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【休職日記】こだわりすぎているんだよ…
「ぼくはふね」という絵本がある。
「きんぎょがにげた」で有名な五味太郎さん作、作家生活50周年であった昨年出版された絵本だ。
たまたま読んだ雑誌に五味太郎さんのインタビューが載っていて、出版されてすぐに入手した。
子どもも気に入っていて、最近再燃し、この2週間はこの1冊を毎晩せがまれ毎晩読んでいる。
ぼくは ふね うかんで すすむ ふね
けっこう きまま かなり きらく…
わりに大きなサイズのページに、五味太郎さんの色彩がのびのびと広がる。
職業司書である自分にとって、絵本の読み聞かせは私にとって「しんどくない育児」。喜びだ。
(たまに眠すぎて支離滅裂な文章になり、絵本が顔面に落下することもあるけれど)
その前提を差し引いても、この絵本を読むことは楽しい。
インタビューの詳細は忘れてしまったが、「(大人が)意味を付与しすぎること」の弊害について書かれていたと思う。
何かにつけ意味を求めがちな自分は、この絵本を子どもに読み聞かせるとき、できるだけいろんなものをとっぱらい、身軽な自分になるようにする。
そうして文章を声に出していくと、何だかとっても「ふね」に感情移入してしまう。
絵本のなかで「ふね」は、遭遇する他のふねに
「どこからきたの?」
「どこへゆくの?」
「なにしてるの?」
と問いかけられるが、答えられない。
そんな中、嵐にあう。
うぁ!これが あらしか!
でも ぼく たすけて! なんて いわない…!
「ふね」に感情移入している私は、この辺でタハーッ!とする。すごく自分っぽい。というか、ワーママっぽい。誰がどう見ても大変な状況なのに、自分でも分かってるのに、なかなか助けを求めない自分ってこんな風なのかもしれない、と。
そんなふねは、陸に打ち上げられて動けなくなってしまう。そんなふねに、どこからともなく現れた謎のさんかく飛空物体がかける言葉がこちら。
あのね きみ
みずにうかんですすむことに
こだわりすぎているんだよ…
どきーん!とさせられる。
ふねって…みずにうかんですすむとは、限らない…!?(絵本って楽しい)
そして、船はなんと陸を進み、空に浮かびだすのだ。
これを毎晩毎晩声に出していることの、爽快感。
常識や価値観にがんじがらめになった一日を、ほぐされていくような気持ちよさがあります。
最後には、ふねは堂々と答えるのであります。
「ぼくは ぼく ぼくは ふね」と。
ああこのようにありたい。好きすぎてポスターにしてリビングの壁に飾りたい。でもまだグッズ展開はされていないようなのです。どなたかお願いします。
この絵本のイラストが生活の中で目に入ったら、そのときその分ちょっぴり解き放たれると思うんだけどな。
子どものブームよ、どこまでも続いてください。