女性が女性自身にかけている呪いの話

先日お仕事で知り合ったインド人男性と、日本人駐在妻の闇について話していた時に（その話はまたいつか）日ごろ常々思っている表題の件について話す機会があった。この話は色々な人と話すのでnoteに残しておきます。

普段ネットを徘徊していると、少なくない頻度で女性の年齢に関する話を目にする。驚いてしまうのだけど、25歳過ぎたらもうおばさんとか、30歳までに結婚できなかったら終わりとか、そんな事が当然のように話されているでしょう。そういう話をネットや周囲で聞くたびに、私は「素敵な女性の先輩に出会えずに生きてきたんだな、かわいそうに」と思ってしまう。

男性が若い女性を好むのはまた別の話だと思っていて、生物学的に若いほうが魅力的なのは仕方がない。ただ、別れてはまた若い子、別れてはまた更に若い子を選び続け、自分は年齢を重ねても相手においては「JD以上は興味ない。30歳以上とかただのBBA」とか言ってしまう50代前後の男性なんかに対しては、自分も歳をとって老いていくのにその現実を受け入れず、一緒に年月を重ねて行く尊さを理解できない哀れな男だな、という目で見ています。

女性同士の話に戻りましょう。最初に断っておくと私は若い女性が大好きです。ぃゃ違う変な意味ではなくて。見ていて本当にかわいいし、きめがそろっていてなんか眩しいし、未来の希望に溢れていて、若さは財産だなぁと素直に羨ましく思うし、愛でる対象になっているという意味です。ある程度の嫉妬も普通にあると思う。ただ、そんな若い子達から「25歳なんてもうおばさん、30歳なんて終わってる」なんて発言を聞くのは本当に哀れに思う。なぜそんな事を言う世の中になってしまったのか。

これは女性自身が自分達にかけている呪いだと思っている。もちろん男性がそう言いだしたから、という風にも考えられる。どっかのロリコンJJYが25歳以上はおばさんだと言い出したのかもしれない。会社の男性が30歳以上は終わりだと言っていたのかもしれない。でも最も良くないのは女性自身がそれを真に受け、その通りだ若さこそ全て、若いうちしか女性としての価値は無いなどと思い、果ては自らそれを言い始めたことだと思う。

私が外資系の会社で働いていた頃、30代40代で美しくかっこよく働いている女性の先輩が沢山いた。部長クラスに女性がいる。マネージャークラスにももちろんいる。仕事が出来てバリバリ働いている。ユーモアにも長けていて更に帰国子女なんかで英語もペラペラと来たらもう憧れしかない。では彼女達が全く男っ気なしで「私は仕事で生きていくから！！！」みたいな、ドラマなんかでよく描かれるような女性陣だったかというとそれも違う。恋人がいて、結婚していて、子供がいて、それぞれ状況は違うけれどもみんな女らしくて素敵な先輩方だった。

外資系企業を退職した後に勤務したベンチャー企業では社長が女性で、これまた超絶かっこいい人だった。センスが抜群でオシャレ。高級車の代名詞レクサスのコンバーチブルに乗り、バリッバリに仕事をこなしつつも月に何度か「今日はビューティーデイ」と言って自分の美を磨くことにも余念のない女社長だった。そんな先輩達をすぐ横で見ながら24歳から30歳あたりの年齢を過ごした私には「30歳になったら女は終わり」なんていう考えは微塵も生れなかった。

年を重ねる事で若さ起因の美しさ、若さ故の楽しさとは全く違うものが生まれてくると思う。けれども、どうやらそういうものが存在するらしいという事を身近な人から見て学ぶことができない女性達は「25歳で見切り品。30歳でゲームオーバー。」という呪いを、20代前半から自らにかけていく。30歳女性をBBAと陰で罵り、ゆくは自分が30歳になる時に不要な焦りと絶望に襲われる。自分が他人にかけた呪いに漏れなく自分もかかるという自虐的な行為を多くの女性がやっている。

世間は男女平等だとかまだまだ差別がとかどっかのメディアのCMが女性をバカにしてるとか色々話題は尽きませんが（あのCMに反応してギャーギャー言ってた人は言葉を汲み取る力が欠如していると思う）男性が女性を差別している事がどうとか以前に、女性が女性自身を信じられていない事の方が悲しい。例えば今女性が活躍できる環境が突然整ったとして、どれくらいの女性がその機会を活かしたいと思っているんだろう。そういう心の成熟を置き去りにして、女性ガー活躍ガーーって事だけ騒いでも意味がないと思うんですよ。

それから、個人的には男女平等は女が男と同じことをするという事ではないと考えています。男も女もLGBTQ＋も、それぞれが得意な分野を活かし、不得意な分野をサポートしてもらいながら活躍できる、という意味だと思っている。「お客様は神様です」「ノーと言わないサービス」あたりと同レベルで言葉だけが一人走りしてしまい、本当に必要なマインドを育てる事から遠のいてしまっていると感じる。

どうか若い女性の皆さんが「30歳過ぎたら終わり」とかいう呪いにかからず、30歳になっても40歳になっても、もっと歳を重ねても楽しく生きていそうな女性の話を沢山聞いて幸せなおまじないにかかりますように。自分が10代20代前半の時に、年上の女性を年齢だけが理由でBBAと罵るのはやめましょう。数年後それは間違いなく自分に返ってくるのだから。お金をかけて美を維持したり見た目を美しくしたりすることはいくらでもできる。だけれども、時間だけは平等だから。人にかけた呪いは、必ず自分に返ってくる。

30代からは楽しいよ。楽しそうに生きている女性に聞けばきっと「30歳から超楽しいよ」と答えると思う。幸せそうな話に耳を傾けてほしい。

現実的な話、子供を産んだりとか考えると、やっぱり若さは宝ですよ。だからこそ、貴重な時間を無意味な呪いに怯えながら過ごすのはもったいない。