【安楽死・尊厳死①】今回はボケ無しで書いてみる
人類は長生きの時代に入った。内閣府によると我が国の人口は1億2、550万人(令和3年10月1日時点)。内65歳以上は3,621万人で総人口の28.9%(高齢化率)を占める。昭和25年(1950年)の高齢化率は4.9%なので、人類史上初めての高齢化社会といえる。
医療の発達が人の寿命を長くしたのは言うまでもないが、現代医学も万能ではない。死を目前にした患者への延命医療行為が患者自身を苦しめることもある。痛み止めが効かなくなっての激痛は想像すらできない。
世界では延命治療行為を拒否する権利を認めるべきと言う主張が生まれた。安楽死を合法とした国もいくつか出てきた。
その辺りを整理してみたいと思う。
1.尊厳死と安楽死
この二つの言葉の定義は緒論あるが、世間一般で合意されたものではないようだ。
1981年世界医師会が「患者の権利に関するリスボン宣言」を採択。この中で患者の尊厳を保ち、安楽に死を迎える権利がうたわれており、日本でも尊厳死という言葉が使われ始める。
安楽死と言う言葉は昔から使われているが1995年横浜地裁の判決(東海大学安楽死判決)で、3つの安楽死を分類している。
①消極的安楽死
苦痛を長引かせないため 延命治療を中止し死期を早める
②間接的安楽死
苦痛の除去・緩和のための措置を取るが同時に死期を早める
③積極的安楽死
苦痛から免れさせるため意図的積極的に死を招く措置を取る
また終末といえども急性、慢性、その中間の亜急性など病状によっても延命治療や安楽死の考え方は変わってくるようだ。
2.我が国における現状
近年安楽死について、我が国でも国を始めいくつかの学会や団体からガイドラインや勧告がなされているが、概ね一致している。
①終末期医療及びケアについて
医師等からの適切な情報と説明に基づき医療従事者と患者が話し合い、患者本人の決定の上終末期医療を進めることが最重要原則。
②終末期医療及びケアの方針決定手続き
患者の意思が確認できる場合
医師と患者との充分な情報伝達の上での合意に基づくものであって、患者の意思決定により、多専門職の医療従事者から成るチームで延命遅漏の中止等を行う。治療方針の決定に際しては文書化しておく。
患者の意思が確認できない場合
患者の意思が推測できる場合は、その推測意思を尊重するが、確認できない場合も含めて家族と相談し、患者にとって最善の方策を選択する。
③複数の専門家からなる委員会の設置
医療内容の決定が困難な場合は専門家による委員会設置が必要。
結局、治る見込みがないことが複数の医療関係者によって確認され、本人や家族の意思が確認できれば、終末期の延命治療の中止をしても殺人罪には問われないことを意味する。
しかし日本国内では、安楽死や尊厳死に関する法整備はなされていない。明日は外国の現状やこれからの展望を考察してみたい。
【REG's Diary たぶれ落窪草紙 1月20日(土)】