秋祭り、日本古来の特別なイベント
この時期に日本中の神社では秋祭りが行われる。おそらくは日本人が狩り中心の生活から定住を始めて村を形成した頃から行われてきたと思われる。いわゆる収穫祭だ。稲作は弥生時代からと言われるが、最近では縄文時代から徐々に始まったのではないかと言われている。人々は移動しながら獲物を追い狩りをして暮らしてきた時代を経て、稲作を始めて家畜を飼い、定住生活へと移る。生産性を上げるために人は集まって村が出来上がっていく。
稲作をすることによって食べるものが貯蔵出来るようになり、食生活は安定するようになる。土地や水、米を奪い合ったりして争いも起きるようになるのだが。
収穫が終わるこの時期には、それまでの労をねぎらい、酒を酌み交わし、歌ったり踊ったりして楽しいひと時を過ごしたに違いない。そして忘れてはならないのが神社への信仰だ。自分たちの健康や安全はもとより、五穀豊穣を願い、災害などに遭わぬように日頃から祈りを捧げてきた場所があったと思われる。宗教の最も原始的な姿だ。最初はそれは岩だったか、大木だったか、或は泉だったかもしれない。それに人の力が加えられて社になり、そこに人々は集うようになったのだろう。人々が信仰する神に自分たちへの恵みに感謝をささげるのが祭の大きな意味でもあった。
今では完全にアウトな話だが、祭の晩は男と女が自由に付き合うことが許され、出来た子供は村の子として皆で育てたという話は結構あちこちに残っているようだ。それだけ皆がはじける特別なイベントだったのだろう。
今でも秋祭りは屋台が出て、御輿や獅子が舞って、花火が打ちあがる。収穫を祝うという、食べ物や生計を支える生活の糧に思いを寄せる行事は、社会のシステムが完全に異なる現代においても続いている。特に出店に夢中の子供たちの満面の笑顔を見ていると、こうやって風情は引き継がれていくのかもしれないと温かい気持ちになる。
祭の終わった寂しさを歌った吉田拓郎氏の「祭のあと」を思い出す。
【REG's Diary たぶれ落窪草紙 9月23日(月)】