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【なぜ少子高齢化がおこってしまったのか】

前回の記事にて問題視された【少子高齢化】について考えます。

日本社会が直面している大きな課題の一つに「少子高齢化」があります。働き手となる若年層が減少する一方で、高齢者が増加するこの現象は、社会構造や経済全体に大きな影響を及ぼしています。今回は、少子高齢化の原因やいつ頃から問題視され出したか、そしてもたらす弊害や打開策について考えてみましょう。

1. 少子高齢化とは


「少子高齢化」とは、出生率の低下によって子どもの数が減少する一方で、平均寿命の延びにより高齢者の割合が増加する状態を指します。国や地域によって度合いは異なりますが、日本では特に顕著に進んでいると言われています。

2. 少子高齢化が問題視され始めた時期


日本では、出生率の低下そのものは1970年代後半から徐々に進行してきましたが、社会問題として大きく認識されるようになったのは1980年代後半から1990年代にかけてです。1989年に合計特殊出生率(女性が一生涯に産む子どもの推定数)が「1.57」を記録し、当時大きな衝撃を与えたことから「1.57ショック」と呼ばれ、一気に少子化がクローズアップされました。その後は高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)も急速に伸び、21世紀に入ってからは「少子高齢化」という言葉が社会の中心的な課題として認識されるようになったのです。

3. 少子高齢化の原因

3-1. 女性の社会進出と晩婚化・非婚化


女性の高等教育への進学率が高まり、キャリア形成を重視する人が増えたことで、結婚や出産のタイミングが遅れる、あるいは結婚に対する価値観が多様化する傾向があります。晩婚化や非婚化により、出生数全体が減っている要因の一つです。

3-2. 住宅・教育コストの増加


都市部を中心に住宅価格や生活コストが上昇し、子育て環境の負担が大きくなっています。また、子どもの教育費に対する不安から「子どもの数は少なめに…」と考える家庭も多いと言われています。

3-3. 社会保障や育児支援体制の不十分さ


出産・育児と仕事を両立しようとしても、保育園の待機児童問題や女性の再就職に対する制度の不足などでスムーズに両立が難しい状況が続いています。このように、社会全体で子育てを支える環境が整っていないことも、少子化の背景にある大きな要因です。

3-4. 平均寿命の延び


医療技術の発達や衛生環境の改善などにより高齢者が増え、全体に占める高齢者割合が拡大しています。結果として、若年層と高齢層のバランスが崩れ、高齢化が進行しているのです。

4. 少子高齢化がもたらす弊害

4-1. 労働力不足と経済成長の鈍化


労働人口が減少するため、企業は人材確保が難しくなり、生産力の低下や経済成長の鈍化を招きます。また、労働力不足が続くと一人あたりの負担も増え、残業や過労につながる可能性があります。

4-2. 社会保障制度の負担増


高齢者が増えることで年金や医療、介護の費用が拡大します。一方で、保険料や税金を支える若い世代が減っていくため、一人ひとりの負担が増大する恐れがあります。

4-3. 地域社会の衰退


子どもの数が減ると学校の統廃合が起き、地域コミュニティが希薄になるケースが増えます。地方では過疎化が一層進み、公共交通機関や医療施設の維持が難しくなるなど、地域社会の活力が失われていく弊害があります。

4-4. イノベーションの停滞


若い世代が少ないと新たなビジネスモデルやテクノロジーを生み出す力が弱まり、社会全体のイノベーションが停滞する可能性があります。多様な価値観が生まれにくいことも課題です。

5. 少子高齢化の打開策


5-1. 子育て支援の充実


保育所や幼稚園の増設、待機児童問題の解消など、安心して子育てできる環境整備が必要です。働く親への支援制度(育児休業の拡充、在宅勤務や時短勤務など)の拡大も大きなポイントとなります。

5-2. 働き方改革


長時間労働の是正や柔軟な働き方を促進することで、出産・育児との両立をしやすくし、仕事と家庭を両立できる環境を整えていくことが欠かせません。

5-3. 若い世代への経済的支援


住居費や教育費、子育てにかかる費用の負担を軽減するための経済的支援(給付金や奨学金制度の拡充など)が求められています。特に、子どもを育てるための費用を社会全体で支えようという意識改革が重要です。

5-4. 移民・外国人労働者の受け入れ


人材不足を補うために、外国人の受け入れ政策を柔軟に考えることも一つの手段です。他国の人材が日本社会で活躍するためには、語学教育や生活支援体制の整備が不可欠となります。

5-5. 地域創生と地方での子育て促進


地方に住むことのメリット(家賃や生活費が安い、自然が豊かなど)を活かし、地域や企業と連携して移住やテレワークを推進する取り組みを強化することも、少子高齢化対策の一案です。

まとめ


少子高齢化は、日本社会の将来を左右する深刻な課題です。経済的負担の増加、地域社会の衰退、労働力不足など多くの問題をもたらし、これを放置すれば社会全体の活力が失われる可能性があります。しかし、子育て支援の拡充や働き方改革、移民政策の柔軟化など、政府や企業、そして地域レベルで取り組める打開策は存在します。

今後は「子どもを産み育てたい」という個人の希望が実現しやすい環境づくりを、社会の仕組みとして整えていくことが求められています。私たち一人ひとりが少子高齢化の背景や問題を理解し、社会全体で取り組む意識を高めていくことが、持続可能な社会の実現への第一歩となるでしょう。

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