文字の場所
本から文字が浮かび上がる
浮かび上がって
宙を舞う
あの文字
はの文字
わたしは静かに黙ったまま
見つめてる
どこへいくんだろう
文字たち
あ と、 は の文字たち
そのうちでんぐり返しを始めた
でんぐりがえしをしては
ころころ ころころ
文字たちが遊んでる
あ と、は の文字たち
あ と、は の文字がない本
足りなくて文章がままならない
文章にならない
この本、欠陥品になっちゃう
どうする
あ と、は の文字たちに
戻ってもらわなきゃ
あのない ありがとうは、りがとう
はのない はじまりは、じまり
あのない あんまりだは、んまりだ
はのない はんかくさいは、んかくさい
どうして あ と、は はいなくなったのか
とつぜんいなくなれば 本にひずみが生じる
本として 文章として成り立たなくなる
決して あ と、は だけで文章が出来ているわけではないが
ないと困る
大切な文字たち
わたしも その一文字担わせてもらっていいかな
本にはなれないけど
一文字分の居場所でいいから
いなくては困る場所あけておいてくれる?
今日もお読みいただきありがとうございました。
ペコリ