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建築基準法とはどんな法律?建築基準法を簡単に解説!

建築基準法とは建物を建てる際の敷地、構造、設備、用途に関する最低の基準を定めた法律です。自分の土地、もしくは自分が借りた土地(借地)だとしても自由に好きなように建物を建ててよいわけではなく、都市計画によって区分けされた地域の規制を守り、建築基準法に則った建物を建てなければなりません。土地を買った後に自分の建てたい建物が建てられない土地だったなんてことがないように最低限の知識を持っておくのが安心です。
今回は特に知っておいたほうが良いポイントを簡単に解説していきます。

建築基準法の用語の説明

建築基準法はその字のとおりで建物の建築に関する基準を定めた法律です。
では建築とは、建築物とは何でしょうか。建築基準法ではこれらの用語が定義されていますので、まずは用語の解説をしていきます。

建築物

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの及びこれに付属する門や塀、観覧のための工作物、地下又は高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫などの施設をいいます。
※鉄道の跨線橋、プラットホームの上家などは含まれません。
※次の建築物は建築基準法が適用されません。

  • ①文化財保護法によって国宝や重要文化財に指定された建築物

  • ②建築基準法が施行される前から存在している建築物(既存不適格建築物という)

特殊建築物

学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場と畜場、火葬場、汚物処理場などこれらに類するものをいいます。

建築

建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいいます。

居室

居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいいます。
居室であるかないかによって、採光や換気などの衛生規定のほか、階段や廊下などに関する避難規定の適用なども異なってきます。

主要構造部

壁、柱、床、梁、屋根、階段をいいます。間仕切り壁、間柱、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、小階段、屋外階段などは除かれます。

耐火構造

壁、柱、床、屋根、階段のうち、耐火性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣の定めた構造方法を用いるもの、又は、国土交通大臣の認定を受けたものを言います。

準耐火構造

壁、柱、床、屋根、階段のうち、準耐火性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣の定めた構造方法を用いるもの、又は、国土交通大臣の認定を受けたもの。

防火構造

外壁、軒裏のうち、防火性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣の定めた構造方法を用いるもの、又は、国土交通大臣の認定を受けたもの。

耐火建築物

主要構造部を耐火構造とした建築物、又は、性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を有するものをいいます。

準耐火建築物

主要構造部を準耐火構造とした建築物、又は、性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、かつ、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を有するものをいいます。

敷地面積

敷地の水平投影面積をいいます。ただし、法第42条第2項、第3項又は第5項の規定によって道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地、又は法第52条第9項の規定によって計画道路とされた部分の面積は、算入しません。

建築面積

建築物(地階で地盤面上1m 以下にある部分を除く。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離1m 以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離1m 後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積をいいます。

床面積

建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいいます。

延べ面積

建築物の各階の床面積の合計をいいます。

建築主事

建築確認に関する事務を行うために、都道府県及び特定の市町村に置かれる地方自治体の職員のことで、国土交通大臣が行う資格検定に合格したもののうちから、自治体の長が任命します。

特定行政庁

建築主事を置く市町村ではその市町村長のことをいい、その他の市町村では都道府県知事のことをいいます。
また、一定の建築物についてのみ確認手続を行う、限定的な権限を有する建築主事を置く市町村及び東京都の23区では、限定権限についてはその市町村長又は区長が特定行政庁であり、その他の権限については都道府県知事が特定行政庁となります。

建築確認制度

建築物の建築(増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替え及び一定の建築物の用途変更、建築設備又は工作物の築造を含みます。)をしようとする場合は、工事の着手前にその計画が建築物の敷地・構造及び建築設備に関する各種の法令に適合するものであることについて、建築主事の確認を受けなければなりません。
この事前確認による審査のことを建築確認制度といいます。建築基準法の規定に適合することが確認されると確認済証が交付されます。

建築確認の対象となる建築物


道路に関する制限

建築基準法上の道路とは

建築基準法では道路を以下のように定義しています。
原則:幅員(道の幅)が4m以上の道
例外:建築基準法施行時に既に存在する幅員4m未満の道で特定行政庁が指定したもの(2項道路)

接道義務

都市計画区域、準都市計画区域及び指定区域内では、原則として建物の敷地は道路に2m 以上接しなければなりません(建築基準法第43条第1項)。

その他の制限

道路内の建築制限
建築物又は敷地を造成するための擁壁は、原則として道路内に突き出して建築・築造してはいけません(建築基準法第44条第1項)。

壁面線による建築制限
建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必要があると認める場合において、特定行政庁が、建築審査会の同意を得て壁面線を指定することができるとされています。(建築基準法第46条第1項)
壁面線が指定されると、建築物の壁、柱又は2m を超える門、塀は、この壁面線を越えて建築してはなりません(建築基準法第47条)。

用途地域に関する制限

用途地域は、都市計画区域又は準都市計画区域内において、都市計画に定められます(都市計画法第8条第1項第1号、第2項)。
用途地域内では、一定の建築物及び工作物を建築することが制限されています。
※神社、寺院、協会、保育所、診療所、公衆浴場、巡査派出所、公衆電話などはすべての用地地域で建築することが出来ます。
※建築物の敷地が2つの用途地域にまたがる場合は、敷地の過半数が属する方(すなわち広い方)の用途制限が適用されます。


(注1)第1種低層住居専用地域で建築できる兼用住宅の例→事務所・日用品販売店舗・食堂・理髪店・美容院・学習塾・洋服店・畳屋・パン屋・米屋等で、これらの用途の床面積が50㎡以下、かつ延面積のうち居住用部分が2分の1以上であるもの(原動機を使用する場合は、0.75kW以下)。
(注2)用途地域と用途についての詳細は施行令第130条以下に定められています。
(注3)店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場等でこれら用途の床面積が10,000㎡を超えるものは制限されます。
(注4)劇場・映画館、演芸場若しくは観覧場又は店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場等で、その用途の床面積が10,000㎡を超えるものは制限されます。

建物の面積に関する制限

土地の大きさギリギリに建物を建ててしまった場合、火災の際に隣りの家にすぐに燃え移ってしまったり、倒壊の際はドミノ倒しになってしまったりなどの危険が生じます。
万が一のときの安全性や風通し、日当たり、景観などのことを考え、建物の面積に関する制限がされています。

建ぺい率の制限

建ぺい率とは:建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
建ぺい率=建築面積/敷地面積

日当たりや通風、防火、災害時の避難経路の確保などの観点から用途地域ごとに建ぺい率の最高限度が定められています。用途地域の指定がない地域は特定行政庁が定めた制限があります。住居系では敷地にゆとりを持たせるために比較的低く、商業系では高く設定されています。

2以上の建ぺい率制限にわたる敷地の建蔽ぺい率

建築物の敷地が、2以上の建蔽率の制限の地域又は区域の内外にわたる場合、それぞれの地域又は区域に属する敷地の割合をそれぞれの地域又は区域の建ぺい率に乗じ、それぞれの数値を合計したものをその敷地の建ぺい率とします。(建築基準法第53条第2項)

建ぺい率の緩和措置

建ぺい率は一定の条件を満たしている場合には緩和されます。一定の条件とは下記のとおりです。

角地緩和
特定行政庁が認めた角地は建ぺい率が10%緩和され、建築面積を増やすことが出来ます。

防火地域における耐火建築物
防火地域に耐火建築を建てる場合も建ぺい率が10%緩和されます。

上記を2つ満たす場合は同時に適用され、建ぺい率が20%緩和されます。

容積率の制限

容積率とは
容積率とは敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合のことです。
容積率=延べ面積/敷地面積

人口が過度に集中することを避けるために容積率の最高限度が定められています。容積率の制限には2種類あります。

①指定容積率による制限(都市計画)
都市計画によって定められた容積率です。用途地域ごとに容積率の最高限度が定められています。用途地域の指定がない地域は特定行政庁が定めた制限があります。
住居系では比較的低く、商業系では高く設定されています。

②基準容積率による制限(建築基準法)
建築基準法によって定められた「前面道路の幅員による容積率」の制限です。
前面道路の幅員が12m以上の場合は①の「指定容積率」が適用されますが、前面道路の幅員が12m未満の場合は「指定容積率」と「前面道路の幅員による容積率」のうち小さい方の容積率が適用されます。

前面道路の幅員による容積率=前面道路の幅員×法定定数

※法定定数とは住居系は4/10、それ以外は6/10(特例で8/10のものもあります)
建築物の敷地が2つ以上の道路に接している場合は最も幅員の広い道路が前面道路となります。

2以上の容積率制限にわたる敷地の容積率

建築物の敷地が、2以上の容積率の地域又は区域の内外にわたる場合、それぞれの地域又は区域に属する敷地の割合をそれぞれの地域又は区域の容積率に乗じ、それぞれの数値を合計したものをその敷地の容積率とします。(建築基準法第52条第7項)

容積率不算入措置

容積率は一定の用途においては床面積の計算から除外されます。

【容積率不算入となる項目の例】
地下室、昇降機(エレベーター)、車庫、駐車場、貯水槽、宅配ボックスなど
ただし、上記項目の100%の面積が不算入になるわけではなく、それぞれに限度が定められています。

建物の高さに関する制限

隣地や前面道路の日当たり、通風を確保するために用途地域などによって建物の高さに関する制限がされています。
主に絶対高さ制限、斜線制限、日影規制などがあります。

絶対高さ制限

第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域又は田園住居地域においては、建築物の高さは10m又は12mのうち都市計画で定めた高さの限度を超えてはなりません(建築基準法第55第1項)。
ただし、都市計画で10m以下と定められた地域でも敷地内に一定規模以上の空地があり、かつ敷地面積が一定規模以上の建築物で特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めた場合は、12m以下とされます(第2項)。
また、敷地の周囲に広い公園・広場等があり低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないとして特定行政庁が許可したもの、学校等その用途によってやむを得ないものとして特定行政庁が許可したものは、10mあるいは12mの限度を超えて建築できます(第3項)。

斜線制限

斜線制限とは高さ制限の一つです。前面道路や隣地の日当たりや通風を確保し、圧迫しないように定められています。
建物の屋根や上層階部分が一部斜めに切りとられたような形をしているのはこの斜線制限のためです。斜線制限には以下の3種類があり、それぞれ用地地域、用途地域の指定のない区域ごとに定められています。

①道路斜線制限(建築基準法第56条第1項第1号)

道路および道路上空の空間を確保するための制限です。
第1種低層住居専用・第2種低層住居専用・第1種中高層住居専用・第2種中高層住居専用・第1種住居・第2種住居・準住居・田園住居の各地域内の建築物の各部分の高さは、前面道路の反対側の境界線までの水平距離の1.25倍以下に、その他の地域では1.5倍以下に制限されます(ただし、用途無指定区域は、1.25又は1.5倍)。

②隣地斜線制限(建築基準法第56条第1項第2号)

隣り合った高い建物同士の空間を確保するための制限です。
第1種低層住居専用・第2種低層住居専用地域・田園住居地域には10m又は12mの高さ制限があるため、隣地斜線制限は適用されません。
第1種中高層住居専用・第2種中高層住居専用・第1種住居・第2種住居・準住居の各地域内の建築物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの水平距離の1.25倍に20mを加えたもの以下に、また、その他の地域(第1種低層住居専用・第2種低層住居専用・田園住居地域を除く。)では、2.5倍に31mを加えたもの以下に制限されます。ただし、用途無指定区域では、1.25倍に20mを加えたもの以下又は2.5倍に31mを加えたもの以下のうちから定められます。

③北側斜線制限(建築基準法第56条第1項第3号)

住宅地において北側隣地の日当たりを確保するための制限です。
第1種低層住居専用・第2種低層住居専用・田園住居地域の各地域内の建築物の各部分の高さは、その部分から前面道路の反対側境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離の1.25倍に5m(第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域内では10m)を加えたもの以下に制限されます。
ただし、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域で日影による中高層の建築物の高さの制限がある場合には北側斜線制限の適用はありません。

日影規制

日影規制とは、「日影による中高層の建築物の制限」の略です。一年で最も影が長くなる冬至の日(12月22日ごろ)を基準にして、一定時間以上の日影が生じないように建物の高さを制限します。
具体的には、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間(北海道の区域内は午前9時から午後3時まで)において、敷地境界線から水平距離5mを超える範囲においては、定められた高さの水平線に日影を落とす時間が日影時間未満となるよう、建物の高さが制限されます。
規制の内容は用途地域と建物の高さによってきまります。

建築基準法と都市計画法

ここまで建築基準法による規制について解説してきました。
個別の建物に関する規制は建築基準法で定められていますが、一定の地域の規制、街づくりの規制は都市計画法に定められています。
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公式サイト:https://mercury-realestate.co.jp/

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