ブラック人材
私はブラック人材だ。
ブラック企業とは今では毎日目にしない日は無い程浸透した言葉になったけれども、私は人によく「自分はブラック人材だ」という話をする。どんな無茶ぶりにもNOと言わず、そこにやりがいを感じつつ、膨大な量の業務量をこなしてしまう。ここまでだけだと一見良い人材に見えるかもしれないけれども、まずかったのは「時間を使って」物事を解決する節があったという事。
私はエリートから程遠くて、仕事が特別出来るわけでもない。けれども、人一倍仕事に対する熱意があるほうだと思う。能力で何かしら輝かしい結果を出せない私は、どんな面倒な事でも、どんな膨大な量でも、そして経験したことが無い新しい事であっても、不平不満を言わずやってのける、器用な何でも屋でいる事に力を注いだ。雇う価値を見せられなければ海外ではすぐクビにされてしまう。能力で価値を見せられないから「長時間働く事で」量をこなす道を無意識に選んでいた。
私はドMな会社員だったので、私自身は「大丈夫」な範囲が病的に広いタイプだったが、問題は毎回自分が辞めて後任に仕事を引き継ぐ時に起きた。
せっかく入って来てくれた後任が仕事量を見てドン引きする。それでも私がサービス残業しまくって1人でこなしてきてしまった業務なので、上司は「1人で十分だ」「あいつはできたのになぜ君はできない」という考えになっている。
こういった会社を「ブラック企業」と呼ぶ事は出来る。けれども私が思うのは、数人が「できない」と言ってつっぱねるか辞めれば、それは「適切ではない事」として改善する機会を得るのではないかという事。私は「ブラック人材」だったので、その機会をぶち壊してきたと思っている。
起業した時、これでもう私の自己満足な働き方が原因で周りの人へ良くない影響を与えることはなくなると、少しほっとした。
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