために指定される地区です。
風致地区内では、地方公共団体の条例により、建築物の建築・宅地の造成・木材の伐採等一定の行為が規制されています。

参照条項
参照:e-Gov(風致地区内における建築等の規制)

駐車場法による駐車場整備地区

交通が著しく混み合う地区で、必要な駐車施設を確保することにより円滑な道路交通の機能の確保を図り、都市機能を維持、増進することを目的としています。
内容は以下のとおりです。

( a )商業地域、近隣商業地域、住居地域等で指定
駐車場整備地区は、商業地域、近隣商業地域、並びに一定の特別用途地区の定められた第1種住居地域、2種住居地域、準住居地域及び一定の準工業地域内又はその周辺で自動車交通が著しく混み合う地区において、道路の効用を保持し、円滑な道路交通を確保する必要があると認められる地区について都市計画で指定します(駐車場法第3条)。
( b )駐車場の附置義務
この地区においては、延べ面積が2,000㎡以上で条例で定める規模以上の建築物や劇場、百貨店、事務所等の特定用途で条例で定める規模以上のものは、床面積に応じて一定の駐車場を確保することが条例で義務付けられることとなっています(駐車場法第20条)。
( c )市町村の努力義務
駐車場整備地区が定められたときは、市町村に対しても、駐車場整備計画策定義務、駐車場の整備のための指導を講ずる努力義務を課す等、その責任をも明確にしています(駐車場法第4条、第4条の2)。
参照条項
参照:e-Gov(駐車場法第3条(駐車場整備地区))
参照:e-Gov(駐車場法第4条(駐車場整備計画))
参照:e-Gov(駐車場法第20条(建築物の新築又は増築の場合の駐車施設の附置))

臨港地区

「港湾法」に基づき都市計画に定められた地区です。都市計画区域及び準都市計画区域内において指定される場合のみ都市計画の地域地区となり、それ以外の地域では条例で定められます。

参照条項
参照:e-Gov(港湾法)

古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法による歴史的風土特別保存地区

明日香村における歴史的風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法による第一種歴史的風土保存地区または第二種歴史的風土保存地区

「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」に基づき都市計画に設けられた地区です。

参照条項
参照:e-Gov(古都保存法)

都市緑地法による緑地保全地域、特別緑地保全地区または緑化地域

「都市緑地法」に基づき都市計画に設けられた地区です。
無秩序な市街地化を防止し、生活環境の確保などのために保全する必要のある相当規模の緑地を指定します。

参照条項
参照:e-Gov(都市緑地法)

流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区

「流通業務市街地の整備に関する法律(流通業務市街地整備法)」に基づく地区です。

参照条項
参照:e-Gov(流通業務市街地整備法)

生産緑地法による生産緑地地区

「生産緑地法」に基づく地区です。

参照条項
参照:e-Gov(生産緑地法)

文化財保護法による伝統的建造物群保存地区

「文化財保護法」に基づく地区です。都市計画区域及び準都市計画区域内において指定される場合のみ都市計画の地域地区となり、それ以外の区域では条例で定められます。

参照条項
参照:e-Gov(文化財保護法)

特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法による航空機騒音障害防止地区または航空機騒音障害防止特別地区

政令で指定する特定空港(現在は成田国際空港)の周辺において航空機騒音対策基本方針に基づき定められる地区で、航空機の著しい騒音の及ぶこととなる地域等に指定されることとなっています(特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第4条)。

参照条項
参照:e-Gov(特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第4条)

地区計画とは

地区計画とは、地区の課題や特徴を踏まえ、住民と区市町村とが連携しながら、地区の目指すべき将来像を設定し、その実現に向けて都市計画に位置づけて「まちづくり」を進めていく手法です。
地区計画は、都市計画法に基いて条例によって定められます。

まとめ

ここまで都市計画法による地域の区分けについて解説してきました。
都市計画法は街づくりの法律で大きく規制が定められています。そして個別の建物の建築に関して規制をしているのが建築基準法です。
都市計画法と建築基準法は密接な関係にありますので、合わせて理解しておくのが良いと思います。
しかしながら、不動産取引には関係する法律が多くあり、全てを把握するのは非常に困難です。

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事業内容:権利調整事業 不動産開発事業 借地権・底地権買取り事業 マンション建て替え事業
公式サイト:https://mercury-realestate.co.jp/

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